ランド円・トルコ円レポート月曜版(2015年12月28日)
週初はランド円、トルコリラ円の中期的な見通しを隔週でお送りします。今週はトルコ円の順番ですが、年内最後の月曜となりますし、年末年始を控えて動意薄となっていますので、今週は2015年のランド円とトルコ円の動きについて振り返ってみることとしましょう。
まずは、週足チャートで2014年後半から本日までの動きをご覧ください。上からドル円、ランド円、トルコ円のチャートを並べてあります。(陽線は緑、陰線は赤。大きな四角は1年、小さな四角は1か月を囲ったものです。)
週足チャート
ドル円、ランド円、トルコ円
2015年年間レンジ
ドル円: 115.86 〜 125.86 (値幅10.01円、変動率8.0%)
ランド円: 7.55 〜 10.45 (値幅2.90円、変動率27.8%)
トルコ円: 38.86 〜 52.24 (値幅13.38円、変動率25.6%)
ドル円は変動相場制移行後2番目の狭いレンジの1年となりましたが、ランド円、トルコ円ともに25%を超える変動率(値幅と高値の比)となり、大きな変動の1年となりました。
チャートを見ると、2014年後半はランド円、トルコ円ともにドル円同様に買われて円安相場となっていましたが、2015年前半はドル円がもみあいからやや円安の動きとなっていたのに対して、ランド円は横ばい、トルコ円はじり安の展開を辿りました。
大きな要因としては米国の利上げがテーマとなり、新興国から米国へと資金が還流する可能性を見越した新興国通貨売りの動きが円売りの動きよりも大きかったことがあります。特にトルコ円の場合は、1月、2月と2か月連続で政策金利を引き下げたことも、対ドルでのトルコリラ売りのきっかけとなりました。
その後8月のチャイナショックを中心とするリスクオフ相場です。傾向としてリスクオンの時には新興国通貨など高金利通貨が買われやすく、リスクオフの時には円をはじめとする低金利通貨が買われやすくなります。ドル円でさえ一時的な円高に見舞われましたが、ランド円、トルコ円はポジション調整が続き、ドル円が底を打った後もしばらく安値圏で推移しました。トルコ円が底を打ったのはドル円の底打ちから1か月後です。
トルコ円は、リスクオフの動きが収まったことに加え国内政治の安定(11月1日の総選挙日程で政治不安も収束)もあり、ドル円同様に円安の動きとなりました。しかし、ランド円は金価格の低迷もあって戻しが弱く、さらに12月に入り財務相が解任され9月につけた年初来安値を更新することとなりました。その後は新財務相が任命され落ち着きを取り戻したものの上値が重たい地合いでの年末を迎えています。
来年も米国の利上げ自体は継続される見通し(年間で計1%の利上げがFOMCメンバーの見通し)のため、材料的には新興国通貨にとって逆風です。あとは、リスクオフの動きが出ないかどうか、その部分だけが気がかりではあります。しかし、円との金利差が大きいことを考えると現行水準よりも円高水準では、ランド円、トルコ円とも長期的な買いが出てくると見ています。
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