再びドル高値更新、ただ上値は依然重そう
〇本日のドル円、18日高値の138.74を一時的に更新するも続かず、138円半ばで欧米市場を迎える
〇米債務上限問題は合意に至らぬもバイデン氏の楽観的発言などにより、ドル売りは限定的
〇引き続き米経済指標発表や要人発言などに一喜一憂する展開か
〇目先のレンジ下限である137円前半から半ばまで再びドルが軟落の可能性も
〇ドル高・円安方向は本日東京高値の138.85-90が最初の抵抗、超えれば139円台乗せも
〇ドル安・円高方向は138円レベルがサポート、割り込めば昨日安値137.50が視界内に
〇欧米時間のドル円予想レンジは137.70-138.90
<< 東京市場の動き >>
23日の東京市場はドルが小安い。ザラ場ベースでは、再び年初来高値をわずかながら更新したものの続かなかった。
ドル/円は138.60円レベルで寄り付いたものの、基本的にはレンジ取引。時間内の値幅は50ポイント程度にとどまっている。ただ、そうしたなか138.85-90円まで値を上げ、18日高値の138.74円を一時的に更新する局面も観測されていた。16時現在では小緩んだ138円半ばで推移、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米債務上限問題」と「米国情勢」について。
前者は、21日に実施されたバイデン大統領と野党共和党のマッカーシー下院議長による電話会談に続き、東京時間の本日早朝に3度目となる与野党協議が開催されたが、今回も合意に達することは出来なかった。しかし、終了後にはバイデン氏からまたもや楽観的なコメントが聞かれたうえ、マッカーシー氏も「生産的な話し合いが行われた」と一定の評価を下す発言を行ったことで、為替市場におけるドル売りは限られている。ただ、一方でイエレン財務長官からは改めて「6月初めに十分な現金を使い切る公算が大きい」とした警告も発せられるなど引き続き予断を許さない。
対して後者は、前述した「米債務上限問題」などが市場の注目を集めるなか、昨日から本日にかけて2つの不穏な動きが観測され一部で話題に。うちひとつは、昨NY時間にSNSで広まった「米国防総省付近で大きな爆発があった」との情報。しかし、実際には爆発はなく国防総省と地元消防局も情報を否定するなど、「フェイクニュース」であったことがのちに明らかとなっている。その一方、米ワシントンのホワイトハウス近くラファイエット広場で、貨物トラックが防護柵に衝突。運転手の身柄を拘束されるという事件が発生したが、事故は故意に起こされた可能性があるとの見方から、こちらも問題視されていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は本日東京で138.85-90円を示現し、年初来高値を一時更新。リスクという意味ではやはりドル高方向にバイアスがかかりそう。しかし、高値示現後の展開を見るとこれまでのレンジの上限を少し広げたに過ぎず、大きくドルの上値余地が広がったというには早計かもしれない。むしろ、材料などによっては、目先のレンジ下限である137円前半から半ばまで再びドルが軟落する可能性もある。
米金融政策への関心は依然として高く、米通貨当局者からは強気コメントがあるものの、市場は依然として懐疑的。確かに「年内に利下げ実施」といった見方は後退しているが、「6月追加利上げ」には否定的にみている参加者も少なくない。いずれにしても、本日も引き続き発表される米経済指標や要人発言などに一喜一憂する展開か。一方、それとは別に米債務上限問題の行方にも要注意だ。先でも指摘したように、与野党とも先行きを楽観視している感があるものの、Xデーとされる6月1日まで残り2週間もない。やはり油断は禁物だろう。
テクニカルに見た場合、ドル/円はここ3日ほど推移しているレンジの上限を一時超えたものの、本稿執筆段階ではレンジ内へと回帰している。リスクとしてはドル高方向だが、上値の重い状況はまだ当面続く可能性も否定できない。このあと139円台に乗せたとしても、高値151.94円を起点とした大きな下げ幅の半値戻し139円半ばが強い抵抗となりそう。140円は近くて遠いという気がする。
本日は米経済指標として、5月の製造業PMI速報や同リッチモンド連銀製造業指数などが発表されるうえ、ダラス連銀総裁による講演等も実施される見込みだ。なお、後者の通貨当局者の講演は米国以外、欧州要人なども幾つか予定されており、そちらも合わせて要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは137.70-138.90円。ドル高・円安方向は本日東京高値の138.85-90円が最初の抵抗。超えれば139円台乗せも。
対するドル安・円高方向は、138円レベルがサポートとして育ちつつある。まずはその攻防に注目だ。割り込めば昨日安値137.50円が視界内に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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