ドル円、104円前半で方向感に欠ける展開。リスク回避ムードの再燃に要警戒
〇ドル円104円台前半で方向感なく推移
〇米共和党の追加経済対策案を民主党が却下したことでリスクセンチメントが悪化
〇ユーロドルはイベント前ポジション調整、欧英交渉の不透明感、欧米株下落で一時1.2059まで下落
〇米主要株価指数下落からのリスク回避ムード再燃に注意
〇本日5、10日、10時前のドル高リスクに留意必要
〇本日の予想レンジ:103.70ー104.50
海外時間の為替概況
9日(水)の外国為替市場でドル円は方向感に欠ける展開。欧州時間朝方にかけて一時104.06まで下げ幅を広げるも、節目104.00をバックに下げ渋ると、@対欧州通貨(ユーロや英ポンド)でのドル買い圧力や、A米追加経済対策を巡る先行き不透明感(共和党が示した妥協案を民主党が却下)、B上記Aを受けたリスク回避ムードの再燃(欧米株下落→リスク回避のドル高)、C低調な米10年債入札結果を受けた米長期金利の上昇が支援材料となり、米国時間午後にかけて一時104.40まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、104.25近辺で推移しております。
9日(水)のユーロドル相場は上値の重い展開。@重要イベント(ECB理事会やEU首脳会議)を翌日に控えたポジション調整や、AECB当局者によるユーロ高牽制の思惑、B欧英交渉を巡る先行き不透明感、C欧米株の下落を受けたリスク回避のドル買い圧力、D低調な米10年債入札結果を受けた米長期金利の上昇が重石となり、米国時間午後にかけて、約1週間ぶり安値となる1.2059まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.2070近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18には、一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日は一時104.40まで上昇するも、一目均衡表基準線をはじめ主要チャートポイントが密集する104円台半ばのレジスタンスを結局上抜け出来ず→上値の重さを再確認)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、来週12/16に予定されているFOMCで追加緩和が織り込まれつつある米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(米政府による制裁措置に対して、中国政府は対抗措置を講じる構え)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(新型コロナワクチンが開始されても感染拡大を防ぐことは容易ではないとの慎重な見方)、E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。年末にかけてのポジション調整リスクに警戒)、G米追加景気対策の後ずれ観測、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)、I欧英交渉の決裂リスクなど、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株や欧米長期金利の動向、ドルインデックスの動き、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、欧英交渉及び米中対立を巡るヘッドライン、欧米の主要経済イベントの結果(米11月消費者物価指数、米新規失業保険申請件数、米11月財政収支、ECB理事会、EU首脳会議など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米主要株価指数が下落に転じており、リスク回避ムードの再燃に注意。昨日はリスク回避のドル高が進行する中、ドル円は底堅く推移したものの、本日はリスク回避のドル高→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路を意識しておきたい。但し、本日は5・10日にあたることから本邦公表相場決定=日本時間9時55分にかけてのドル高・円安リスクに留意が必要)。
本日の予想レンジ:103.70ー104.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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