ドル円、104円台半ばで方向感見出せず。ADP雇用統計は冴えない結果に
〇ドル円株式市場の軟調にドル買い戻り一時104.75まで上昇するも指標不冴えで104円半ばまで反落
〇ユーロドルは英政府のコロナワクチン緊急使用承認等で1.2109まで急伸
〇ドル円104円台後半での上値の重さ再確認、週末にかけ見切り売りでるか
〇本日の予想レンジ:104.00ー104.80
海外時間の為替概況
2日(水)の外国為替市場でドル円は上昇後に伸び悩む展開。@株式市場の軟調推移や、A上記@を背景としたリスク選好ムードの後退(ドルショートの巻き戻し)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、一時104.75まで上昇しました。しかし、11/24に記録した直近高値104.77をバックに伸び悩むと、B米11月ADP雇用統計(結果30.7万人、予想43.0万人)の冴えない結果や、Cリスク回避の円買い圧力、D上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り、E対欧州通貨でのドル売り圧力が重石となり、米国時間には、一時104.43まで反落する場面も見られました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、104.53近辺で推移しております。尚、パウエルFRB議長とムニューシン米財務長官は下院金融サービス委員会の公聴会で追加支援策の合意を訴えましたが市場の反応は限定的となっております。
2日(火)のユーロドル相場は堅調な値動き。@欧州圏における新型コロナワクチンの実用化期待(英政府は米ファイザー社の新型コロナワクチンの緊急使用を承認→英ポンド上昇→ユーロ連れ高)や、A短期筋のショートカバー、B英国と欧州連合のFTA交渉進展期待(英ポンド上昇→ユーロ連れ高)、C米11月ADP雇用統計の冴えない結果(ドル売り)、D欧米株の持ち直し(ドル売り再燃)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、2018年4月30日以来、約2年7ヵ月ぶり高値となる1.2109まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.2096近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18にかけて一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日は一時104.75まで反発するも、テクニカルポイントが密集する104円台半ばで続伸を阻まれ結局反落→上値の重さを再確認)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、12月FOMCで追加緩和が織り込まれつつある米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(今週発表された米11月シカゴ購買部協会景気指数、米10月住宅販売保留指数、米11月ISM製造業景況指数、米11月ADP雇用統計は軒並み冴えない結果)、B米中対立激化懸念(米経済誌による「バイデン氏は対中関税第一弾を直ちに撤廃しない」との一部報道)、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(たとえ新型コロナワクチンの供給が開始されたとしても世界中に行き渡るまでには相当な時間を要するとの慎重な見方)、E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、反落リスクが警戒されます。欧米株や欧米長期金利の動向や、ドルインデックスの動き(ドル安地合いが続くか否か)、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、米経済指標の結果(米新規失業保険申請件数、米11月サービス業PMI、米11月ISM非製造業景況指数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(104円台後半での上値の重さを再確認。週末にかけて見切り売りが強まる展開を想定)。
本日の予想レンジ:104.00ー104.80
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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