レンジ継続見込みも、警戒感はジワリ高まる
〇ドル円、終盤にかけてやや買い進められ104円半ばまで上伸
〇フランスのルメール経財相、米国が追加関税を発動させた場合「ただちにEUを通して報復する」
〇米紙NYタイムズ「バイデン次期政権、対中関税第一弾はただちに撤廃しない」
○暗号資産ビットコインは昨日史上最高値を更新し2万ドルに迫るも急反落をたどる
〇本日は11月ADP雇用統計、米地区連銀経済報告発表予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ103.90-104.80
<< 東京市場の動き >>
2日の東京市場は、ややドル高。レンジは決して広くないが、終盤にかけてやや買い進められたドルは高値引けとなっている。
ドル/円は104.30円レベルで寄り付いたのち、当初ドルは冴えない。日中安値である104.20円近くまで小緩む局面も観測されたが、以降はドルが小じっかり。とくに終盤にかけて上値を広げると、16時現在でドル/円は日中高値である104円半ばまで上伸。そのまま、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「英EU通商交渉」と「次期米政権の貿易姿勢」について。
前者は、引き続き楽観と悲観がせめぎ合い、参加者も右往左往。欧州委員長から「英国との通商は極めて難しい。合意を望んでいるが、高い代償を払うつもりはない」との発言が伝わる反面、英首相報道官による「貿易交渉は週間を通し継続する」としたやや前向きなコメントが観測されていた。週内合意など早期の解決を期待する声も聞かれているものの、市場ではやや悲観的というか、「いま少し時間がかかる」といった現実的な見方をする向きが取り敢えずは有力だ。
対して後者は、トランプ氏からバイデン氏へと米政権への移行が確実視されるなか、米国の貿易スタンスが幾つか思惑を呼ぶ。たとえば、フランスのルメール経財相は、米国が来年1月にフランスのデジタル課税への対抗措置として追加関税を発動させた場合、「ただちにEUを通して報復する」と述べ、米新政権の変節に期待を寄せている。一方、米中については、米紙NYタイムズが「バイデン次期政権、対中関税第一弾はただちに撤廃しない」などと報じていた模様。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日はNYダウが再び3万ドル台大台を一時回復するも、またもや定着できず。ただ下値も堅く、着々と次のステージに向けて底堅めをしている感も見られている。また、暗号資産ビットコインは昨日も大荒れで、史上最高値を更新し2万ドルに迫るも急反落をたどっている。そうした他市場の動きからすると、為替市場におけるドル/円の変動は寂しい限りだが、市場が徐々にクリスマスモードを強めるなか、荒っぽい変動を警戒する声もジワリと強まりつつあるようだ。週末発表の米雇用統計あたりが、そのトリガーを引くことになるかもしれない。
そうしたなか、材料的に注視されているものは、引き続き新型コロナとワクチン開発について。ドイツのメルケル首相から、「国民が今後数週間に警戒を怠れば感染の第3波が襲来する可能性がある」などとした警告が聞かれるなど、クリスマスをにらんでの移動や集会についての危機意識も取り沙汰されるなか、ワクチンの早期接種開始見込みも根強い。発表される米経済指標などに注意を払いつつも、コロナvsワクチンの攻防戦はいましばらく続く見込みだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は大きな意味でレンジ内。気が付くと、すでに2週間以上も103.66-104.76円という1.1円レンジにとどまっている。ただ、足もとの動きは104円半ばで、レンジ上限に迫る動き。まずは、このままドルが続伸し、昨日上げ止まった高値104.58円そして104.76円を超えていくことができるのか否かを注視したい。しっかり超えれば、105円台回復も否定できないだろう。
材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事と政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の材料としては、週末に発表される11月米雇用統計の露払い役である同ADP雇用統計が発表されるほか、米地区連銀経済報告も公表される見通しで、それらの内容にまずは要注意。また、米国を中心とした要人発言も多く見込まれているようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは103.90-104.80円。昨日高値104.58円が最初の抵抗で、上抜ければ先週高値104.76円がターゲットに。それも越えれば、いよいよ105円台が見えてくるが、ドルの上値は重そうだ。
対するドル安・円高方向は、足もとわずかに上抜けている移動平均の21日線(104.35-40円)をめぐる攻防にまずは注視。しっかり割り込むと104.20円前後、そして104円などが下値メドとして意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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