ドル全面安が続き、ドル円は11月24日高値に迫るもダブルトップ気配
〇ドル円、2日夜に104.75まで上昇した後ドル安感が強まる中で失速、3日早朝に104.50を割り込む
〇ADPの11月全米雇用報告で非農業部門民間雇用者数が前月比30万7000人となり市場予想を下回る
〇英国で米ファイザー社ワクチンが緊急認可されワクチン普及への期待膨らむ
〇104.75を超えないうちは一段安余地あり、104.20割れから11/30安値103.83試しへ
〇104.60超えから104.75試しとし、更新した場合は新たな上昇期入りとみて105円台序盤への上昇を想定
【概況】
ドル円は11月24日夜高値104.75円から11月30日安値103.83円まで下落してきたが、その後は持ち直しの動きに入り、12月1日深夜には104.57円へ上昇、2日夜には104.75円まで上昇して11月24日高値に並んだが、その後はドル安感が強まる中で失速、3日早朝には104.50円を割り込んでいる。
米国株式市場はまちまちで、2日のNYダウは前日比59.87ドル高と小幅上昇だったが、ナスダック総合指数は5.74ポイント安と小幅下落した。ワクチン普及期待での株高情勢は継続しているものの、新型コロナウイルスの追加対策を巡っての米与野党の対立による対策の遅れと足元の感染拡大の深刻さが交錯している印象だ。
2日夜に発表されたオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の11月全米雇用報告では、非農業部門民間部門雇用者数が前月比30万7000人となり市場予想の41万人を下回った。10月分は速報の36.5万人から40.4万人へ上方修正されたが、全米での感染拡大の影響が景気回復の鈍化を見せている。
株式市場まちまちのなかで米10年債利回りは一時0.98%まで上昇したが終盤は0.93%まで低下した。
ドル円は株高により為替市場でリスク選好的なドル安が進む一方、クロス円での円安と米長期債利回り上昇により11月30日安値から戻してきたのだが、2日夜以降はドル全面安がさらに進む状況に入ったことと米長期債利回り上昇が一服したことで、ドル円においてもドル安円高へぶり返し始めている印象だ。
【ユーロドルが1.21ドル台に到達、ドル安感強まる】
英国では12月2日に米ファイザー社ワクチンが緊急認可された。ファイザーとモデルナは米国に続きEUにも緊急使用申請を行っておりワクチン普及への期待も膨らむ。
ユーロドルは12月1日に9月1日高値を超えて3月コロナショック以降の最高値を更新してきたが、12月2日も1.21ドル台へ続伸している。欧州圏の方がコロナ対策及びコロナ不況からの回復で米国に先行するのではないかとの見方もユーロ買いを助長している印象だ。
ECBは10月の理事会では金融政策を現状維持としたが12月会合での追加緩和姿勢をにじませてきた。12月2日にはECBのレーン専務理事が「ECBは来週の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)のほか、低金利融資プログラムの見直しを行う可能性がある」との見方を示した。その一方、米国では共和・民主両党のコロナ対策追加案を巡っての対立が続いており合意に達していない。トランプ政権からバイデン政権に替わるまではまとまらない可能性もあり、リスク選好的なドル安のなかでもユーロ高ドル安を助長する環境と思われる。
12月2日は豪ドル米ドルが9月1日高値を上抜いて3月コロナショック以降の高値を更新した。既に3月以降の最高値更新で先行しているNZドル米ドルも高値を更新している。英国とEUのFTA交渉が難航していることでポンド/ドルはやや上値が重くなっているもののそれでも9月1日高値に迫っている。またメキシコペソ、南アランドなど新興国通貨高も続いている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月30日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12月1日深夜にかけての間への上昇を想定してきたが、1日朝時点ではすでに反落注意期にあるとしたものの弱気転換を104.10円割れからとし2日朝時点ではまだ上昇余地が残るとした。
2日夜に1日深夜高値を上抜いて11月24日深夜高値と同値まで戻したが、その後に反落しているため、2日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。安値形成期は12月3日朝から7日朝にかけての間と想定されるので既に反騰注意期に入ってきているが、2日夜高値を上抜けないうちは一段安余地ありとし、新たな強気サイクル入りは2日夜高値超えからとする。
60分足の一目均衡表では2日夜高値からの反落で先行スパンの上限まで下げているが3日早朝時点では遅行スパンが実線を割り込んでいない。先行スパンからの転落を回避するうちは上昇再開余地ありとするが、先行スパン転落からは下げ足が早まるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。2日夜高値超えからは新たな上昇期入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は2日夜高値形成時に70ポイントを超えたがその後の反落で50ポイントを割り込んでいる。60ポイントを超えないうちは一段安余地ありとみて30ポイント前後を目指す下落を想定する。60ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移に入る場合は上昇再開の可能性を優先する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.20円を下値支持線、2日夜高値104.75円を上値抵抗線とする。
(2)2日夜高値を超えないうちは一段安余地ありとし、104.20円割れからは60分足の先行スパン転落となるため11月30日午前安値103.83円試しへ向かうとみる。104円以下は反騰注意とするが、104.40円以下での推移なら4日午前にかけても安値試しへ進みやすいとみる。
(3)104.60円超えからは2日夜高値試しとし、高値更新からは新たな上昇期に入るとみて105円台序盤への上昇を想定する。105円以上は反落注意とするが、104.60円以上での推移なら4日午前にかけても高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12/3(木)
09:30 (豪) 10月 貿易収支 (9月 56.30億豪ドル、予想 58.00億豪ドル)
10:45 (中) 11月 財新サービス業PMI (10月 56.8、予想 56.4)
17:50 (仏) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 38.0、予想 38.0)
17:55 (独) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 46.2、予想 46.2)
18:00 (欧) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 41.3、予想 41.3)
18:30 (英) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 45.8、予想 45.8)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -2.0%、予想 0.7%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 2.2%、予想 2.6%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 77.8万件、予想 77.5万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 607.1万人、予想 591.5万人)
23:45 (米) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 57.7、予想 57.5)
24:00 (米) 11月 ISM非製造業景況指数 (10月 56.6、予想 56.0)
12/4(金)
09:30 (豪) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -1.1%、予想 0.5%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 0.5%、予想 1.5%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前年同月比 (9月 -1.9%、予想 0.2%)
18:30 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -639億ドル、予想 -650億ドル)
22:30 (米) 11月 雇用統計・非農業部門民間就業者数 前月比 (10月 63.8万人、予想 50.0万人)
22:30 (米) 11月 雇用統計・失業率 (10月 6.9%、予想 6.8%)
22:30 (米) 11月 雇用統計・平均時給 前月比 (10月 0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (10月 4.5%、予想 4.2%)
23:00 (米) エバンズ・シカゴ連銀総裁、質疑応答セッション参加
24:00 (米) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 1.1%、予想 0.8%)
24:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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