トルコリラ円見通し 13.40円台に抵抗感、3日夕刻の物価上昇率発表に注目(20/12/3)

今後の経済政策への期待感もあって11月24日への下落をやや下げ過ぎたとして利上げ前水準まで持ち直したところだが、利上げ前の水準に達したところで上値が重いようだ。

トルコリラ円見通し 13.40円台に抵抗感、3日夕刻の物価上昇率発表に注目(20/12/3)

13.40円台に抵抗感、3日夕刻の物価上昇率発表に注目

〇トルコリラ円、2日夜高値は13.39で11/30高値に届かずに失速、3日早朝には13.20台序盤へ押される
〇本日発表のトルコ11月消費者物価上昇率注視
〇物価上昇率が予想を超えるなら再びマイナス金利状態への懸念からリラ売り要因となりやすいか
〇13.13割れ回避から13.30を上抜いた場合は上昇継続、13.42超えからは13.50を目指す上昇を想定
〇13.25以下での推移中は下向き、13.13割れから11/24夕安値12.92試しへ向かう流れ

【概況】

トルコリラ円は11月30日夜に13.42円の高値まで上昇、11月24日安値12.92円で13円割れとなってからの戻り高値を切り上げたが、1日夕刻に13.13円まで反落したところからは再び持ち直したものの2日夜高値は13.39円にとどまり30日夜高値には届かずに失速し、3日早朝には13.20円台序盤へ押されている。
トルコ中銀による利上げで反騰したものの11月13日高値を超えられず、その後は買い材料一巡感から下落に転じて利上げ前水準を割り込んだのだが、中銀新総裁が就任早々に大幅利上げを行ったことや新財務相による今後の経済政策への期待感もあって11月24日への下落をやや下げ過ぎたとして利上げ前水準まで持ち直したところだが、利上げ前の水準に達したところで上値が重いようだ。

【マイナス金利状態脱却続くか、3日の消費者物価上昇率に注目】

【マイナス金利状態脱却続くか、3日の消費者物価上昇率に注目】

トルコ中銀は11月19日に政策金利の週間レポレートを従来の10.25%から15.0%へ大幅に引き上げた。外貨準備高の減少や政策金利が消費者物価上昇率を下回る実質マイナス金利状態が長引いたこと、コロナ不況による観光収入の激減や相次ぐ地政学的リスクを嫌気しての海外勢がリラ売りへ向かい、トルコ国内勢もリラ離れでハードカレンシーへ逃避する動きが続いたことでトルコリラは11月6日に11.99円まで史上最安値を更新してきたが、11月7日のトルコ中銀総裁の突然の更迭と11月8日の財務相(大統領の娘婿)辞任から金融政策の展開期待となって11月9日から反騰に転じ、11月13日には13.82円まで大幅上昇してきた。しかし11月19日の中銀利上げ直後の上昇では11月13日高値を超えられず、11月23日には利上げ前水準を割り込んでしまった。一度の利上げでは情勢は変わらないとの見方や、リラ反騰時に中銀が外貨買いに動いた結果の反落ではないかとの報道もあった。

11月24日に12.92円まで下落した後は持ち直しに入り、ジリ高基調での推移が続いてきたが、中銀利上げ前の水準は13.40円を中心に13.30円から13.50円にかけてレンジであり、27日以降は13.40円前後で上値が重くなっている。
12月3日にはトルコの11月消費者物価上昇率の発表がある。消費者物価上昇率の前年同月比は10月の11.89%から12.6%への上昇と予想されているが、生産者物価については10月の18.2%から19.5%へとさらに上昇が予想されている。物価上昇率が予想を超えるようだと再び実質マイナス金利状態へ陥りかねない懸念からリラ売り要因となりやすく、落ち着いた数字になれば実質マイナス金利状態から脱却した状況が維持されるとみてリラ高要因になりやすいと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月24日に13円割れしたところからのジリ高基調が続いていたため、12月1日午前時点では24日夕安値から3日半となる30日朝安値を直近のサイクルボトムとし、12月1日夕刻の下落で30日朝安値をわずかに割り込んだために2日午前時点では底割れによる弱気サイクル入りと仮定したが、1日夕安値からの反発で30日夜高値に迫ったため直近のサイクルボトムを12月1日夕安値へ改める。高値形成期は30日夜高値を基準として12月3日夜から7日夜にかけての間と想定するが、30日夜高値とのダブルトップで終わる可能性もあるので13.25円以下での推移中は弱気転換注意として1日夕安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして4日夕から8日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1日夕刻の下落で先行スパンから転落したところから上抜き返したが、3日早朝には再び先行スパンから転落して遅行スパンも悪化した。このため両スパンそろって好転する場合は上昇再開とするが、遅行スパン悪化中は安値値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1日夕刻の下落で30ポイントまで下げてから切り返しに入り、2日夕刻には70ポイントに到達したが、その後の反落で50ポイントを割り込んできているので。50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。ただし1日夕安値割れを回避しているうちは50ポイント超えから上昇再開とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月1日夕安値13.13円を下値支持線、11月30日夜高値13.42円を上値抵抗線とする。
(2)1日夕安値割れ回避から13.30円を上抜き返す場合は上昇継続とみて2日夜高値13.39円試しとし、高値更新からは11月30日高値13.42円試しとする。13.42円超えからは13.50円を目指す上昇を想定する。13.50円以上は反落警戒圏とするが、13.30円以上での推移なら4日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.25円以下での推移中は下向きとし、12月1日夕安値13.13円割れからは11月24日夕安値12.92円試しへ向かう流れとみる。13.00円以下は反発注意とするが、13.20円以下での推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月3日
 16:00 11月消費者物価 前月比 (10月 2.13%、予想 0.8%)
 16:00 11月消費者物価 前年同月比 (10月 11.89%、予想 12.6%)
 16:00 11月生産者物価 前月比 (10月 3.55%、予想 1.00%)
 16:00 11月生産者物価 前年同月比 (10月 18.20%、予想 19.5%)
 20:30 週次外貨準備高 11/27時点 (11/20時点 437.1億ドル)
12月10日
 16:00 9月失業率 (8月 13.2%、予想 17.4%)
 20:30 週次外貨準備高 12/4時点
12月11日
 16:00 10月経常収支 (9月 -23.64億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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