ドル円、リスク選好ムード後退で反落。米CPIの冴えない伸びも重石
〇ドル円株式市場の軟調、世界的コロナ感染拡大、指標不冴えで105.11まで下落
〇ユーロドルはショートカバー主導で1.18台回復
〇ドル円テクニカルには下落から上昇へのトレンド転換意識させる形状だが上値も重い
〇ドル円ワクチン開発の楽観ムード背景に底堅いが90日線バックの戻り売りも根強い
〇リスク選好ムード一巡で再度105円割り込むか
〇本日の予想レンジ:104.70ー105.60
海外時間の為替概況
12日(木)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。前日海外時間に一時105.68(約3週間ぶり高値圏)まで上値を伸ばすも、90日移動平均線に続伸を阻まれると、@株式市場の軟調推移(大証の日経平均先物が引け間際に急落した他、欧米株も冴えない動き)や、A上記@を背景としたリスク選好ムードの後退、B本邦における新型コロナウイルスの感染拡大(日本国内の1日の新型コロナ感染者数が過去最多)、Cニューヨーク州はレストランやバーを22時で閉店するよう命じるとの前日の報道、D米10月消費者物価指数(結果1.2%、予想1.3%)及びコア指数(結果1.6%、予想1.7%)の予想比低下(ドル売り)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値105.11まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.15近辺で推移しております。尚、パウエルFRB議長は昨日、「新型コロナワクチンの進展を歓迎しつつも、経済の先行きは不透明なまま」と慎重姿勢を示しましたが、市場の反応は限定的となりました。
12日(木)のユーロドル相場はショートカバー主導で急反発。@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大や、AECB当局者(オランダ中銀クノット総裁やラガルドECB総裁)によるハト派的な発言が重石となり、前日海外時間には、一時1.1746(約1週間ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、主要テクニカルポイントが密集する1.17台半ばで下げ渋ると、ショートカバー主導で反発に転じ、1.18丁度付近のストップを巻き込む形で、一時1.1823まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1805近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週末金曜日(11/6)に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をボトムに反発に転じると、11/11にかけて、約3週間ぶり高値となる105.68まで急騰しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的にみて、トレンド転換(下落→上昇)を意識させるチャート形状となっております(しかし、4日連続で90日移動平均線に続伸を阻まれるなど、上値余地も限定的。同水準を突破できないまま時間が経過すると、短期筋による見切り売りを誘発する恐れあり)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(※新型コロナワクチン期待は沈静化。楽観ムードの逆流に警戒)、E日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。昨日は株式市場がグローバルに反落)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料は引き続き沢山残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、新型コロナワクチンに関する楽観ムードを背景に底堅い動きが続いていますが、ファンダメンタルズ的な弱さを考慮すれば、ここからの上値余地は乏しいと判断できます(テクニカル的にも90日移動平均線をバックに戻り売り圧力が根強い状態)。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナワクチンに関する続報、米経済指標の結果(米10月生産者物価指数、米11月ミシガン大消費者信頼感指数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(新型コロナワクチンに関する楽観ムードは一巡。本日は週末のポジション調整を通じたリスク選好ムードの巻き戻しに要注意。ドル円は再度105円を割り込む展開か)。
本日の予想レンジ:104.70ー105.60
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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