ドル円見通し 11日深夜に高値更新した流れ続かず、105円台前半中心の持ち合い放れ待ち(20/11/13)

高値更新の流れは続かずに12日は終日の失速で105円割れ寸前のところまで押し込まれている。

ドル円見通し 11日深夜に高値更新した流れ続かず、105円台前半中心の持ち合い放れ待ち(20/11/13)

11日深夜に高値更新した流れ続かず、105円台前半中心の持ち合い放れ待ち

〇ドル円、11/11深夜105.67の高値更新以降流れ続かず、11/12終日失速で105円割れ寸前となる
〇米雇用関連指標、予想を下回るものの依然として高水準続く
〇11/12のNYダウ・ナスダックともに下落、米長期国債利回りも低下
〇11/12の為替市場、方向性まちまちの展開
〇米国での新型コロナ新規感染者数、11/11過去最多となる、感染爆発収まらず
〇105円割れ回避か一時的な割り込みなら、105.35を超えるところから上昇再開とみて105.67試しとする
〇105円割れから続落に入る場合は104.50前後、次いで104.00前後を段階的に試す流れとみる

【概況】

ドル円は11月6日夜に103.17円をつけて3月コロナショック暴落時以来の安値となったところから反騰入りし、9日の米ファイザー社によるワクチン治験の好成績と早期承認申請見込みの報道から105円台を回復して9日深夜には105.64円の高値を付けた。11月10日昼に104.81円までいったん下げたものの105円割れを買い戻されて11日深夜には105.67円まで高値を若干切り上げた。しかし高値更新の流れは続かずに12日は終日の失速で105円割れ寸前のところまで押し込まれている。
12日はNYダウが続落、為替市場ではユーロドルが戻したもののポンドや豪ドル等が下落するなどまちまちの動きで方向感にかけ、米週間失業保険申請件数の高止まりや消費者物価上昇率の低調さ等もありドル円におけるリスク先行型の円安を継続しきれずにジリ安推移となった印象だ。

米労働省が発表した11月7日までの週間の新規失業保険申請は70万9000件で前週から4万8000件減少、市場予想の73.5万件を下回ったが、70万件台の高水準が続いている状況は解消されなかった。失業保険受給者総数は10月31日までの週間で678万6000人、前週比43万6000人減少で市場予想の690万人を下回ったが、依然として高水準が続いている。
米労働省が発表した10月の米消費者物価指数は前月と変わらず、市場予想の0.1%上昇を下回った。エネルギーと食料品を除いたコア指数の前月比も変わらずで市場予想の0.2%上昇を下回った。前年同月比は全体で1.2%上昇したものの市場予想の1.3%上昇を下回り、コアも1.6%上昇で予想の1.8%上昇を下回った。

【為替市場の方向性まちまち、ワクチン供給期待よりも足元の感染爆発への不安】

11月9日のファイザー社報道で3万ドルに迫って史上最高値を更新したNYダウはその後は高値更新へ進めずに急騰一服となり12日は前日比317.46ドル安と下落した。ハイテク株中心のナスダック総合指数も76.84ポイント安と下落。株安により米長期国債は買われて米10年債利回りは前日比0.08%低下の0.88%、30年債利回りも0.10%低下の1.64%となった

米ファイザー社等によるワクチン供給への期待が高っているものの供給までには時間がかかること、11日の米国では新型コロナウイルスの新規感染者が14万5000人を突破して過去最多となったことで感染爆発が収まらないことが期待先行での株高にブレーキをかけている。ファイザー社のCEOが自社株を大量に売ったとの報道も期待に水を差している。
11日からECB主催のフォーラムが開催されているが、その中の講演でパウエル議長は「ワクチン生産と配布の時期、予防効果を考慮すれば、経済の短期見通しを評価するのは時期尚早」「今後数か月は試練に直面する可能性がある」とワクチン供給による状況改善への過剰な期待にくぎを刺した。ECBのラガルド総裁も「不確実性が非常に強い状況だが今は向こう岸が見えている」と期待を示しつつも「コロナによる長期的な打撃をできる限り小さくするための金融政策と財政政策による支援が引き続き必要だ」と述べている。

為替市場ではドル円が11日深夜高値からジリ安、ユーロドルが11日深夜安値から持ち直しでドル安反応となっているものの、ポンド/ドルは11日夕刻高値からの下落が継続し、豪ドル米ドルも10日夜安値を割り込んで9日夜高値以降の安値を更新してドル高反応となっている。11月9日以降、為替市場の方向性も定まらなくなっており先週までのドル全面安から次の方向を模索している印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月6日夜安値ボトムとして急伸したが、9日深夜高値以降は高値圏での三角持ち合いの様相となったために11日朝時点では9日深夜高値を直近のサイクルトップとし、11日深夜の上昇でわずかに9日深夜高値を上抜いたために12日朝時点では三角持ち合いの終点となる11日午前安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りと仮定した。また高値形成期は12日夜から16日深夜にかけての間と想定したもののわずかな高値更新にとどまったためにダブルトップ形成に終わる可能性もあると注意して11日午前安値割れからは弱気サイクル入りとした。
11日深夜高値からのジリ安が続いているために11日深夜高値をサイクルトップとしてすでに弱気サイクル入りしている可能性がある。11日午前安値割れを回避するうちは105.35円超えから上昇再開とみるが、11日午前安値割れからは弱気サイクル入りとみて16日午前から18日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では13日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、先行スパン突破からは一段高へ進む可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11日深夜高値からの下落継続で50ポイント割れの状況が続いている。50ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できずに失速するうちは下落基調継続とし、上昇再開には55ポイントを超えてさらに続伸する反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)11月9日深夜高値と11日深夜高値によるダブルトップ形成により、9日の急騰に対する揺れ返しの下落へ向かう可能性があるが、105円台を維持するかわずかに割り込んでも持ち直すうちは105円台前半中心での高値圏維持としての持ち合いにとどまり、持ち合い上放れから一段高へ向かう可能性も合わせ持つところと思われる。
(2)105円割れ回避か、一時的に割り込んでも105.35円を超えるところからは上昇再開とみて11日深夜高値105.67円試しとし、高値更新からは持ち合い上放れによる一段高入りとして106円台序盤を目指すとみる。106円到達では売られやすいとみるが、材料を伴っての上昇なら106円台中盤へ向かう可能性も出てくるとみる。
(3)105円割れから続落に入る場合はダブルトップ形成からの下落期入り及び持ち合い下放れとして104.50円前後、次いで104.00円前後を段階的に試す流れとみる。105円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/13(金)
16:00 (ト) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 3.4%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 9月 貿易収支・季調済 (8月 219億ユーロ、予想 224億ユーロ)
19:00 (独) バイトマン独連銀総裁、講演
19:00 (欧) 9月 貿易収支・季調前 (8月 147億ユーロ)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 12.7%、予想 12.7%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 -4.3%、予想 -4.3%)

22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 0.4%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 0.4%、予想 0.4%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前月比 (9月 0.4%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 1.2%、予想 1.2%)
22:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (10月 81.8、予想 82.0)


注:ポイント要約は編集部

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