ドル底堅い展開か、米株の動きに依然要注意
〇ドル円、一時104.80-85と値を下げたがやや持ち直し、105.05-10で欧米時間迎える
〇トルコリラ円、昨日1円近い上昇だったが、本日一時12円半ばへ値を崩す
〇新型コロナ、感染拡大の一方でワクチン開発の明るい話題も、両者の綱引き商状が続くか
〇米国株価の荒っぽい動き、引き続き動静に要注意
〇本日、欧米要人による各種発言に要注目
〇欧米時間の予想レンジ104.50-105.70
<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場は、ドルが冴えない。前日にトータルで2円以上もドル高・円安が進行したことから、本日はその調整ともいえる動きが優勢だった。
ドル/円は105.30円前後で寄り付いたものの、前日NY終盤の流れを継ぎ、開始早々からドルは弱含み。日米株価の動きなどをにらみつつ、緩やかな右肩下がりをたどると、一時は105円を割り込み、日中安値の104.80-85円へ。しかし下げ止まると、終盤にかけてはやや持ち直し、16時現在では105.05-10円で推移、欧米時間を迎えている。
なお、昨日対円では1円近い上昇を見せたトルコリラだったが本日再び軟調裡。とくに夕方にかけて値を崩すと、対円では一時12円半ばへ。
一方、材料的に注視されていたものは、「コロナワクチン」と「米大統領選」について。
前者は、昨日NYダウはザラ場ベースで1600ドル以上の暴騰をたどったが、その主因となったものが米製薬大手ファイザーによる、「新型コロナワクチンの有効性が90%以上に上った」とする暫定的な臨床試験の結果公表だった。また、信ぴょう性にはハテナマークもつくが、ロシア保健省当局者も同国の国立研究所で開発中の新型コロナワクチン「スプートニクVの有効率は90%超」などと発言し、一時話題に。
対して後者は、開票結果により米大統領選は「バイデン氏勝利」となったが、トランプ大統領は敗北を認めず、依然として宙ぶらりんな状態。様々なフェイクニュースも飛び交うなか、米共和上院トップのマコネル院内総務から「トランプ氏には不正を調べる権利がある」との発言、あるいは「バー米司法長官が司法省に調査を認める」といった報道も観測されていた。ただ反面で、「カナダ首相がバイデン氏と早くも電話会談を実施した」とされるなど、政権移行に向けた動きも幾つか報じられている。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナの拡大はいまだ止まらず、米ジョンズ・ホプキンス大学の調査では、米国における感染者数が9日に累計1000万人を突破したことが明らかになった。また、米国ではカーソン米住宅長官、欧州ではウクライナのゼレンスキー大統領が新型コロナに罹患したと発表されている。一方で、前述したようにワクチン開発についての明るい話題も伝えられており、しばらくは両者の綱引き商状が続く可能性もある。
そうしたなか、NYダウを中心に株式市場が非常に荒っぽい動き。実際、昨日ザラ場ベースでは一時1600ドル超の上昇をたどっていたが、終値ベースでは834ドル高。上げ幅を約半減させて大引けているほか、ナスダックはブラス圏からマイナス圏へと転じて取引を終えている。本日も乱高下、様々な思惑が交錯した値動きをたどると予想する向きは少なくない。米国における株価の動静には引き続き要注意だ。
テクニカルに見た場合、「週内に103円割れ」を見込んでいた向きのショートポジションが串刺しにされると、ストップロスを巻き込みつつ、105.60円台までドルは反騰高をたどっている。チャート的にも、一旦下回ったことで弱気に転じたと見られた104円レベルを再び上回ってきており、少なくともドルの下値リスクが解消された感を否めない。むしろ、移動平均の21日線に続き90日線(105.70-80円)も超えてくるようだと、さらなるドル高進行すら否定出来なくなりそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「法廷闘争の可能性も高まってきた米大統領選」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の材料としては、9月のJOLT雇用動態調査という米経済指標の発表が予定される予定だが、市場の関心は低く、基本的にはノーインパクトか。それよりむしろ、昨日同様に講演などが多いことから、欧米要人による各種発言には注意を払いたい。ちなみに、バイデン新米政権における財務長官候補として取り沙汰されているブレイナードFRB理事も、ある講演イベントに参加する予定だという。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは104.50-105.70円。昨日高値も程近い、移動平均の90日線が位置する105.70-80円の攻防にまずは注目。上抜けると、いよいよ106円台回復も。
対するドル安・円高方向は、昨日NYクローズでもしっかりと上回ってきた移動平均の21日線が位置する104.80円レベルが最初のサポート。下回ると104.70円や104.40-45円、104.10-15円などが意識される展開か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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