ドル円、前日海外時間の急騰の反動で一時104円台へ下落するも下値は堅い
〇ドル円アジア時間の105円割れから、NYダウ続伸等を材料に一時105.50まで反発
〇ユーロドル米長期金利上昇、欧州指標不冴えに1.1780まで下落後EUの追加景気刺激策期待に持ち直す
〇ドル円テクニカルには下落から上昇へのトレンド転換を意識させる形状
〇一方でファンダメンタルズには不安材料多く、ここからの上昇余地は乏しいか
〇本日の予想レンジ:104.90ー105.90
海外時間の為替概況
10日(火)の外国為替市場でドル円は下落後に持ち直す展開。前日海外時間に急騰(※米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチン候補に関するポジティブな報道を受けて、前日11/9のドル円相場は103.25から105.64まで急騰)した反動を受けて、11/10のアジア時間は一時104.82まで反落しました。しかし、21日移動平均線に続落を阻まれると、@米長期金利の上昇を受けたドル高圧力や、A米主要株価指数の堅調推移、B上記Aを背景としたリスク選好の円売り圧力、C対ユーロでのドル高圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけては、高値105.50まで反発しました(※前日高値105.65には一歩届かず)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.30近辺で推移しております。
10日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。欧州時間序盤にかけて高値1.1843まで上昇するも、@米長期金利の上昇(ドル高)に続伸を阻まれると、A対英ポンドでのユーロ売り圧力や、Bドイツ11月ZEW景況感指数(結果39.0、予想41.7、前回56.1)の冴えない結果(欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ドイツ経済の先行き不透明感が再燃)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.1780まで下落しました。もっとも、米国時間午後にかけては、C欧州連合(EU)が1.8兆ユーロ規模の予算及び景気刺激策の取りまとめに向けて前進との一部報道が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1825近辺まで持ち直す動きとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週末金曜日(11/6)に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をボトムに反発に転じると、11/9には、約3週間ぶり高値となる105.64まで急騰しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的にみて、トレンド転換(下落→上昇)を意識させるチャート形状となっております(昨日はアジア時間に一時104.82まで下落するも、すぐに105円台半ばへ値を戻すなど地合いは強い)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(※新型コロナワクチン候補に関するポジティブな報道が出てきているが過度な楽観は禁物)、E日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、新型コロナワクチンに関するポジティブな報道を受けて底堅い動きが続いていますが、ここからの上昇余地は乏しいと判断できます(※新型コロナワクチン候補に関するポジティブな報道は、これまで米株を下支えしてきた、@米FRBによる大規模金融緩和、A米政府による追加財政支援策、の両者の打ち止めを意識させる材料にもなり得る)。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナワクチンに関する続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:104.90ー105.90
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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