ドル円、米大統領選挙が予想外の接戦にもつれ込む中、不安定な値動きが継続
〇ドル円東京時間に105.35まで上昇後、米国時間に104.15まで下落する荒い展開
〇その後は共和党上院過半数獲得見込みで株価上昇、リスク選好回復に104.45まで戻す
〇ユーロドル大統領選の開票につれ1.1769まで上昇後1.1605まで急落、朝方は1.1720レベルで取引
〇ドル円大統領選の接戦で不安定な相場展開続く
〇本日の予想レンジ:103.50ー105.50
海外時間の為替概況
4日(水)の外国為替市場でドル円は急伸後に急反落。@米大統領選挙にてバイデン氏優勢(上下両院での民主党勝利)の観測が広がったこと、A上記@を背景に株式市場が大幅高となったこと(米政治の先行き不透明感払拭を織り込む展開→リスク選好ムード)等が支援材料となり、アジア時間正午にかけて、高値105.35まで急伸しました。しかし、Bトランプ米大統領の予想外の善戦(フロリダなど激戦州における善戦)が伝わると、C米政治の先行き不透明感が再燃し、米国時間朝方にかけて、104.15まで急落する荒々しい値動きとなりました。もっとも、その後は、D米主要株価指数が堅調に推移(共和党が上院の過半数議席を取得するとの思惑→民主党が掲げるキャピタルゲイン税の増税や規制強化が回避できるとの期待→ハイテク株中心に米主要株価指数が急伸)する中、Eリスク選好ムードが再開し、本稿執筆時点(日本時間5時15分現在)では、104.45近辺まで持ち直す動きとなっております。尚、この日発表された米10月ADP雇用統計(結果36.5万人、予想64.3万人)は市場予想を大幅に下回る冴えない結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
4日(水)のユーロドル相場は乱高下するも方向感見出せず。@欧米株の上昇(リスク選好のドル売り)を背景に、アジア時間朝方にかけて、高値1.1769まで急伸するも、A米大統領選挙にてバイデン氏優勢(上下両院での民主党勝利)の観測が広がると、B欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念(ユーロ圏の大半の国でロックダウン開始)や、CECBによる追加緩和観測も重石となり、アジア時間正午にかけて、安値1.1605まで急落する荒々しい値動きとなりました。もっとも、その後は、D米主要株価指数の上昇を背景に、リスク選好のドル売りが再開し、本稿執筆時点(日本時間5時15分現在)では、1.1720近辺まで持ち直す動きとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、10/29に一時104.03(約1ヵ月半ぶり安値)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や移動平均線のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日も一時104.15まで下落)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C米政治の先行き不透明感(米大統領選挙の結果に対する不透明感が継続)、D朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染拡大(欧米を中心にロックダウン再開→欧米経済の先行き不透明感→リスク回避ムード再燃)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、I米財政収支赤字の拡大(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。米大統領選挙に関する続報や、新型コロナウイルスに関するヘッドライン、欧米株及び欧米長期金利の動向、米主要経済指標の結果(米新規失業保険申請件数や米FOMC)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米大統領選挙が予想外の接戦となっており、引き続き開票速報を睨みながらの不安定な相場展開が続く見込み。尚、米政治の先行き不透明感が払拭されていないことから、今晩予定されている米FOMCでは現行政策の据え置きが見込まれ、サプライズは特段無いと予想される)。
本日の予想レンジ:103.50ー105.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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