ドル円見通し 米大統領選挙開票速報で為替市場は乱高下。米国株式市場は構わず続伸(20/11/5)

ドル円は午前安値104.36円から昼前高値105.33円まで急伸して10月26日高値105.05円を超えた。

ドル円見通し 米大統領選挙開票速報で為替市場は乱高下。米国株式市場は構わず続伸(20/11/5)

米大統領選挙開票速報で為替市場は乱高下。米国株式市場は構わず続伸

〇ドル円、4日午前安値104.36から昼前に105.33まで急伸するも夜には104.14まで失速
〇米ADP発表の10月全米雇用報告は非農業部門民間就業者数が前月比30万5000人と市場予想を下回る
〇米商務省の9月貿易統計はモノとサービスを合わせた貿易赤字は638億6200万ドルで3カ月ぶりに縮小
〇NYダウは米経済指標や大統領選の開票速報などにさほど影響されず前日比367.63ドル高で3連騰に
〇104.85以下での推移中は一段安余地あり、104.15割れから103円台前半への下落を想定
〇104.85超えからは強気転換注意として105.33試しへ

11月4日は早朝から米大統領選挙開票速報を見ながら為替市場は乱高下となった。11月2日から3日にかけてNYダウが大幅連騰となったことで為替市場ではドル安が進みユーロドル、ポンドドル、豪ドル米ドル等が上昇し、ドル円は2日夕刻高値104.94円で105円に迫ったものの届かずに失速に転じていた。米大統領選挙の結果がどうなろうと混乱回避で新政権が経済対策へ進めば株高基調は続くとの楽観心理が株高を助長し、為替市場もそれにならった印象だった。

4日早朝にバイデン氏優勢と報じられるとリスク選好感でのユーロ高、ポンド高、豪ドル高等が一段と進みかけたが、直後にトランプ大統領の巻き返しや中間集計でトランプ氏勝利の可能性も出てきたとして混乱への懸念からドル高へ急旋回し、ユーロやポンドなどが急落する中でドル円は午前安値104.36円から昼前高値105.33円まで急伸して10月26日高値105.05円を超えた。ところがバイデン氏勝利の可能性も継続し、上院では民主党が過半数を確保できないことで議会運営のねじれ解消にはならずに経済政策などの大きな転換をせずに継続するとの見方が強まり夕刻からはユーロ等が持ち直し、逆にドル円は午前急騰の梯子は外される恰好で4日夜には104.14円迄失速した。

米ADPが発表した10月の全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比36万5000人増となり市場予想の65万人増を下回った。9月は速報の74万9000人増から75万3000人増へ若干上方修正された。
米商務省が発表した9月の貿易統計ではモノとサービスを合わせた貿易赤字は前月比4.7%減の638億6200万ドルとなり3か月振りに縮小した。モノの貿易赤字は3.7%減の806億8600万ドルだった。
全体の輸出は2.6%増、モノの輸出は3.1%増、中国向け輸出は2018年3月以来の高水準となった。輸入は全体で0.5%増、モノの輸入は0.3%増となり2019年12月以来の高水準となった。中国からの輸入は2019年7月以来で最高だった。
米ISMの10月サービス業景況指数は56.6となり9月の57.8から低下して市場予想の57.5を下回り、5か月振りの低水準となった。

【NYダウは3日連続の大幅上昇で、大統領選挙結果にかまわず楽観的上昇へ進む】

NYダウは9月3日高値と10月12日高値をダブルトップとして下落に転じ、10月30日には26143.77ドルまで安値を切り下げていた。3月のコロナショック暴落からの持ち直し相場もコロナショック前水準に概ね到達したところで米大統領選挙の混迷情勢に入り、欧米の感染拡大が深刻化する中でアフターコロナの復興期待相場も戻り一巡となっての失速だった。

しかし、11月2日に前日比423.45ドル高、米大統領選挙投票日の3日には同554.98ドル高と大幅上昇した。どちらが勝利しても経済対策が進み始めるであろうとの期待が優先して選挙後の株高を見込んだ先行的な買いがNYダウを押し上げたと思われる。4日の開票速報から金融市場全般が乱調となり、夜に発表されたADP民間雇用報告やISMサービス業景況指数が予想を下回ったこと等もさほど影響せずに前日比プラス圏を維持して推移し、当初のバイデン氏優勢からトランプ氏優勢へと開票速報も変わり、その後にまたバイデン氏有利へと変わったがお構い無しに前日比367.63ドル高で3連騰となった。ただ、高値からは300ドルを超える上げ幅の削りもあり、不安心理は解消しきれていないようだ。

【振り回される為替市場】

ユーロドルは4日午前に1.1769ドルまで上昇した直後に1.1602ドルまで急落して11月2日安値を割り込んだが、その後は1.170ドル台前半を回復するV字反発となり4日午前高値に迫っている。米大統領選挙の決着がついて株高基調継続ならユーロドルの上昇も再開しやすいと思われる。ポンドドルは4日午前高値から急落後、夜にいったん戻したが5日早朝は5日夜の英中銀金融政策決定会合へ向けてマイナス金利導入検討の報道もあって下落している。また豪ドル米ドルはユーロドルに近い展開で午前高値から急落後はV字反騰で4日午前高値に迫っている。
全般に為替市場は乱高下に見舞われ、ドル円も巻き込まれる状況であった。そうした中での米国株の大幅続伸はやや楽観的過ぎる印象もあるところだが、株高ならリスク選好で為替市場においてはドルストレートでのドル安へ、ドル円は米長期金利を見ながら円高へ進むか株高同調でリスク選好的な円安を優先させるのかを判断しながらの展開が続くと思われる。5日朝時点では全般的なドル安感を優先してやや下落基調での開始となっているようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月29日夜安値を前回のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、2日午前時点ではすでに26日夜高値から5日目となる11月2日夕高値で直近のサイクルトップをつけて下落期に入ったとし、ボトム形成期を3日夜から5日夜にかけての間と想定した。4日午前に安値を切り下げてから105円超えへ急伸したため、まず4日午前安値で直近のサイクルボトムを付けたが、その後の急落により4日午前高値を直近のサイクルトップとして底割れによる新たな弱気サイクルに入ったと思われる。新たなボトム形成期は9日午前から11日午前にかけての間と想定する。104.85円超えからは強気転換注意として4日午前高値試しとする。

60分足の一目均衡表では4日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は4日午前の上昇で70ポイントを超えたがその後の反落で30ポイント台へ失速した。50ポイント以下での推移が続いているのでまだ一段安余地ありとし、強気転換には60ポイントを超える上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月4日夜安値104.15円を下値支持線、104.85円を上値抵抗線とする。
(2)104.85円以下での推移中は一段安余地ありとし、4日夜安値割れからは103円台前半への下落を想定する。103.50円以下は反発注意とするが、104.75円以下での推移が続くうちは6日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)104.75円以上は戻り売りにつかまりやすいとみるが、104.85円超えからは強気転換注意として4日午前高値105.33円試しへ向かうとみる。その場合はダブルトップ形成からの反落に注意する。

【当面の主な予定】

11/5(木)
09:30 (豪) 9月 貿易収支 (8月 26.43億豪ドル、予想 37.00億ドル)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 4.5%、予想 2.0%)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前年同月比 (8月 -2.2%、予想 -1.2%)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前月比 (8月 4.4%、予想 -1.5%)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 3.7%、予想 2.8%)
21:00 (英) イングランド銀行(BOE)政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 7450億ポンド、予想 8450億ポンド)
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨

21:30 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、会見
22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性速報値 前期比 (4-6月 10.1%、予想 5.2%)
22:30 (米) 7-9月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (4-6月 9.0%、予想 -9.9%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 75.1万件、予想 74.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 775.6万人、予想 720.0万人)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、会見

11/6(金)
06:30 (豪) 10月AiGサービス業PMI (9月 36.2、予想 37.0)
08:30 (日) 9月 全世帯消費支出 前年同月比 (8月 -6.9%、予想 -10.3%)
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、四半期金融政策報告
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -0.2%、予想 3.9%)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -9.6%、予想 -6.1%)

22:30 (米) 10月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (9月 66.1万人、予想 60.0万人)
22:30 (米) 10月 雇用統計・失業率 (9月 7.9%、予想 7.7%)
22:30 (米) 10月 雇用統計・平均時給 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (9月 4.7%、予想 4.6%)
24:00 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 0.4%、予想 -0.1%)
24:00 (米) 9月 卸売売上高 前月比 (8月 1.4%、予想 1.1%)
29:00 (米) 9月 消費者信用残高 前月比 (8月 -72.2億ドル、予想 75.0億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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