ドル円見通し ドル全面安一服で21日深夜安値からの持ち直し続く
〇ドル円、10/21深夜104.34まで急落の後、ドル全面安一服で持ち直し、104円台後半へジリ高を続ける
〇10/22NYダウ前日比152.84ドル高、ナスダック21.32ポイント高、米10年債利回り0.86%の高水準
〇昨日発表の経済指標、雇用関連は良好な結果、米中古住宅販売件数は2006年以来の高水準
〇欧州での深刻な感染拡大に伴う規制、ユーロ・ポンドの上値を抑えた印象
〇104.60以上での推移中は上昇余地あり、105円から105.25にかけてのゾーンを試すとみる
〇104.60割れからは下げ再開104.34試しとし、底割れからは103円台後半を試すとみる
【概況】
ドル円は10月21日夕刻の下落で10月15日朝安値105.03円を割り込んで下げ足を速め、21日深夜には104.34円まで急落したが、その後はドル全面安一服で持ち直しの動きに入っている。
為替市場では20日にユーロドルが急伸となり、21日には英国とEUの貿易交渉再開報道からポンド/ドルが一段高となり、豪中銀の利下げ観測で下げていた豪ドル米ドルも反騰したことでドル全面安の様相となり、ドル円も22日にドル売りが加速して急落商状に陥った。しかし21日深夜以降はユーロやポンド/ドルの急騰も一服となり、米長期債利回りが上昇したことやドル安要因でもあった人民元が対ドルで反落したことも影響してドル全面安が落ち着く状況となり、ドル円も104円台後半へジリ高を続けている。
【米長期債利回り上昇、欧州感染拡大の深刻化がユーロ高にブレーキ】
10月22日のNYダウは前日比152.84ドル高、ナスダック総合指数も21.32ポイント高と上昇した。株高による債券売り効果もあり米10年債利回りは前日比0.04%上昇の0.86%となり6月8日の0.88%以来の高水準となった。ただ、株高といってもNYダウは19日に前日比410.89ドル安と大幅下落した後は揉み合いの範囲であり、株高期待による債券売りというよりも米大統領選挙情勢を踏まえてバイデン政権発足後の財政支出拡大による利回り上昇懸念を織り込む動きともいえる。このためか、株高ならリスク選好感が強まって投機通貨買いへ市場心理も向かってユーロ高やポンド高が進んでもよいところで逆に22日はユーロ高やポンド高が一服的な下げとなっている。
ドル円にとっては米長期債利回り上昇はドル高円安要因になるため、ユーロやポンド及び豪ドルや人民元の上昇一服によるドル高再燃感を強めやすいといえる。
米国の追加経済対策では与野党協議が継続しており進展期待が強まっているがまだ最終合意には至らず、仮に合意されたとしても実行は選挙後になるのだろうと思われる。
米労働省が発表した10月17日までの週間新規失業保険申請件数は78万7000件で2週間ぶりに減少、市場予想の86万件を下回った。失業保険受給者総数は10月10日までの週間で837万3000人となり前週から102万4000人減少して市場予想の950万人を下回った。
米調査会社コンファレンス・ボードが発表した9月の景気先行指数は前月比0.7%上昇で市場予想と一致した。
米不動産業者協会(NAR)が発表した9月の中古住宅販売件数は年換算で前月比9.4%増の654万戸となり市場予想の630万戸を上回った。2006年5月の658万戸以来14年4か月振りの高水準であり米連銀による利下げ効果で住宅ローン金利が低下していることが住宅需要を支えている。
【欧米の感染拡大】
米食品医薬品局(FDA)は10月22日に米ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」を新型コロナウイルス感染症で入院を必要とする患者の治療薬として承認した。米国で承認された初のコロナ治療薬となった。レムデシビルはこれまでも緊急時の使用が認可されてトランプ大統領の治療にも利用された。
治療薬への期待が高まる一方、欧米の感染拡大は深刻さを増している。米中西部を中心にインディアナ州、ノースダコタ州、イリノイ州、モンタナ州、オクラホマ州、ユタ州、オハイオ州等の28州で新規感染者数が過去最多となった。米国全体では感染者数が865万人を超えて死者も22.8万人に達している。
欧州全域での感染拡大第二波も深刻だ。フランスで22日に4万人以上増加して99万9000人に達し、夜間外出禁止令の対象が拡大している。ドイツでは1万2519人増と初めて1万人を突破して累計は40万人を超えた。ドイツ政府は近隣国への移動を控えるよう勧告した。
ユーロやポンドは21日深夜へ大幅上昇してきたが、感染拡大による経済活動や移動の規制が強まり始めていることで上値を抑えられた印象もある。米国も感染拡大中であり、為替市場全般がリスク回避的な心理へ向かえばポジション縮小や中立化によるドルの買い戻しも発生してドル高感がぶり返す可能性もあるところだ。またドル円は米長期債利回り上昇により下げ一服ではあるが、欧米の感染拡大が一段と深刻化すればクロス円全般での円買い戻しの動きを強めて円高へ傾斜する可能性もあるところだ。当面はドルの強さが回復するかどうかと円の強さのバランスを見ながらの展開となろうか。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月20日夜高値からの急落が一服して21日夜安値から持ち直しているので、21日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は23日夜から27日夜にかけての間と想定されるが、やや短くなる可能性もあるので既に反落注意期と考える。
21日夜安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが104.60円割れからは下げ再開注意とし、21日夜安値割れからは新たな下落期に入るとみて26日夜から28日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では22日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンに潜り込んで突破を伺う状況となっている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落するところから下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は21日夜への急落で10ポイント台まで大幅低下した後は持ち直しを続けて50ポイント以上での推移となっている。50ポイント以上を維持するうちは上昇継続余地ありとし、45ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.60円を下値支持線、105.25円を上値抵抗線とする。
(2)104.60円以上での推移中は上昇余地ありとし、105円から105.25円にかけてのゾーンを試すとみる。105.20円以上は反落警戒とするが、104.70円以上での推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。
(3)104.60円割れからは下げ再開を経過して21日深夜安値104.34円試しとし、底割れからは103円台後半(104.00円から103.50円)を試すとみる。103.75円以下は反騰注意だが、104.50円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10/23(金)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.8%、予想 0.2%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 2.8%、予想 3.7%)
15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 0.6%、予想 0.5%)
15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (8月 4.3%、予想 5.0%)
16:30 (独) 10月 製造業PMI速報値 (9月 56.4、予想 55.1)
16:30 (独) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 50.6、予想 49.2)
17:00 (欧) 10月 製造業PMI速報値 (9月 53.7、予想 53.1)
17:00 (欧) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 48.0、予想 47.0)
17:30 (英) 10月 製造業PMI速報値 (9月 54.1、予想 53.1)
17:30 (英) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.1、予想 54.0)
22:45 (米) 10月 製造業PMI速報値 (9月 53.2、予想 53.4)
22:45 (米) 10月 サービスPMI速報値 (9月 54.6、予想 54.6)
欧州、夏時間終了
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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