来週の為替相場見通し:『米大統領候補討論会と英欧FTA合意期限がメインイベント』(10/10朝)

ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。

来週の為替相場見通し:『米大統領候補討論会と英欧FTA合意期限がメインイベント』(10/10朝)

米大統領候補討論会と英欧FTA合意期限がメインイベント

〇ドル円トランプ大統領の早期退院米追加景気対策への期待に週央に106.12まで上昇
〇しかし「雲」上限に阻まれ、見切り売り、追加景気策物別れ報道に反落105.61レベルで越週
〇ユーロドルリスク選好のドル売りに堅調推移。
〇ECB関係者のハト派発言、前回疑似用押しのユーロ高牽制にも反応薄で1.1830に上昇して越週
〇ドル円テクニカルに上値重く、ファンダメンタルズにも不安材料多い
〇16日予定の第2回大統領討論会を睨みながらもドル円下落がメインシナリオ
〇来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー106.50 (EURUSD):1.1625−1.1925

今週のレビュー(10/5−10/9)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週間安値105.29で寄り付いた後、@トランプ米大統領の早期退院報道や、A米9月ISM非製造業景況指数(結果57.8、予想56.3)の良好な結果、Bトランプ米大統領による「航空会社や中小企業などへの的を絞った支援策(案)」の発表、Cムニューシン米財務長官とペロシ下院議長による協議再開報道(米追加景気対策期待の再燃)、D上記BCを背景としたリスク選好ムードが支援材料となり、週央にかけて、週間高値106.12まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲上限(106.18)をバックに伸び悩むと、E短期筋による上値の重さを嫌気した見切り売り(106円台で定着出来なかったことに伴う失望感)や、F対ユーロでのドル売り圧力、Gペロシ米下院議長とムニューシン米財務長官の景気対策を巡る協議が物別れに終わったとの一部報道、H米主要株価指数の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力、I米中西部における新型コロナウイルスの感染急拡大(新規感染者数が過去最多)が重石となり、結局105.61前後まで押し返されての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1716で寄り付いた後、早々に週間安値1.1707まで軟化しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、@米国による追加景気対策期待の高まりや、A上記@を背景としたリスク選好のドル売り圧力(欧米株の上昇→リスク選好のドル売り)、Bユーロ圏9月サービス業PMI(結果48.0、予想47.6)及び、Cユーロ圏8月小売売上高(結果3.7%、予想2.2%)の良好な結果、D英合意無き離脱リスクの後退(フロスト英・欧州連合担当交渉官による「欧州連合との合意に向けて真摯に取り組んでいる」との発言や、バルニエ主席交渉官による「英国との交渉が15日ー16日のサミット以降も継続する予定」との発言)、Eバイトマン独連銀総裁による「ユーロ高を過剰に解釈しない」との発言が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.1832(9/21以来の高値圏)まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局1.1830近辺での越週となっております。

尚、今週は、FラガルドECB総裁による「ECBはあらゆる手段を活用する準備がある」とのハト派的な発言や、Gフランスの国立統計経済研究所による第4四半期の国内総生産の下方修正(今回0.0%、前回1.0%)、HレーンECB専務理事による「インフレ目標を達成するため、ECBは新型コロナウイルスによる苦難を克服した後も十分に緩和的な金融政策を維持する必要性がある」との発言、I欧州における新型コロナウイルスの感染再拡大(イタリアで非常事態宣言延長、スペインのマドリードで非常事態宣言発動)、JECB議事要旨での「ユーロ高への懸念を示す」記述など、ユーロ売りに繋がり易い材料も複数見られましたが、市場の反応は限定的となりました(米追加景気対策期待を背景としたリスク選好のドル売りが、ユーロ売り圧力に勝った格好)。

来週の見通し(10/12−10/16)

<ドル円相場>
ドル円は、9/21に記録した約半年ぶり安値104.00をボトムに反発に転じると、10/7には一時106.12(9/14以来の高値)まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲上限(106.18)に続伸を阻まれると、週末にかけて反落するなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(10/7高値106.12、10/8高値106.11といったように2日連続で一目均衡表雲上限トライに失敗)。

ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不透明感(11/3に予定されている米大統領選への不透明感)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク(欧米でのロックダウン再開リスク)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H英合意無き離脱リスクの再燃、I米追加景気対策の後ずれリスクなど、ドル円相場の続落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大及び英国情勢を巡るヘッドライン、米国の主要経済指標の結果(10/13の米9月消費者物価指数や米9月財政収支、10/14の米9月生産者物価指数、10/15のニューヨーク連銀製造業景況指数や米10月フィラデルフィア連銀景況指数、10/16の米9月小売売上高や米9月鉱工業生産、米10月ミシガン大消費者信頼感指数など)、米国の要人発言(来週は米当局者講演が相次ぐ)、米大統領選挙を巡る続報(10/16に予定されている第2回大統領候補討論会)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的な地合いの弱さや、米追加景気対策期待の後退リスクがドル円の重石)。

来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー106.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、9/25に記録した安値1.1612をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約3週間ぶり高値となる1.1832まで上昇しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております。目先は1.1870近辺に位置する一目均衡表雲上限を突破できるか否かに注目が集まりそうです。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク、B朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、C欧州圏における新型コロナウイルス第2波リスク(欧州の新型コロナウイルスの1日あたり新規感染者数が初めて10万人を突破)、DECBによる根強い追加緩和観測、EIMM通貨先物市場における投機筋の高水準のユーロの買い持ちポジション(潜在的なユーロ売り材料)、F英国の合意無き離脱リスク(英国・EU間の通商交渉難航リスク)、GECB当局者による相次ぐユーロ高牽制発言など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。欧米株や欧米長期金利の動向や、ユーロ圏の要人発言(ユーロ高牽制や追加緩和を示唆する発言。10/14のレーンECB専務理事講演やフランス中銀ビルロワドガロー総裁講演に注目)、欧州の主要経済指標の結果(10/13のドイツ10月ZEW景況感調査、10/14のユーロ圏8月鉱工業生産、10/16のユーロ圏9月新車登録台数及び8月貿易収支など)、新型コロナウイルスの感染拡大状況(ユーロ圏各国によるロックダウン再開リスク)、英国・EU間の通商交渉の行方(英国が設定したFTA合意期限10/15までに合意に至らず、15−16日に開催されるEU首脳会議で英国の合意無き離脱リスクが決定した場合はリスクオフのユーロ売りに波及する恐れ。

一方、10/15以降も交渉が続く場合は安堵のユーロ買い)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(欧州当局者によるユーロ高牽制や追加緩和の可能性を滲ませる発言、欧州圏における新型コロナウイルス感染再拡大懸念、英国・EU間の通商交渉の難航リスクがユーロの重石)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1625−1.1925

注:ポイント要約は編集部

米大統領候補討論会と英欧FTA合意期限がメインイベント

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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