トルコリラ週報:『史上最安値更新 地政学的リスクがリラの重石』(10/10朝)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値となる13.31円まで急落しました

トルコリラ週報:『史上最安値更新 地政学的リスクがリラの重石』(10/10朝)

史上最安値更新 地政学的リスクがリラの重石

〇トルコ円 トルコが介入するアルメニア、アゼルバイジャン紛争激化に今週13.34の史上最安値に下落
〇テクニカルの地合い弱く、ファンダメンタルズもリラ売り要因山積
〇トルコに批判的なバイデン候補の優位もトルコリラにはマイナス要因
〇トルコ円相場のさらなる下落を予想 来週の予想レンジ(TRYJPY):13.15ー13.65

今週のレビュー(10/5−10/9)

今週のトルコリラ円相場は、週初13.54円で寄り付いた後、@トランプ米大統領の早期退院報道や、A世界的な株価上昇、Bトルコ9月消費者物価指数(結果11.75%、予想12.15%)の予想比低下が支援材料となり、早々に週間高値13.68円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、Cアルメニアとアゼルバイジャンの紛争激化に端を発した地政学的リスクの高まり(トルコはアゼルバイジャンを全面支援)や、D米大統領選への先行き不透明感(トルコに批判的なバイデン新大統領の誕生リスク)が重石となり、週末にかけて、史上最安値となる13.31円まで急落しました。もっとも、その後は、Eトルコ中銀によるスワップレート引き上げ(10.25%→11.75%)や、F上記Eを背景としたトルコ中銀の次回会合での追加利上げ観測、G欧米株の上昇を背景としたリスク選好ムードの高まりが支援材料となり、13.43円付近まで持ち直しての越週となっております。

来週の見通し(10/12−10/16)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値となる13.31円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転及びパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス継続、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(着々と広がる反トルコ包囲網)、Eトルコを巡る地政学的リスクの高まり(アゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突や、トルコとギリシャの衝突再開リスクなど)、F米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナウイルス感染拡大リスク、H米大統領選を巡る先行き不透明感(トルコに批判的なバイデン氏の優勢が報じられればトルコリラの重石に)など、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力の低下)、地政学的リスクの高まり、米大統領選を巡る不確実性(第2回大統領候補討論会でバイデン氏優勢となればトルコリラを下押し)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落(史上最安値を更新し続ける展開)をメインシナリオとして予想いたします(来週は10/12のトルコ7月失業率や8月経常収支、10/13のトルコ8月鉱工業生産や8月小売売上高に注目)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):13.15ー13.65

注:ポイント要約は編集部

史上最安値更新 地政学的リスクがリラの重石

トルコリラ円日足

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