ドル円見通し 6日ぶりに日足は陰線引け、ドル高一服で上値がやや重いものの底固い(20/9/29)

9月28日のドル円は6日ぶりに日足は陰線引けとなった。

ドル円見通し 6日ぶりに日足は陰線引け、ドル高一服で上値がやや重いものの底固い(20/9/29)

ドル円見通し 6日ぶりに日足は陰線引け、ドル高一服で上値がやや重いものの底固い

〇ドル円、9/28は6日ぶりに陰線引け、リスク回避のドル買い緩むが105.26までで下げ渋る
〇英ポンド、9/28急伸、英中銀副総裁の政策金利に関する認識報道が影響か
〇NYダウ・ナスダックともに9/28は大幅上昇、米国株安に一服感出る
〇ドル円、9/25安値105.238割れを回避し底上げパターンは維持されているが新たな高値更新に進めず
〇105.238を上回るうちは上昇余地あり、105.698を超えからは106円に迫る上昇を想定
〇105.238割れからは調整局面入りとみて105.00から105.75にかけてのゾーン試しとみる

【概況】

 9月28日のドル円は6日ぶりに日足は陰線引けとなった。9月10日から18日まで7日連続の陰線で下落した後、9月21日に104円を割り込むところまで下げてから反騰入りとなり21日から25日までは5日連続の陽線で持ち直してきた。連続陰線による下落時は米国株安を中心としたリスク回避感の強まる中でクロス円における円高がドルストレートにおけるドル高に勝っての下落だったが、21日からの反騰はドル高感がさらに強まったことでドル円においてもドル高円安基調に入ったことが背景だった。

9月28日は欧米の主要経済指標の発表もなく、29日の米大統領選TV討論や週末の米雇用統計を意識しつつ静かな動きで開始していた。先週末にかけてのNYダウ連騰により為替市場でのリスク回避感によるドル買いが一服に入ったことでドル円も9月25日深夜高値105.698円からはやや失速気味の推移となり、28日午後には105.264円まで下げて25日夕刻安値105.238円に迫ったものの安値更新を回避して確りした。その後は英ポンド急伸によりユーロや豪ドル等が上昇したことでドル安感が強まる一方でNYダウの大幅続伸開始によるリスク選好感の拡大によりドル円は上昇、28日深夜には105.6693円の高値を付けたが25日深夜高値超えには至らなかった。

【英ポンド急伸とダウ3連騰】

9月28日は英ポンドが急伸した。ポンド/ドルは9月1日からの下落基調が続いて9月23日には1.26747ドルまで下落し、その後も1.270ドル割れは買い戻されつつも安値圏での推移にとどまっていた。EU離脱協定やFTAを巡る英国とEUの対立が深刻化したために9月1日からのユーロ安ドル高以上にポンド安ドル高が進む展開となり、英中銀総裁がマイナス金利導入への検討姿勢を示したことで9月23日へ続落してきた。しかし28日はラムズデン英中銀副総裁が政策金利の下限は現行の0.1%だとの認識を示したと報じられてから急伸となり、1.27ドル台中盤の水準だったところから20時台に1.29284ドルまで急伸した。その後はポンドの急伸は一服しているが、28日夜のポンド急伸が底固さを見せつつも反騰しきれずにいたユーロや豪ドル等を押し上げる状況となった。

NYダウも28日は前日比410.10ドル高と大幅上昇した。ダウは9月3日に2万9199.35ドルまで上昇して2月12日の史上最高値2万9568.57ドルに迫っていたがその後は金融市場全般のリスク回避的な下落を先導する形で調整局面に入り9月24日には2万6537.01ドルまで続落して6月15日や7月30日の安値を下支えした52日移動平均を割り込んだ。しかし9月24日は安値更新から持ち直して52.31ドル高と反発し、25日は358.52ドル高と上昇、28日も大幅上昇となって3連騰となった。

ナスダック総合株価指数も28日は203.96ポイント高と3連騰となり、9月入りしてからの米国株安に一服感が出ている。28日は米国議会での与野党対立により新型コロナウイルス対策としての追加経済政策がまとまらないとの悲観に対して米野党民主党のペロシ下院議長がムニューシン財務長官と追加経済対策で合意することは可能だと述べたことで株式市場に楽観が広がったようだ。しかし29日には米大統領選でのTV討論、週末には米雇用統計も控えているため、米国株式市場が調整局面から脱却して強気基調を回復するにはそれらを強気で通過する必要があるだろう。

【ドル円は105.50円を挟んだ揉み合いに】

ドル円は9月25日深夜高値105.698円まで上昇した後は新たな高値更新へ進めずにいる。9月21日夕刻に103.998円まで下落したところから持ち直しの上昇に入ってきたが、9月25日深夜にかけては戻り高値を切り上げた後の反落時安値を切り上げて上昇基調を維持してきた。28日午後の下落でも25日夕刻安値割れを回避して底上げパターンは維持されているが新たな高値更新には進めずにいる。ドルストレートでのドル高が緩んで上値が抑えられる一方で米国株高によるリスク選好感で下支えられる力関係でやや膠着状態という印象だ。
9月25日夕安値割れ回避のうちは上昇一服的な横ばい持ち合いにとどまり高値更新へ進む可能性が考えられるが、25日夕安値を割り込む場合は底上げパターンが崩れるので21日からの上昇がいったん一巡して調整安に入る可能性が出てくる。その際には戻り高値が切り下がってその後の安値も切り下がるような展開になると調整期が長引き深くなる可能性があるが、戻り高値切り上げへ向かえば押し目形成による上昇基調再構築へと向かう展開が考えられる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月21日夕安値から1円近い反騰となったために9月23日朝時点では9月21日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてきた。またトップ形成期は23日から24日にかけての間と想定したが、上昇基調が続いているのでトップ形成期の延長入りによる上昇としてきた。
9月25日夕刻にいったん下げてから高値を切り上げたため、25日夕安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしていると思われる。このため25日夕安値割れ回避のうちは9月30日夜から10月2日深夜にかけての間への上昇余地ありとするが、25日夕安値を割り込む場合は底割れによる弱気サイクル入りとみて30日午後から10月2日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月28日午後の下落では先行スパンからの転落を回避したがその後の上昇も鈍く先行スパンが薄いレンジとなっているので転落しやすい状況にある。強弱は25日夕安値を割り込むか25日深夜高値を超えるのかを判断目安とし、25日深夜高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落した状況が続き始める場合は下向きとし、25日夕安値割れからはいったん調整に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月25日深夜高値と28日深夜高値がダブルトップ型となっているところで指数のピークが切り下がっているので弱気逆行の気配がある。50ポイントを割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、40ポイントを割り込む場合はいったん下落に向かうとみて30ポイント割れを試す流れを想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月25日夕安値105.238円を下値支持線、25日深夜高値105.698円を上値抵抗線とする。
(2)105.238円を上回るうちは上昇余地ありとし、105.698円を超えからは106円に迫る上昇を想定する。105.85円以上は反落注意とするが105.50円以上での推移なら30日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.238円割れからは21日以降の底上げパターンが崩れるのでいったん調整局面入りとみて105.00円から105.75円にかけてのゾーンを試すとみる。105.75円以下は反騰注意とするが、105.25円以下での推移が続く場合は30日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/29(火)
米大統領候補、第1回討論会(オハイオ州クリーブランド)
18:00 (欧) 9月 経済信頼感 (8月 87.7、予想 89.5)
18:00 (欧) 9月 消費者信頼感確定値 (速報 -13.9、予想 -13.9)
21:00 (独) 9月 消費者物価指数速報値 前月比 (8月 -0.1%、予想 -0.1%)
21:00 (独) 9月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (8月 0.0%、予想 -0.1%)
22:00 (米) 7月 ケース・シラー米住宅価格指数 (6月 225.13)
22:00 (米) 7月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (6月 3.5%、予想 3.6%)
22:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
22:30 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:00 (米) 9月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (8月 84.8、予想 90.0)
23:00 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
26:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、バーチャルイベント参加
26:00 (米) クォ―ルズFRB副議長、講演

9/30(水)
休場 韓国
06:45 (NZ) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 -4.5%)
08:50 (日) 8月 小売業販売額 前年同月比 (7月 -2.8%、予想 -3.2%)
08:50 (日) 8月 鉱工業生産速報値 前月比 (7月 8.7%、予想 1.5%)
08:50 (日) 8月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (7月 -15.5%、予想 -13.4%)
10:00 (中) 9月 国家統計局製造業PMI (8月 51.0、予想 51.3)
10:30 (豪) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 12.0%、予想 0.0%)
10:45 (中) 9月 財新製造業PMI (8月 53.1、予想 53.1)

14:00 (日) 8月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (7月 -11.4%、予想 -10.1%)
15:00 (英) 4-6月期GDP改定値 前期比 (速報 -20.4%、予想 -20.4%)
15:00 (英) 4-6月期GDP改定値 前年同期比 (速報 -21.7%、予想 -21.7%)
15:00 (英) 4-6月期経常収支 (1-3月期 -211億ポンド、予想 8億ポンド)
15:00 (独) 8月 小売売上高指数 前月比 (7月 -0.9%、予想 0.4%)
15:00 (独) 8月 小売売上高指数 前年同月比 (7月 4.2%、予想 4.2%)
15:00 (英) 9月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (8月 2.0%、予想 0.5%)
16:20 (欧) ラガルド欧中銀(ECB)総裁、発言
16:55 (独) 9月 失業率 (8月 6.4%、予想 6.4%)

21:15 (米) 9月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (8月 42.8万人、予想 65.0万人)
21:30 (米) 4-6月期GDP確定値 前期比年率 (改定値 -31.7%、予想 -31.7%)
21:30 (米) 4-6月期GDP個人消費確定値 前期比年率 (改定値、-34.1%、予想 -34.1%)
21:30 (米) 4-6月期コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 -1.0%、予想 -1.0%)
22:45 (米) 9月 シカゴ購買部景況指数 (8月 51.2、予想 52.0)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前月比 (7月 5.9%、予想 3.0%)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 15.4%)
24:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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