ドル円、リスク回避のドル高・円高で身動き取れず。ユーロはECB後に往って来い
〇ドル円106円台前半で膠着、米主要株価指数は急落
〇ユーロドルECB、記者会見でユーロ高けん制発言出ず1.1917まで急伸、その後1.1810まで押し戻される
〇ドル円心理的節目106円丁度を挟んで方向感に欠ける値動き続く
〇株安→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路に要警戒
〇本日の予想レンジ:105.50ー106.40
海外時間の為替概況
10日(木)の外国為替市場でドル円は狭いレンジ内で膠着。@米主要経済指標の結果がまちまち(米新規失業保険申請件数は冴えない結果となったものの、米8月生産者物価指数や7月卸売売上高は市場予想を上回る結果)となったことや、A米主要株価指数の急落を受けてリスク回避のドル買い・円買いが双方向で生じたこと(引っ張り合ったこと)等が理由となり、ドル円は106円台前半で方向感を見出しづらい時間帯が継続しました。本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、106.14近辺で推移しております。
10日(木)のユーロドル相場は急伸後に急反落(往って来いの展開)。注目されたECB理事会では、予想通り、@主要政策金利(0.00%)、A預金ファシリティ金利(下限▲0.50%)、B限界貸出金利(上限0.25%)、Cパンデミック緊急購入プログラム(1.35兆ユーロ)の全てが据え置かれる結果となったものの、DラガルドECB総裁よりユーロ高を是正する措置(ユーロ高牽制発言等)が見られなかったことから、市場ではECBがユーロ高容認しているとの思惑が強まり、米国時間には、一時1.1917(9/1以来の高値圏)まで急伸する展開となりました。もっとも、心理的節目1.20をバックに伸び悩むと、引けにかけては再び反落。E英国の合意無き離脱リスクの高まりを受けた英ポンドの急落(ユーロ連れ安)や、F米主要株価指数の急落を受けたリスク回避のドル買い・円買いが重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1810まで押し戻される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、心理的節目106円丁度を挟んで方向感に欠ける値動きが続いております(一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限が全て同水準に密集する状態)。テクニカル的にみて、レンジ相場の継続(方向感を見出しづらいトレンドレスな相場展開)が予想されます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違い(日本側は安倍晋三首相辞意表明を経てアベノミクス終了の思惑が広がる一方、米国側はジャクソンホールを経て大規模量的緩和の長期化期待。9/15ー9/16に予定されているFOMCに向けた追加緩和期待もドル売り要因)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C日米の政局不透明感(9/14の自民党総裁選及び、11/3の米大統領選への警戒感)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の大幅な乖離(株安に端を発したリスク回避ムードの再燃→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、ファンダメンタルズ主導で上値を切り下げる展開が想定されます。欧米株の動向(株安が続くか否か)や、米中対立激化に関するヘッドライン(トランプ米大統領のツイート内容に注目。11/3の米大統領選に向けて対中強硬姿勢が強まる可能性あり)、米主要経済指標の結果(米8月消費者物価指数など)、英国情勢(合意無き離脱懸念が一段と高まるか否か)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(昨晩は株安を背景にドルと円が引っ張り合う形となりましたが、本日は株安→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路に要警戒)。
本日の予想レンジ:105.50ー106.40
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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