ドル円、リスク回避ムード再燃で一時106円割れ。クロス円の下落が重石
〇ドル円連休明けの米主要株価指数下落で一時105.86まで下落、米市場引けにかけ106円台回復
〇ユーロドルは英合意なき離脱リスク、ECBの緩和観測等に一時1.1766まで下値広げる
〇ドル円、ファンダメンタルズの弱さを材料に上値を切り下げるシナリオが想定される
〇米中の主要経済指標英国のEU離脱を巡る続報注視
〇本日の予想レンジ:105.50ー106.40
海外時間の為替概況
8日(火)の外国為替市場でドル円は上昇後に急反落。@対ユーロや対英ポンド、対資源国通貨でドル高が加速したことを受けて、欧州時間朝方にかけて高値106.39まで上昇しました。しかし、前日高値と同水準(106.39)で続伸を阻まれると、A米主要株価指数の下落(レーバーデー明けの米国勢がリスクアセット売りで参入)を受けたリスク回避ムードの再燃(対主要通貨でドル高→クロス円下落→ドル円下落の波及経路)や、B米中対立激化懸念(トランプ米大統領は中国との経済関係を制限する姿勢を強調)、C来週の米FOMC(連邦公開市場委員会)を前にした追加緩和観測の高まりが重石となり、米国時間には一時105.86まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、106.05近辺で推移しております。
8日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。@英国の合意なき離脱リスクの再燃(ショルツ独財務相による悲観的な発言や、英国政府の法務部長であるジョーンズ氏の辞任報道などを受けて、英ポンド急落→ユーロドル連れ安の展開)や、A今週木曜日に予定されているECBでの根強い追加緩和観測、Bユーロ圏第2四半期GDP(結果▲14.7%、予想▲15.0%)の冴えない結果、C米主要株価指数の下落を受けたリスク回避ムードの再燃(対主要通貨でドル高・円高が進行)が重石となり、米国時間にかけて、一時1.1766まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1784近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、心理的節目106円丁度を挟んでの方向感に欠ける値動きが続いております(一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限が全て同水準に密集する状態)。テクニカル的にみて、レンジ相場の継続(方向感を見出しづらいトレンドレスな相場展開)が予想されます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策余力の違い(日本側は安倍晋三首相辞意表明を経てアベノミクス終了の思惑が広がる一方、米国側はジャクソンホールを経て大規模量的緩和の長期化期待。9/15ー9/16に予定されているFOMCに向けた追加緩和期待もドル売り要因)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(トランプ米大統領が再び対中強硬姿勢を強調)、C世界的な貿易戦争拡大リスク、D日米の政局不透明感(9/14の自民党総裁選及び、11/3の米大統領選への警戒感)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、G日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、H米株安を背景としたリスク回避ムードの再燃リスク(実体経済と株式相場の乖離)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、ファンダメンタルズ的な弱さを材料に上値を切り下げるシナリオが想定されます。欧米株の動向や、米中対立激化に関するヘッドライン、トランプ米大統領のツイート内容、米中の主要経済指標の結果(中国8月消費者物価指数、中国8月生産者物価指数、米MBA住宅ローン申請件数など)、英国のEU離脱を巡る続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(リスク回避のクロス円売り→ドル円連れ安の波及経路を注意)。
本日の予想レンジ:105.50ー106.40
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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