英国情勢注視、ドルよりポンドに要注意か
〇ドル円、前日NY市場休場の流れ受け、106円前半、15ポイントにも満たないほぼ横ばい推移
〇英国情勢、EU通商交渉について英国は強硬な姿勢が伝えられる
〇米中関係、デカップリングに触れるなど引き続き対立が観測される
〇英・EU主席交渉官級協議に注視、ポンドへの影響の可能性も
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ105.80-106.70
<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場は、凪相場。前日NY休場の流れを受けてか、106円前半、15ポイントにも満たないほぼ横ばい推移に終始している。
ドル/円は106.25円前後でオープンしたものの、動意が乏しい。106.20-35円といった非常に狭いレンジ取引となった。日経平均株価が終値ベースで184円高となるなど、時間外取引である米株ともに大幅高をたどったが、為替市場への影響は限定的なものにとどまっている。16時現在では106.20-25円で推移し、欧米時間を迎えていた。
そうしたなか、やはり小動きではあるもののポンドが続落。対円やドルなどで依然として冴えない。EUとの通商交渉に対する警戒感が強く、この日もポンドの弱材料に。
一方、材料的に注視されていたものは、「英国情勢」と「米中の対立」について。
前者は、昨日報じたように、週末に主要英紙でEU通商交渉についてネガティブなニュースが相次ぐなか、昨日はジョンソン英首相が「交渉期限を10月15日に設定した」と正式に発表、これが思惑を呼ぶ格好となった。そんな強硬な英国の姿勢について、欧州サイドはフォンデアライエン欧州委員長から「英政府が離脱協定を履行すると信じている」などとするやや腰の引けたような発言も聞かれたものの、一方でEUから「英国が離脱合意の修正を試みれば、通商協定はそもそも実現しない」などとした警告も発せられていたようだ。
対して後者は、トランプ政権が中国の半導体受託生産(ファウンドリー)大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)に対し禁輸検討とした報道について、中国外務省が「米政府は中国企業に露骨なイジメをしている」と指摘。外国企業への抑圧を止めるよう求めた。その一方、「中国政府が、中国に駐在する米メディアの記者への記者証更新を停止したことが分かった」との報道や、トランプ大統領から「中国と取引をやめても米国が失うものはない」とし、デカップリングに改めて言及した発言が聞かれるなど、そこここで双方のやり合いが観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
本日の東京時間、正式に自民党総裁選が告示され、予想通りに石破、菅、岸田の3氏が立候補の届け出を行った。そんな「日本の政局」や、前述した「米中の対立」は引き続き要注意だが、こののち新たなニュースなどがなければ、ドル/円の動きは本日も限定的か。マーケットの関心も、英国を含めた欧州情勢へと移行している感を否めず、むしろユーロやポンドの価格変動に注意を払いたい。
材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」など注目要因は依然として目白押し。それらに加え、ここにきて「安倍首相辞任とその後継者人事」と「ベラルーシ情勢」も新規要因として注目を集めはじめている。そのなか、先でも取り上げように、市場筋が関心を寄せている英国情勢、10日まで実施される見込みの英・EU主席交渉官級協議が目先はとくに注視されているようだ。決裂方向で進展すれば、さらなるポンド安進行も否定できない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は先週後半から数日推移している106.00-55円といった、極めて狭いレンジをめぐる攻防にまずは注目。上放れた場合には106.95円や107.05円を目指す反面、下抜けるようだと105.20円や105.10円がターゲットとなりそうだ。また、単体の動きもさることながら、ユーロやポンドに連れた動きには注意との指摘も聞かれている。
本日、10月IBD/TIPP景気楽観指数など幾つかの米経済指標が発表されるものの、市場の関心は低く、正直影響は限定的か。ただ、米財務省による3年債の入札が実施される見込みで、そちらには要注意。
また、先で指摘した英国情勢、通商協議をめぐる行方にも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.80-106.70円。時間足など短期ベースでは直近だけで少なくとも2度トライして超えられていない106円半ばが最初の抵抗。抜ければ107円に接近する展開も。
対するドル安・円高方向は、昨日安値106.14円が最初のサポートで、割り込んでも106円前後では底堅いイメージ。大崩れする可能性は低そうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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