ドル円見通し 105円台後半で揉み合い、方向感探る展開(20/8/25)

米国株高による債券売りで米長期債利回りが上昇したためにドル高がややぶり返してユーロやポンドが失速、ドル円も25日早朝には105.99円まで戻した。

ドル円見通し 105円台後半で揉み合い、方向感探る展開(20/8/25)

ドル円見通し 105円台後半で揉み合い、方向感探る展開

〇ドル円、8/24は105円台後半での揉合い、深夜からドル高ややぶり返し8/25早朝105.99まで戻す
〇米国株式相場、新治療法認可など新型コロナウイルス対策の進展期待から続伸
〇NYダウは半年ぶりの高値水準、ナスダック総合指数・S&P500株価指数は史上最高値を更新
〇市場は今後発表の経済指標の結果見定め、状況判断と想定
〇105.67割れからは下げ再開として、105.42、105.10を段階的に試しにかかるとみる
〇106.21を超える場合は新たな強気サイクル入り、106円台中盤(106.35から106.75)を目指すとみる

【概況】

ドル円は8月20日未明の米FOMC議事録公開を挟んだ買い戻しで20日午前には106.21円まで上昇したが、材料一巡で21日夕刻には105.42円まで下落した。21日夕刻のユーロ圏PMIが予想を大きく下回ったことでユーロ安ドル高となり21日夜に106.06円まで再び戻したが、20日午前高値を上抜く勢いにかけて週明けの24日は105円台後半での揉み合いに留まる動きとなった。

8月24日は主要な欧米経済指標の発表もなく手掛かりに乏しかったものの、米国株式市場が治療薬開発等を好感して上昇したために為替市場でもリスク選好感が強まり夕刻から夜にかけてはユーロが上昇してドル安感がやや強まったためにドル円も105.67円まで押されたが、深夜からは米国株高による債券売りで米長期債利回りが上昇したためにドル高がややぶり返してユーロやポンドが失速、ドル円も25日早朝には105.99円まで戻した。

【米国株高・米長期債利回り上昇がドル円を下支える】

米国株式相場は新型コロナウイルス対策の進展期待から3日続伸となり、NYダウは前週末比378.13ドル高と上昇して2月21日以来半年ぶりの高値水準となり、コロナショック前の2月12日に付けた史上最高値に迫ってきた。すでに史上最高値を更新して3月のコロナショック暴落を解消しているナスダック総合指数も同67.92ポイント高、S&P500株価指数も34.12ポイント高でいずれも史上最高値を更新した。

米国株高の背景は、米政権が8月23日に新型コロナ感染症から回復した患者の血液成分を利用した治療法を認可したと発表したことや、英フィナンシャル・タイムズ紙が英アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発するワクチンの緊急使用認可を米政権が検討していると報じたこと等で治療進展と経済活動正常化への期待が広がってリスク選好感が強まったためと思われる。株高により安全資産としての米債券が売られて米長期債利回りは上昇となり、米10年債利回りは0.03%上昇の0.66%、米30年債利回りは0.02%上昇の1.36%となった。米10年債、20年債及び30年債等の大量入札を通過してきたが、今週は2年債と5年債及び7年債の合計1480億ドルの入札もあるため、再び債券需給緩和により米長期債利回りが低下しにくくなっていることもドル円を下支えている印象だ。

8月25日はドイツの4−6月期GDP改定値、ドイツ8月IFO景況指数、米住宅指数や新築住宅販売、コンファレンスボード消費者信頼感指数等の発表がある。26日は米耐久財受注、27日にはパウエル米FRB議長のジャクソンホール公演(オンライン)と米4−6月期GDP改定値、週間失業保険申請件数等の発表があり、市場もそれらの結果を見定めつつ、景気回復期待による株高・リスクオンの進行かリスクオンへブレーキがかかる状況に入るのかを判断してゆくところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月14日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りにより下落してきたが、8月19日午前安値から1円を超える反騰となったために20日朝時点では19日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は14日未明高値を基準として19日未明から21日未明にかけての間とし、105.50円割れないしは19日午前安値からの戻り幅の半値を削るところからは新たな弱気サイクル入りとした。
21日夕刻への下落で105.42円まで下げたため、20日午前高値で直近のサイクルトップを付けたと思われる。ボトム形成期は24日午前から26日午前にかけての間と想定されるが、20日午前高値の後は105円台後半を中心とした持ち合い状況のため、持ち合い終盤の24日夜安値で既にサイクルボトムを付けた可能性がある。

8月20日午前高値を超えないうちは24日夜安値105.67円割れからもう一段安へ向かう可能性があるが、20日午前高値超えからは強気サイクル入りとして25日午前から27日午前にかけての間への上昇を想定する。ただしいったん強気サイクル入りした後に24日夜安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとなる可能性があると注意する。

60分足の一目均衡表では8月25日早朝への上昇で先行スパンを突破し、遅行スパンも好転しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし8月24日夜安値を割り込むところからは両スパンそろっての悪化となるので下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月20日午前高値以降の持ち合い推移により50ポイントを挟んで前後10ポイント強での推移にとどまっている。25日午前時点では60ポイントを超えているので上昇余地ありとし、70ポイント台を目指す可能性があるところとみるが、50ポイント割れからは弱気転換注意とし、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下への低下を伴う一段安へ進みやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月24日夜安値105.67円を下値支持線、8月20日午前高値106.21円を上値抵抗線とする。
(2)8月20日午前高値を超えないうちは一段安余地ありとし、24日夜安値105.67円割れからは下げ再開として21日夕安値105.42円、19日午前安値105.10円を段階的に試しにかかるとみる。また24日夜安値を割り込んだ水準での推移が続くうちは26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8月20日午前高値を超える場合は新たな強気サイクル入りにより106円台中盤(106.35円から106.75円)を目指すと考える。20日午前高値を超えた後も106円以上での推移なら26日へ上昇継続と考えるが、20日午前高値を一時的に超えても106円台を維持できずに24日夜安値105.67円を割り込む場合は下げ再開から一段安へ向かいやすくなると考える。

【当面の主な予定】

8/25(火)
15:00 (独) 4-6月期 GDP改定値 前期比 (速報 -10.1%、予想 -10.1%)
15:00 (独) 4-6月期 GDP改定値・季調済 前年同期比 (速報 -11.7%、予想 -11.7%)
17:00 (独) 8月 IFO企業景況感指数 (7月 90.5、予想 92.0)
22:00 (米) 4-6月期 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前期比 (1−3月 1.7%)
22:00 (米) 6月 連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (5月 -0.3%、予想 0.3%)
22:00 (米) 6月 ケース・シラー米住宅価格指数 (5月 224.76)
22:00 (米) 6月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (5月 3.7%、予想 3.6%)

23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数 前月比 (6月 13.8%、予想 1.3%)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (6月 77.6万件、予想 78.6万件)
23:00 (米) 8月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (7月 92.6、予想 93.0)
23:00 (米) 8月 リッチモンド連銀製造業指数 (7月 10、予想 10)
28:25 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論会

8/26(水)
07:45 (NZ) 7月 貿易収支 (6月 4.26億NZドル、予想 2.85億NZドル)
08:50 (日) 7月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (6月 0.8%、予想 0.8%)
14:00 (日) 6月 景気先行指数CI・改定値 (速報 85.0)
14:00 (日) 6月 景気一致指数CI・改定値 (速報 76.4)
20:00 (メ) 4-6月期 GDP確定値 前期比 (速報 -17.3%、予想 -17.4%)
20:00 (メ) 4-6月期 GDP確定値 前年同期比 (速報 -18.9%、予想 -18.9%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注 前月比 (6月 7.3%、予想 4.4%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (6月 3.3%、予想 1.7%)



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る