懸案事項多いものの、市場は奇妙な安定続く(8/17夕)

週明け17日の東京市場は、レンジ取引。106円半ばを挟んだ20ポイント程度という狭いなかでの一進一退をたどっている。

懸案事項多いものの、市場は奇妙な安定続く(8/17夕)

懸案事項多いものの、市場は奇妙な安定続く

〇ドル円、106円半ばを挟んだ20ポイント程度の狭いレンジ取引
〇米中関係、「米中貿易合意の6ヵ月検証会合」突然の延期、様々な思惑を呼ぶ
〇日中、日韓における領土問題や歴史問題が表面化
〇懸案事項あるものの為替市場は奇妙な「安定」、レンジ取引続くのか
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ106.00-107.00

<< 東京市場の動き >>

週明け17日の東京市場は、レンジ取引。106円半ばを挟んだ20ポイント程度という狭いなかでの一進一退をたどっている。

先週末15日に予定されていた「米中貿易合意の6ヵ月検証会合」は突然の延期に。さらに「次回会合の日程も決まらず」と伝えられていた。一方、トランプ米大統領が週明けにもイラン制裁復活手続きをとる意向を示したとされ、別に思惑を呼んでいたようだ。
そうしたなか取引が始まった週明けのドル/円は106.55-60円で寄り付いた。前述した「米中貿易」に関する話題などがもう少し嫌気されるかと思いきや、あまり材料視されることがなかった。また、それとは別に日本の4-6月期GDPが発表されたが予想を下回る結果に。さらに「安倍首相が都内の病院へ、『日帰り検診』か」−−などといった報道から体調不良や健康不安を煽る声も聞かれたものの、これらも結局不発に終わっている。106.45-65円程度のレンジにとどまると、16時現在では106.45-50円で推移、欧米時間を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「米中関係」と「日中あるいは日韓問題」について。
前者のうち、貿易問題については前述したように突然の延期が決定し、思惑を呼ぶ。ただ、中国外務省からは「中国企業に対する米国の行動が合意に影響している」としたうえで、「中国側は米国との第1段階の貿易合意を履行してきた」との声明が聞かれている。とはいえ、AFP通信が「台湾、米航空防衛機器大手ロッキード・マーチンのF16戦闘機を購入する契約を正式に結んだ」と報じており、事実ならば今後の米中関係に影響を及ぼすことは確実と言えそうだ。

対して後者は、15日に日本の「終戦の日」を迎えるなか、日中あるいは日韓において幾つかの問題が噴出していた。日本発のモノとしては、小泉環境相など4閣僚が4年ぶりとなる「靖国神社参拝」を行い、中韓が猛反発。それに対して韓国発の要因は「海洋警察庁の船が日本のEEZ内で海保測量船に調査の中止要求した」とされ、日本が外交ルートを通して正式抗議をする事態に。また、中国は16日に沖縄県尖閣諸島周辺での漁が解禁されたが、それと絡めた動きか、本日午前「中国公船による領海侵入」が観測されている。領土問題などをめぐりそれぞれの対立が表面化し、かなりキナ臭くなってきた。

<< 欧米市場の見通し >>

コロナ対策をめぐる米与野党の協議は平行線のまま議会が休会、夏休み入りとなった。また、TikTokやウィチャットをめぐる問題のほか、週末に予定されていた米中貿易協議も延期となるなど、市場を取り巻く材料的には不透明感が非常に高い。しかし、参加者が乏しい夏休みムードにあるためか、それとも筆者の想像以上に市場が楽観的なのか、いずれもマーケットの反応はいまひとつ。為替市場は奇妙な「安定」を示している。そんな均衡が崩れたときが怖いものの、それまでは微妙なバランスの上で成り立つような展開、為替市場もレンジ取引が続くことになるのかもしれない。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など注目要因は依然として目白押し。それら数ある要因のなかでも、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。ただ、足もとの動きでも時間外で取引されていたNYダウ先物など主要米株価3指数はいずれもプラス圏を維持するなど、危機感というか切迫感はいまひとつ。むしろ、たとえば後者についてワクチン開発などでさらにポジティブなニュースが伝えられれば、株高とともにドルが再び買い進められる可能性もある。

テクニカルに見た場合、ここ数日のドル/円は移動平均の21日線と90日線に挟まれたなかでの推移。上値を107.10円前後に位置する90日線に阻まれている反面、下値は106.10円前後の21日線が支えている感を否めない。まずは、そんな1円レンジ、106円台を中心としたボックス圏をどちらに放れるのか、その方向性が注視されている。

本日、8月のNY連銀製造業景況指数や同NAHB住宅市場指数といった米経済指標が発表される予定となっている。先週発表された米経済指標は総じて良好な内容が多かっただけに、それらに続くか否か注目だ。
また、それとは別にOPECプラス会合や、20日まで開催予定の米民主党全国大会などにも一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは106.00-107.00円。上方向は、本日東京高値を含めた106.65円レベルが目先の抵抗か。抜ければ90日線も近い直近高値107.05円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、106.30-40円をめぐる攻防にまずは注目。しっかりと割り込めば、安値104.19円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%押しに当たる106円前後が意識されそうだ。

懸案事項多いものの、市場は奇妙な安定続く

ドル円日足



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