ドル円、米中対立激化を背景に106円割れ。ドル売りの流れが再開
〇ドル円一時105.94まで下落 米中対立激化、米指標悪化、米長期金利低下が重石に
〇ユーロドルドル売り強まり1.1882まで上昇
〇ドル円テクニカルには持ち直しの兆しがみられるものの、ファンダメンタルズの弱さが続伸阻むシナリオ
〇本日の予想レンジ:105.60-106.30
海外時間の為替概況
17日(月)の外国為替市場でドル円は下落。@先週末に予定されていた米中通商協議が延期されたことに伴う失望感や、A本邦第2四半期GDP速報値(結果▲27.8%、予想▲27.0%)の冴えない結果(リスク回避の円買い)、B米8月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果3.7、予想15.0)の急低下、C米中対立激化懸念(TikTokやWeChatの禁止措置に加えて中国ファーウェイへの制裁強化を発表)、D米長期金利の低下が重石となり、米国時間にかけて、安値105.94まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、106.03近辺で推移しております。
17日(月)のユーロドル相場は堅調な動き。@先週末に予定されていた米中通商協議が延期されたこと(ドル売り要因)や、A米中対立激化懸念(ドル売り要因)、B上記@Aを受けた米長期金利の低下(ドル売り要因)、C米8月ニューヨーク連銀製造業景況指数の冴えない結果(ドル売り要因)が支援材料となり、米国時間にかけて、約1週間ぶり高値となる1.1882まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1867近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/31に記録した約4ヵ月半ぶり安値104.19をボトムに反発に転じると、8/13には、一時107.06(7/26以来の高値)まで上昇しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が終了するなど、テクニカル的にみて、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております(但し、昨日はドル円が再び下げに転じるなど上値の重さも確認されます。105円台後半に位置するボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線を下抜けた場合、失望感からドル売り・円買いが加速する恐れもあるため、注意が必要です)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、積極的な緩和方針の継続を示した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(米政治の先行き不透明感)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナウイルスの感染拡大懸念、G日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。欧米株及び商品市況の動向や、新型コロナウイルス及び米中対立激化に関するヘッドライン、米国の主要経済指標(米7月住宅着工件数や、米7月建設許可件数など)の結果、米長期金利の動きを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米中対立激化を背景にドル円が下げ足を速める展開を想定。通貨オプション市場でもドル売り・円買いが徐々に織り込まれつつある状況)。
本日の予想レンジ:105.60ー106.30
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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