ドル円、良好な米雇用指標や不調な米30年債入札を受けて107円台を回復(8/14朝)

13日(木)の外国為替市場でドル円は底堅い動き。

ドル円、良好な米雇用指標や不調な米30年債入札を受けて107円台を回復(8/14朝)

海外時間の為替概況

〇ドル円、新規失業保険申請件数の減少、米経済への楽観、米長期金利上昇で107円近辺で底堅い
〇ユーロドルリスク選好で買い先行、1.1865まで上昇するも米長期金利上昇で反落
〇ドル円テクニカルには下値の堅さ印象付けるもファンダメンタルズの弱さが続伸を阻むシナリオか
〇本日発表の米中の小売売上高、鉱工業生産等に注目
〇ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:106.30ー107.30

13日(木)の外国為替市場でドル円は底堅い動き。@米政府による財政出動期待の高まりや、A米新規失業保険申請件数(結果96.3万件、予想112.0万件、※3月中旬以来となる100万件割れ)の良好な結果、Bクドロ―米国家経済会議(NEC)委員長による「米経済の先行き」に対する楽観的な発言、C米30年債入札の不調な結果(米長期金利上昇→ドル高)が支援材料となり、米国時間にかけて、7/23以来となる高値107.06まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、106.97近辺で推移しております。

13日(木)のユーロドル相場は上昇後に反落。@アジア株の底堅い動きを背景としたリスク選好のドル売り・円売りや、A英国のEU離脱を巡る先行き不透明感の後退を受けたユーロ買い圧力が支援材料となり、米国時間にかけて、一時1.1865まで上昇する場面も見られました。しかし、心理的節目1.1900を前に戻り売りが強まると、B米30年債入札の不調な結果を受けたドル高(米長期金利上昇→ドル高)の流れが重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1804まで押し戻される展開となっております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、7/31に記録した約4ヵ月半ぶり安値104.19をボトムに反発に転じると、昨日は、一時107.06(7/26以来の高値)まで上昇しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が終了するなど、テクニカル的にみて、「下値の堅さ」を印象付けるチャート形状となっております。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、積極的な緩和方針の継続を示した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(米政治の先行き不透明感)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナウイルスの感染拡大懸念、G日本経済の先行き不透明感(デフレ懸念)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。欧米株や商品市況の動向、新型コロナウイルス及び米中対立激化に関するヘッドライン、米中の主要経済指標(中国7月小売売上高、中国7月鉱工業生産、中国7月固定資産投資、米7月小売売上高、米7月鉱工業生産、米8月ミシガン大消費者信頼感指数など)の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米中対立激化や新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、一巡後の反落リスクに警戒。週末を前にしたポジション調整にも要注意)。

本日の予想レンジ:106.30ー107.30

注:ポイント要約は編集部

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