東京休場、「夏枯れ」のなか乱高下にも注意
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが小高い。ただ、週間を通した値幅は1.2円ほどにとどまるなど、材料が多かったにもかかわらず、実際の値動きは限られている。
先週末には、米ジョンズ・ホプキンス大学の最新集計で「新型コロナの世界感染者が1800万人に迫った」ことが明らかになったうえ、「米マイクロソフトが中国バイトダンスから動画共有アプリTikTokの米国部門買収交渉を行っている」などとした報道が相次ぎ、市場参加者のあいだで話題に。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「TikTokをめぐる動き」と「米国情勢」について。
前者は、中国発のアプリTikTokについて、トランプ米大統領が「国内での利用を禁止する」意向を示すなか、前述したような「マイクロソフトによる買収交渉」に関する話題も様々取り沙汰されていた。ただ、そうした考えに中国サイドは猛反発。中国外務省の汪報道官から「米国の中国ソフト企業に対するいかなる措置にも断固として反対する」との発言が聞かれてことを皮切りに、連日にわたって政府要人などから激しい批判コメントが発せられている。
対して後者は、米国における新型コロナ感染について、ホワイトハウスの対策調整官バークス氏が「感染が極めて拡大している。米国が流行の新たな局面に入った」と発言。また国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も、「新型コロナウイルス感染者が急増している州はロックダウン措置の再導入を検討すべき」などとする提言を発表していた。コロナの感染第2波に対する警戒感が強いなか、7月のISM製造業景況指数や同雇用統計など発表された一部の米経済指標は予想を上回る内容となったものの、米政権と民主党指導部のあいだで行われていた新型コロナウイルスの追加経済対策法案に関する交渉が難航していることなどを材料に、ドルも積極的には買いにくかった。
<< 今週の見通し >>
新型コロナ感染者は、全世界でついに2000万人台乗せも時間の問題となってきた。実際、米ジョンズ・ホプキンス大学の最新の集計結果では、本日未明段階の感染者は1970万人となっている。そんな感染拡大はアフリカや中南米が中心ではあるものの、世界最大の感染者を有する米国も予断は許さない。また、米経済の先行きを楽観視する向きがそれほど多くないうえ、TikTokと絡めた「米中対立」のさらなる深化が嫌気されている感も否めないだろう。ポジション的には引き続きドルショートがかなり蓄積されているものの、リスクという意味ではドル安方向への動きを懸念する声が優勢だ。
材料的に見た場合、「多方面にわたる米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、今週も「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。なお、今週の東京市場は週明け10日が「山の日」で休日となるうえ、週末にかけては終戦記念日などを踏まえての「盆休み」で連休となる先も少なくない。為替市場には、「東京が休場になる際は動きやすい」というジンクスがあることから、「薄商い=乱高下」といった展開にも一応要注意。
テクニカルに見た場合、先週は105.30-106.47円のレンジ取引で、明確な方向性が乏しい。ポジションの偏りを加味すれば、調整の動きからドルがもう一段戻っても不思議はないが、その上値も重そう。しかし、現在緩やかな下降をたどっている移動平均の21日線(10日現在106.25-30円に位置)を上抜けば、さらなる上値展望が開けるとの声も聞かれており、レンジの上限ブレークから、107円台回復などへの期待感を抱く向きもあるようだ。
一方、材料的に見た場合、7月の消費者物価指数や8月のミシガン大消費者信頼感指数速報値といった米経済指標の発表が発表される予定となっており、それらにまずは注目。また、経済指標ということでいえば、週初と週末に予定されている中国の経済指標を注視している参加者も少なくない。
そのほか、米財務省による10年債などの入札や米企業決算発表などにも注意を払いたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、105.00-107.00円。ドル高・円安については21日線が週初に位置する106.25-30円、あるいは先週高値の106.47円が最初の抵抗に。上抜ければ107円台回復も否定できない。
対するドル安・円高方向は、先週安値105.30円をめぐる攻防にまずは注視。しっかり割り込めば、フィボナッチサポートの105.05円が視界内に捉えられそうだ。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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