ドル円見通し 105円台中盤で揉み合い、米雇用統計待ち
〇ドル円、続落へは進まず8/7朝は105.50を挟んだ小動き
〇昨晩発表の米週間失業保険申請件数、失業保険受給者数ともに市場予想下回り前週からも減少
〇労働市場やや改善の兆しが株価に好影響、ナスダック総合株価指数4日連続史上最高値を更新
〇今晩発表の米雇用統計、今後のドル円方向性のきっかけとなる可能性
〇105.29割れから104.50前後への下落を想定、104.50以下は反騰注意
〇105.75超えからいったん戻しに入るとみる、106円前後は戻り売りにつかまりやすいと想定
【概況】
ドル円は7月31日午前安値104.17円から8月3日深夜高値106.46円まで戻したところから失速して5日深夜には105.30円まで安値を切り下げた。8月6日の日中は105.50円を挟んでわずかなレンジでの推移にとどまり、6日夜に105.29円まで若干安値を切り下げたもののさらに続落へは進まずに7日朝も105.50円を挟んだ小動きのままとなっている。
7月31日までの円高ドル安はドル全面安を背景としたものだったが、ドル安をけん引してきたユーロが反落したこと等でドル全面安が一服となったためにドル円も買い戻しの動きに入り、104円割れを見込んでいた売り方の踏み上げもあって安値から2円強の上昇となったのだが、8月3日深夜からはユーロが持ち直しに入り、ポンドや豪ドル等に対してもドル安が再燃したためにドル円も戻り一巡により下落したという状況だ。
8月6日夜に発表された米週間失業保険申請件数は8月1日までの1週間で118.6万件となり市場予想の140万件を下回り、前週の143.5万件から減少した。また1週遅れとなる失業保険受給者数も7月25日までの週で1610.7万人となり市場予想の1690万人及び前週の1695.1万人を下回った。やや労働市場に改善が見られたことは株式市場にはプラスに働き、NYダウは前日比185.46ドル高と上昇、ハイテク株中心のナスダック総合株価指数も109.67ポイント高と上昇して史上最高値を4日連続で更新した。
【ドル全面安が再開か】
株高の進行は為替市場のリスク選好感を強めるためにユーロドルは8月3日夜の反落時安値からの上昇基調を継続して8月6午後には7月31日高値を上抜き、深夜にかけていったん下げたものの持ち直して高値圏を維持している。英ポンドも8月6日午後にはこの間の高値を更新した後も横ばいに留まって確りしている。豪ドル米ドルも8月5日夜にこの間の高値を更新してから6日夜に反落したものの6日夜の反騰で5日夜高値に迫っており週初からの上昇基調を継続している。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は8月6日に92.50ポイントまで下げて3月30日以降の安値を更新した。コロナショックの序盤において金融市場全般が動揺する中で投機ポジションの手仕舞いと換金売りが殺到してドル資金需給ひっ迫が発生してドル指数は3月9日安値94.63ポイントから3月20日高値102.99ポイントまで8.8%の急騰となったが、G7によるドル資金供給の協調や主要国の利下げと量的金融緩和により需給ひっ迫が解消してドル安に転じた。6月10日からいったん戻していたものの7月に入ると下げ足が早まって3月9日安値を割り込む一段安となり、7月31日から若干下げ渋っていたものの8月4日から6日までは3日間の続落で安値を更新している。
アフターコロナの復興需要期待に大規模な金融緩和が重なり、過剰流動性の発生が3月序盤にかけて一挙に圧縮された投機ポジションを再び膨張させており、為替市場では投機通貨買いが盛り返してきたことでユーロ等のメジャー通貨、資源輸出国通貨、新興国通貨等への買いがドル安を進行させてきた。この流れが7日夜の米雇用統計後も継続する場合はドル全面安がさらに加速しやすくなり、ドル円にとっても一段安へ進むトリガーとなる可能性がある。逆に楽観的過ぎる市場を不安にさせるような内容となってドル指数が反発するようならドル円ももう一度戻り高値を試す上昇へ進みやすくなるところだ。
ドル円は7月31日に当日安値から高値まで1.88円の上昇となる大きな陽線で反発した。3月24日高値からの下落は4か月で下げ幅は7.54円であり、同じく当日中に2円近い反騰となった昨年8月26日(安値から高値までの上昇幅1.92円、4月高値から4か月で下げ幅7.94円)のような反騰入りのきっかけとなっても不思議ない姿であるが、戻りが短命に終わって戻り幅の半値以上を解消する下落に入れば、一時的な買い戻しに過ぎずに3月24日以降のドル安円高基調が継続へ向かう可能性もある。いずれへ進むのか、今晩の米雇用統計がきっかけを与えるかもしれない。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月27日深夜安値から3日半となる7月31日午前安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰に転じたが、8月5日未明への下落により8月5日朝時点では8月3日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8月5日午前から7日昼にかけての間への下落を想定した。既に3日深夜高値からの下落も3日を経過し、31日安値からも5日目に入るところだが、5日深夜以降は横ばいのために方向感に乏しい。
105.75円超えからはいったん強気サイクル入りの可能性を優先して7日の日中から10日深夜にかけての間への上昇を想定する。ただし戻りは短命の可能性もあるので、米雇用統計から続伸の場合は週明け朝への上昇継続とみるが、雇用統計後に下落反応となる場合は新たな弱気サイクル入りの可能性を優先する。
105.75円を超えずに安値を更新し、雇用統計後も続落の場合は5日深夜安値ないしは6日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れによる連続的な弱気サイクル入りとみて、10日夜から12日夜または13日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月5日深夜への下落で先行スパンから転落し、遅行スパンが悪化したが、その後も先行スパンからの転落が続いており、5日深夜から横ばい推移のために遅行スパンは実線と交錯している。105.75円超えからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、その後に先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。105.75円を超えずに安値更新へ進む場合はそのまま続落基調へ進みやすいとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月5日深夜安値から6日夜安値へわずかに安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せているので戻しやすい状況だが、相場が横ばい程度のために決定力に欠ける。60ポイント超えからはいったん高値試しへ向かうとみるが、40ポイント割れからは下げ再開、一段安へ向かいやすくなるとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.29円を下値支持線、105.75円を上値抵抗線とする。
(2)105.75円以下での推移中は一段安余地ありとし、105.29円割れからは104.50円前後への下落を想定する。104.50円以下は反騰注意とするが、105.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ進みやすいとみる。また雇用統計後に急落する場合は104円割れを目指す流れと考える。
(3)105.75円超えからはいったん戻しに入るとみるが、106円前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。米雇用統計から強気される場合は106.50円以上への上昇を想定し、106円台を維持して週を終える場合は週明けも高値試しへ向かいやすいとみるが、一時的な強気反応から急落に転じる場合は下げ再開を疑い、105.50円を割り込む場合は週明けは安値試しへ向かいやすくなると考える。
【当面の主な予定】
8/7(金)
未 定 (中) 7月 貿易収支・米ドル建て (6月 464.2億ドル、予想 420.0億ドル)
未 定 (中) 7月 貿易収支・人民元建て (6月 32889.4億元、予想 2867.5億元)
10:30 (豪) 豪準備銀行、四半期金融政策報告
14:00 (日) 6月 景気先行指数CI・速報値 (5月 78.4、予想 84.9)
14:00 (日) 6月 景気一致指数CI・速報値 (5月 73.4、予想 77.2)
15:00 (独) 6月 貿易収支 (5月 71億ユーロ、予想 113億ユーロ)
15:00 (独) 6月 経常収支 (5月 65億ユーロ、予想 150億ユーロ)
15:00 (独) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 7.8%、予想 8.1%)
15:00 (独) 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 -19.3%、予想 -11.4%)
21:30 (米) 7月 雇用統計 非農業部門雇用者数 前月比 (6月 +480.0万人、予想 +158.0万人)
21:30 (米) 7月 雇用統計 失業率 (6月 11.1%、予想 10.5%)
21:30 (米) 7月 雇用統計 平均時給 前月比 (6月 -1.2%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 7月 雇用統計 平均時給 前年同月比 (6月 5.0%、予想 4.2%)
23:00 (米) 6月 卸売在庫 前月比 (5月 -1.2%、予想 -2.0%)
23:00 (米) 6月 卸売売上高 前月比 (5月 5.4%、予想 4.9%)
28:00 (米) 6月 消費者信用残高 前月比 (5月 -182.8億ドル、予想 100.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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