ドル円、一時4ヵ月半ぶり安値圏へ続落。FOMCでは積極的な緩和方針が示される
〇ドル円FOMCでの積極緩和継続方針に一時104.78まで下落
〇FOMC全体的にはサプライズなし
〇ユーロドルFOMC受け一時1.1805まで急伸、その後1.17台に戻す
〇FOMC通過で市場のテーマが金融緩和を背景としたドル売りからリスク回避の円買いに移る可能性あり
〇本日の予想レンジ:104.50ー105.50
海外時間の為替概況
29日(水)の外国為替市場でドル円は続落。@米中対立激化を嫌気したドル売り圧力(米経済の先行き不透明感→ドル売り)や、A新型コロナウイルスの感染拡大懸念(リスク回避の円買い)、B米FOMC(連邦公開市場委員会)における積極的な緩和方針の継続示唆(※)が重石となり、米国時間午後にかけて、一時104.78(3/13以来、約4ヵ月半ぶり安値)まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、104.98付近で推移しております。
※7/28ー7/29に開催された米FOMCでは、@FF金利誘導目標の据え置き(全会一致)、A米経済をサポートするため、あらゆる手段を行使し、雇用の最大化と物価安定の促進に全力で取り組む方針(必要な限り政策金利をゼロ%近辺に留める方針)、B資産買い入れについて、今後数ヵ月間「少なくとも現在のペースで続ける(毎月1200億ドルの米債及び住宅ローン担保証券の買い入れ)」方針、C外国中銀向けドルスワップ協定及びFIMAレポファシリティの延長(2021年3月31日まで)が示されました。FRBによる積極的な緩和方針の継続が強調されたものの、全体的にサプライズは見られず、市場のテーマであるフォワードガイダンスの変更等については、次回9月会合に持ち越される結果となっております(尚、パウエルFRB議長は記者会見で「米経済は非常に不透明で、現在の景気落ち込みは深刻。景気回復には財政と金融政策による支援が必要」と強調しました)。
29日(水)のユーロドル相場は急上昇。@EU復興基金に対する期待感(欧州経済の回復期待→ユーロ買い)の継続や、A米中対立激化を嫌気した対主要通貨でのドル売り圧力(米経済の先行き不透明感→ドル売り)、B米FOMC(連邦公開市場委員会)における積極的な緩和方針の継続(FRBによる積極的な金融緩和継続方針の示唆→ドル売り)が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.1805(2018年9月以来)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.1782近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、昨日(7/28)は一時104.78(約4ヵ月半ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的にみて、「地合の悪さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、積極的な緩和方針の継続を示した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます(通貨オプション市場でも、ダウンサイドを織り込む動きが活発化)。欧米株や商品市況の動向、新型コロナ第2波リスクに絡むヘッドライン(米国での新型コロナ死者数が15万人を突破)、米中対立激化を巡る続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(FOMCを通過したことで、市場のテーマが金融緩和を背景としたドル売りからリスク回避の円買いに移る可能性もあり注意が必要)。
本日の予想レンジ:104.50ー105.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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