105円を挟んだ安値圏で持ち合い、安値を徐々に切り下げる、FOMC反応は薄い
〇ドル円、FOMC声明発表後の7/30未明に104.74まで安値を切り下げる
〇米FRBはFOMCでゼロ金利政策と量的緩和の維持を全会一致で決定
〇ユーロドル3月暴落以降の高値1.1805を更新、英ポンド豪ドルともに戻り高値更新しドル安基調継続
〇104.74を割り込む場合は104円台序盤への下落を想定、104円以下は反騰注意
〇105.30超えを強気転換注意とし28日午後高値105.68試し、105.50以上は反落注意
【概況】
ドル円は7月10日から23日までは106.60円台を下値支持線として1円弱の値幅の持ち合いが続いていたが、24日に持ち合いから転落して先週末25日未明安値で105.65円まで下げた。週明けも円高ドル安基調は継続し、27日深夜に105.10円まで一段安となり、28日深夜安値で104.93円、29日も夕刻に104.78円、FOMC声明発表後の30日未明には104.74円まで安値を切り下げている。徐々に安値を切り下げているものの105円を割り込むところは何度か買い戻されており、105円を挟んでの弱持ち合いの中でじわじわと安値が切り下がる状況となっている。
【米FOMCはサプライズ無しだがドル安基調は継続か】
米連銀FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)において事実上のゼロ金利政策と量的緩和の維持を全会一致で決定した。新型コロナウイルスの感染再拡大による景気回復の失速を警戒し、「経済を支えるためあらゆる手段を使う」として次回9月会合での追加緩和策の可能性に含みを持たせた。声明では「経済活動と雇用は幾分持ち直したが年初水準を大きく下回っている」、「景気の道筋はコロナ感染動向に大きく依存する」との認識を示し、実質ゼロ金利は「雇用最大化と物価安定の目標を達成する軌道に乗ったと確信するまで維持する」とした。また米国債等を月額1200億ドル買い入れる量的緩和も継続するとした。米FRBはゼロ金利を少なくとも2022年末まで継続する姿勢であるが、マイナス金利導入への積極性は見られないものの、ゼロ金利や量的緩和政策の継続期間を明示したり失業率やインフレ率等での数値目標を示すことで長期的な緩和継続期待を高めようとしているのではないかと思われる。
FOMCによる緩和政策継続姿勢を株式市場は好感してNYダウは前日比160.29ドル高と上昇、ナスダック総合株価指数も140.85ポイント高と上昇した。債券市場はまちまちで、米10年債利回りは前日比変わらずの0.58%だったが、2年債利回りは0.01%低下の0.13%となった。
為替市場ではFOMCを前後してドル安反応となり、ユーロドルは7月27日深夜高値を上抜いて3月暴落以降の高値を更新、英ポンドも3月暴落後の戻り高値を更新した。豪ドルも対ドルでこの間の戻り高値を更新している。為替市場にとっては概ねドル安基調の継続感が再認識された印象だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月23日未明高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしたが、22日未明安値から4日目となる27日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けてから28日深夜に一段安となったために29日朝時点では底割れによる新たな弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は30日夜から8月3日深夜にかけての間と想定したが、30日未明へ安値を切り下げているので引き続きボトム形成中とみる。105円台序盤までを戻り抵抗として一段安警戒とし、新たな強気サイクル入りには28日午後高値105.68円を上抜き返す必要があると考える。
60分足の一目均衡表では7月23日深夜に先行スパンから転落し、その後も転落状態が続いている。遅行スパンも悪化基調で推移しているが、28日夜以降は下落角度が鈍っているために実線と交錯しつつある。先行スパンを上抜き返して続伸に入る場合は上昇再開と考えるが、先行スパンを上抜き返せないうちは一段安警戒とし、30日未明安値104.74円割れからは下げが加速する可能性もあるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月25日未明安値から27日深夜安値、28日深夜安値、30日未明へと安値更新が続いているものの下落角度が鈍いために指数のボトムが切り上がる強気逆行型となっている。しかし戻りは50ポイント前後で抵抗にあっており上値の重い印象も続いている。60ポイントを超えるような上昇へ進めないうちは下落余地ありとし、40ポイント割れからは一段安へ向かいやすくなるとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月30日未明安値104.74円を下値支持線、105.30円を上値抵抗線とする。
(2)105.30円以下での推移中は一段安警戒とし、104.74円を割り込む場合は104円台序盤(104.35円から104.00円)への下落を想定する。急落商状の場合は104円割れを目指すと考える。104円以下は反騰注意とするが、105円以下での推移なら31日も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)105.30円超えからは強気転換注意として28日午後高値105.68円試しとするが、105.50円以上は反落注意とする。
【当面の主な予定】
7/30(木)
10:30 (豪) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 -16.4%、予想 -2.8%)
10:30 (豪) 4-6月期輸入物価指数 前期比 (前期 -1.0%、予想 -3.0%)
16:55 (独) 7月 失業者数 前月比 (6月 6.90万人、予想 4.10万人)
16:55 (独) 7月 失業率 (6月 6.4%、予想 6.5%)
17:00 (独) 4-6月期GDP速報値 前期比 (前期 -2.2%、予想 -9.0%)
17:00 (独) 4-6月期GDP速報値・季節調整済 前年同期比 (前期 -2.3%、予想 -11.5%)
17:00 (独) 4-6月期GDP速報値・季節調整前 前年同期比 (前期 -1.9%、予想 -10.7%)
18:00 (欧) 7月 経済信頼感 (6月 75.7、予想 81.0)
18:00 (欧) 7月 消費者信頼感確定値 (速報 -15.0)
18:00 (欧) 6月 失業率 (5月 7.4%、予想 7.7%)
20:00 (メ) 4-6月期GDP速報値 前期比 (前期 -1.2%、予想 -17.3%)
20:00 (メ) 4-6月期GDP速報値 前年同期比 (前期 -1.4%、予想 -19.5%)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数速報値 前月比 (6月 0.6%、予想 -0.3%)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (6月 0.9%、予想 0.1%)
21:30 (米) 4-6月期GDP速報値 前期比年率 (前期 -5.0%、予想 -34.5%)
21:30 (米) 4-6月期GDP個人消費速報値 前期比年率 (前期 -6.8%、予想 -34.5%)
21:30 (米) 4-6月期コアPCE速報値 前期比年率 (前期 1.7%、予想 -0.9%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 141.6万件、予想 145.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1619.7万人、予想 1620.0万人)
7/31(金)
休場、トルコ、シンガポール
08:30 (日) 6月 失業率 (5月 2.9%、予想 3.0%)
08:30 (日) 6月 有効求人倍率 (5月 1.20、予想 1.15)
08:50 (日) 6月 鉱工業生産・速報値 前月比 (5月 -8.9%、予想 0.9%)
08:50 (日) 6月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (5月 -26.3%、予想 -19.1%)
10:00 (中) 7月 製造業PMI (6月 50.9 予想 50.8)
10:30 (豪) 4-6月期生産者物価指数 前期比 (前期 0.2%)
10:30 (豪) 4-6月期生産者物価指数 前年同期比 (前期 1.3%)
14:00 (日) 6月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (5月 -12.3%、予想 -12.6%)
14:00 (日) 7月 消費者態度指数・一般世帯 (6月 28.4)
15:00 (独) 6月 小売売上高指数 前月比 (5月 13.9%、予想 -3.0%)
15:00 (独) 6月 小売売上高指数 前年同月比 (5月 3.8%、予想 3.0%)
18:00 (欧) 4-6月期GDP速報値 前期比 (前期 -3.6%、予想 -12.0%)
18:00 (欧) 4-6月期GDP速報値 前年同期比 (前期 -3.1%、予想 -14.5%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (6月 0.8%、予想 0.8%)
21:30 (米) 6月 個人所得 前月比 (5月 -4.2%、予想 -0.7%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCE) 前月比 (5月 8.2%、予想 5.4%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCEデフレーター) 前年同月比 (5月 0.5%、予想 0.9%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター) 前月比 (5月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター) 前年同月比 (5月 1.0%)
21:30 (米) 4-6月期雇用コスト指数 前期比 (前期 0.8%、予想 0.6%)
22:45 (米) 7月 シカゴ購買部協会景気指数(シカゴPMI) (6月 36.6、予想 43.9)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 73.2、予想 72.8)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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