リスクオン相場からリスクオフ相場への転換に要注意
〇ドル円リスク選好のドル売りや米中関係悪化等で一時105.68まで下落、戻りは鈍く105.98近辺での越週
〇ユーロドル週後半にかけ18/9/27以来、約1年10ヶ月ぶり高値1.1657まで急伸
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも下落リスクが警戒される
〇米中対立激化を巡る続報、米FOMC等注視
〇来週の予想レンジ(USDJPY):104.75ー107.00、(EURUSD):1.1500−1.1750
今週のレビュー(7/20−7/24)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初107.11で寄り付いた後、早々に週間高値107.53まで上値を伸ばしました。しかし、ボリンジャーミッドバンドに続伸を阻まれると、@約5日間にわたるEU首脳会議を経てEU復興基金案が合意に至ったこと(対ユーロでのドル売り圧力)や、A米国における追加景気対策期待(ムニューシン米財務長官は「追加景気対策について来週末までの合意を目指す」と発言)、B上記@Aを背景としたリスク選好のドル売り圧力(株高・原油高→ドル売り)、C米新規失業保険申請件数(結果141.6万件、予想130.0万件)の冴えない結果、D米中対立激化を嫌気したリスク回避の円買い圧力(米政府によるテキサス州ヒューストンの中国総領事館の閉鎖命令→対抗措置として中国政府も四川州成都市にある米国総領事館を閉鎖命令)、E直近数週間サポートとして機能してきた106.60−70付近の支持帯を下抜けたことに伴う短期筋のロスカットが重石となり、週末にかけて、3/16以来、約4ヵ月ぶり安値となる105.68まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局105.98近辺での越週となっております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1410で寄り付いた後、早々に週間安値1.1401まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線に下支えされると、@約5日間にわたるEU首脳会議(対面会議)の末、EU復興基金案が合意に至ったこと(欧州経済の回復期待→ユーロ買い)や、A米国でも追加景気対策期待が強まったこと(ムニューシン米財務長官は「追加景気対策について来週末までの合意を目指す」と発言)、B上記@Aを背景にリスク選好のドル売り圧力が広がったこと、C3/9に記録した直近高値1.1494を上抜けたことに伴うロスカット(ショートカバー)が支援材料となり、週後半にかけては、2018年9月27日以来、約1年10ヶ月ぶり高値となる1.1657まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局1.1653付近での越週となっております。
来週の見通し(7/27−7/31)
<ドル円相場>
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、7/24には一時105.68まで下落しました(約4ヵ月ぶり安値)。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国。※イールドカーブ・コントロール導入議論を続ける米国と、7/15の日銀金融政策決定会合を経て追加緩和観測が後退した日本)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(米新規失業保険申請件数が冴えなかったことで米雇用不安が再燃)、B米中対立激化懸念(米政府が在ヒューストン中国総領事館の閉鎖命令→中国政府は四川州成都市にある米国総領事館を閉鎖命令)、
C世界的な貿易戦争拡大リスク(トランプ米大統領は「日本は自動車で何年にもわたって米国の利益を奪っている」と発言)、Dトランプ米大統領の支持率低下(外交リスクの高まり)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク(米国の新型コロナウイルス感染者数が400万人を突破)、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。欧米株や原油先物価格の動向や、新型コロナ第2波リスクに絡むヘッドライン、米追加景気対策に関する要人発言、米中対立激化を巡る続報(報復措置の応酬→世界的な景気下押し圧力)、米主要経済指標の結果(米6月耐久財受注や、米7月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米6月中古住宅販売件数、米6月新築住宅販売件数、米FOMC、米第2四半期GDP、米6月PCEデフレータなど)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(欧米の財政出動期待を背景としたリスクオンは終了。来週は再び新型コロナ第2波リスクや、米中対立激化に焦点があたり、市場は徐々にリスク回避色を帯びるシナリオを想定)。
尚、7/28ー7/29に開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)では、次回9月会合(ドットチャートや経済見通しの更改が行われる注目度の高い会合)を前に、ひとまず現行政策の現状維持が決定されると予想されます(相場への影響は限定的)。しかし、足元で直面する新型コロナウイルスの感染再拡大や米中対立激化を受けて、フォワードガイダンスへの議論の深掘りなどが示唆される可能性もあり、「ドル売り」リスクには念のため注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(USDJPY):104.75ー107.00
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、6/22に記録した約3週間ぶり安値1.1168をボトムに反発に転じると、今週は、約1年10ヶ月ぶり高値となる1.1657まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や、強い上昇トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的にみて、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A米中対立激化懸念(米中による報復措置の応酬→世界経済の不安定化リスク)、B世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交がユーロ圏に波及する恐れあり)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナ第2波リスク(ユーロ圏における新型コロナ感染者数の拡大)、EECBによる緩和的な金融政策の継続、FEUと英国との自由貿易協定交渉難航リスクなど、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的に地合いの強さが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが「続伸を阻む」シナリオが想定されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナ第2波リスク及び米中対立激化を巡るヘッドライン、ユーロ圏の主要経済イベント(ドイツ7月Ifo景況感指数、ドイツ第2四半期GDP、ドイツ7月消費者物価指数、ユーロ圏第2四半期GDPなど)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(来週は、EU復興基金合意成立に伴うリスク選好ムードから、新型コロナ第2波リスクや米中対立先鋭化リスクを嫌気したリスク回避ムードに切り替わる展開を想定)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1500−1.1750
オーダー/ポジション状況
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