米中対立の激化を嫌気、ドル売り継続も
〇ドル円 夕刻106.30まで下落最近のレンジ下限を割り込む
〇米政府による中国領事館の閉鎖通告後の米中の応酬が重石に
〇リスクセンチメント悪化に世界的な株安傾向がうかがえることは気掛かり
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ105.70-106.70
<< 東京市場の動き >>
24日の東京市場は、ドルが弱含み。過去2週間程度推移していたレンジの下限を割り込んでの推移となっている。
ドル/円は寄り付いた106.85円レベルを日中高値に右肩下がり。「米中関係のさらなる悪化」が懸念されると、過去2週間程度ドルの下支えとなっていた106.64円割れへ。夕方にはさらに下落し、106.30円近くまで一気に軟化している。「寄り付き高・大引け安」の動きで、16時現在では106.30-35円の安値圏で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中の対立」と「英国情勢」について。
前者は、米国務長官が演説で、中国の習国家主席を名指しして「全体主義の信奉者だ」などと批判したうえで、各国に中国との関係を見直すよう呼び掛けたことが明らかになるなか、前日突如伝えられた「米政府による中国領事館の閉鎖通告」に関する続報なども相次ぐ。たとえば、中国は米国が挙げた「知的財産や個人情報の保護」とする閉鎖理由について批判したことに続き、四川省成都の米総領事館を閉鎖する可能性があるなどと報復措置に打って出る模様だと伝えられていた。
対して後者は、前日に英紙が「英国はEUとの通商交渉締結合意は難しいと考えている」と報じていたとおり、交渉で溝は埋まらずに決裂。そんなFTA交渉について、当初ジョンソン英首相は「月内合意を目指す」と発言していたが、フロスト英首席交渉官は「月内に大枠合意に達する見込みがないのは明らか」と述べ、長期化する可能性を示唆していた。
<< 欧米市場の見通し >>
米ジョンズ・ホプキンス大学の最新集計結果で、米国の新型コロナ感染者が400万人を突破したことが明らかに。世界的な感染もさることながら、米国内での感染も依然として止まらない状況だ。そうしたなか、前述したように米国が発した「総領事館の閉鎖命令」を受け、米中の対立がさらに深化した感を否めない。状況が悪化、対立がよりエスカレートすれば、金融市場における米株安、ドル安がさらに強まっても不思議はないだろう。
材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「米ファンダメンタルズ」など注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。前者と絡めた話としては、東京が休場だった本日アジアタイムに上海総合指数(株価)が3.8%強の下げをたどったほか、NYダウ先物も一時200ドル程度の下落を記録するなど、世界的な株安傾向がうかがえることは気掛かり。欧米金融市場の動きをしっかりと見極めたい。
テクニカルに見た場合、20日にドルは形成しているレンジの上抜けをトライし失敗したことに続き、翌21日に今度はドル下抜けを失敗した感がみられたが、本日のアジア時間にそのレンジ下限を「しっかり」と割り込んできた感がある。ドルの底割れ失敗はダマシだったのか。ともかく、まだ予断は許さないが、過去2週間程度推移している106.64-107.54円という90ポイントレンジから脱却した公算が大きい。そんなドルの次の下値メドは6月安値の106.08円、あるいは5月安値である105.99円など。105円台突入も否定できなくなってきた。
本日この後は7月の製造業PMI速報や6月の新築住宅販売件数といった米経済指標が発表される予定となっている。
前述したように、足もとのドル安進行の主因は「米中対立の激化」だが、昨日発表された米雇用指標の悪化も、一因として指摘する向きは少なくない。数字如何では、さらなるドル売りに拍車をかける展開もあるなどと警戒する声も聞かれていた。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.70-106.70円。上方向は、本日東京で下回ってきた過去2週間ほどサポートとして寄与していた106.64円レベルが今度は抵抗に。上抜ければ107円台回復も。
対するドル安・円高方向は、5月と6月安値が位置する106円前後の攻防にまずは注視。下回ると、安値101.19円を起点とした大きな上げ幅の半値押し106.45円を下回っていることで、61.8%押し105.20円レベルがターゲットか。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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