ドル円、不冴なイニシャルクレイムを受けて再び下落。直近安値の下抜けなるか?
〇ドル円、リスク選好と新規失業保険申請件数の不冴えで反落、安値106.71
〇ユーロドルは一時1.1627まで急伸
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも上値の重さ警戒される
〇リスクオン一巡後のリスクオフ再燃に要注意、本日は106.60ー70台のサポートを下抜けられるかに注目
〇本日の予想レンジ106.50ー107.20
海外時間の為替概況
23日(木)の外国為替市場でドル円は反落。@対ユーロでのドル売り継続(EU復興基金を通じた欧州経済の回復期待→ユーロドル上昇)や、A米国における追加景気対策期待(リスク選好のドル売り圧力)、B米新規失業保険申請件数(結果141.6万件、予想130.0万件)の冴えない結果が重石となり、米国時間には一時106.71まで下落しました(前日安値に並んだ格好)。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、106.83付近で推移しております(方向感を見出し辛い時間帯が継続中)。
23日(木)のユーロドル相場は一段高。@EU復興基金の合意を通じた欧州経済の回復期待(ユーロ買い)や、A冴えない米経済指標を受けたドル売り圧力が支援材料となり、米国時間にかけて、2018年10月1日以来、約1年9ヶ月ぶり高値となる1.1627まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点では(日本時間5時00分現在)では、1.1593近辺で推移しております。尚、この日発表されたユーロ圏7月消費者信頼感指数(結果▲15.0、予想▲12.0)は不冴な結果となりましたが、市場の反応は限定的となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、7/23は一時106.71まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、一目均衡表雲下限及びボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。目先は106.60ー70付近に並ぶ支持帯を下抜けられるか否かに注目が集まります(7/10安値106.64、7/15安値106.66、7/21安値106.69、7/22安値106.71、7/23安値106.71)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国。※イールドカーブ・コントロール導入議論を続ける米国と、7/15の日銀金融政策決定会合を経て追加緩和観測が後退した日本)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(米新規失業保険申請件数が冴えなかったことで米雇用不安が再燃)、B米中対立激化懸念(米政府が在ヒューストン中国総領事館の閉鎖を要求→中国政府による報復必至)、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(外交リスクの高まり)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク(米国の新型コロナウイルス感染者数が400万人を突破)、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。足元ではリスク選好時にドルが売られ、リスク回避局面でドルが買われる傾向にありますが、米中対立激化が本格化すれば、市場のテーマがリスク回避の円買い(株安→円高)一色となる恐れもある為、引き続きダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。欧米株や原油先物価格の動向や、新型コロナ第2波リスクに絡むヘッドライン、米中対立激化を巡る続報、米国における追加景気対策の行方、米主要経済指標の結果(米7月製造業PMI、米6月新築住宅販売件数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(欧米による景気対策期待は織り込み済み。リスクオン一巡後のリスクオフ再燃に要注意。本日は106.60ー70台のサポートを下抜けられるか否かに注目)。
本日の予想レンジ:106.50ー107.20
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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