ドル円、リスクオンのドル売りを背景に急反落。直近安値を試す展開
〇ドル円106円台に下落 欧州復興基金合意、米追加景気対策期待からのリスク選好にドル売り強まる
〇ユーロドルは約1年半ぶり高値となる1.1540まで急伸
〇目先は7/15安値106.66や、7/10安値106.64を試す動きか
〇ドル円はテクニカル、ファンダメンタルズとも上値の重さ警戒される
〇米国における追加景気対策の行方、米6月中古住宅販売件数等指標注視
〇本日の予想レンジ:106.40ー107.10
海外時間の為替概況
21日(火)の外国為替市場でドル円は下落。クロス円相場の上昇の背景に、欧州時間朝方にかけて、高値107.37を記録するも、前日高値107.51をバックに伸び悩むと、@約5日間にわたるEU首脳協議(対面)の末にEU復興基金案が合意に至ったこと(7500億ユーロ規模)や、A米国における追加景気対策期待(ムニューシン米財務長官は「追加景気対策について来週末までの合意を目指す」と発言)、B上記@Aを背景としたリスク選好のドル売り圧力(株高・原油高→対欧州通貨でのドル売り)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値106.69まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、106.80近辺で推移しております。
21日(火)のユーロドル相場は急上昇。@約5日間にわたるEU首脳協議(対面)の末にEU復興基金案が合意に至ったこと(7500億ユーロ規模)や、A米国でも追加景気対策期待が強まっていること(ムニューシン米財務長官は「追加景気対策について来週末までの合意を目指す」と発言)、B上記@Aを受けたリスク選好ムード(世界的な株価上昇→リスク選好のドル売り)が支援材料となり、米国時間にかけては、2019年1月11日以来、約1年半ぶり高値となる1.1540まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点では(日本時間4時50分現在)では、1.1524近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、昨日は一時106.69まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、一目均衡表雲下限及びボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。目先は7/15安値106.66や、7/10安値106.64を試す動きとなりそうです(これらの水準を下抜けできれば、6/23安園106.07が視野に入ります)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国。※イールドカーブ・コントロール導入議論を続ける米国と、7/15の日銀金融政策決定会合を経て追加緩和観測が後退した日本)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(外交リスクの高まり)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク(世界的な感染再拡大)、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。欧米株や原油先物価格の動向や、新型コロナ第2波リスクに絡むヘッドライン、米中対立激化を巡る続報、米国における追加景気対策の行方(ムニューシン米財務長官は来週末までの合意を目指すと発言)、米主要経済指標の結果(米6月中古住宅販売件数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(7/15安値106.66や、7/10安値106.64を試す動きを想定。リスクオンのドル売り→リスクオフの円買いに転換するリスクに要注意)。
本日の予想レンジ:106.40ー107.10
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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