ドル円見通し 107円中心の揉み合い、7月10日深夜と15日深夜で小ダブル底だが上値も重い(20/7/17)

持ち直しの上昇が続いて17日未明には107.40円まで戻した。

ドル円見通し 107円中心の揉み合い、7月10日深夜と15日深夜で小ダブル底だが上値も重い(20/7/17)

ドル円見通し 107円中心の揉み合い、7/10深夜と7/15深夜で小ダブル底だが上値も重い

〇ドル円、7/17未明に107.40まで戻すも、7/14高値107.42超えには至らず
〇昨晩はNYダウ・ナスダック総合指数ともに下落、先行き不透明感から売り圧力が勝る
〇新規失業保険申請件数は市場予想を上回り、失業保険受給者総数も依然として歴史的高水準続く
〇ドル円、株価ともに方向性探る展開続く
〇107円以上での推移中は上昇余地あり、107.42越えの場合107.50−107.80にかけてのゾーンを試すか
〇107円割れから続落の場合、7/15深夜安値106.64試しを想定


【概況】

ドル円は7月15日深夜に106.64円まで下げたが7月10日深夜安値106.62円割れをぎりぎりで回避し、その後は持ち直しの上昇が続いて17日未明には107.40円まで戻した。しかし14日夜高値107.42円超えには至っていない。107円を中心に前後50銭弱での持ち合い型往来相場となる可能性、7月10日深夜と15日深夜の両安値をダブル底として7月1日高値108.16円への揺れ返しへ向かう可能性、戻しきれずに上記ダブル底ラインを割り込んで一段安へ向かう可能性、いずれも抱えつつ決め手に欠いた状況と思われる。

【米国は高失業状態が続く】

7月16日のNYダウは前日比135.39ドル安、ハイテク株中心のナスダック総合指数は76.66ポイント安と下落した。アフターコロナの復興期待と感染拡大が収まらないことでの先行き不透明感が交錯する状況だが、16日は米週間失業保険申請者数が予想を上回ったことや感染拡大報道による売り圧力が勝ったようだ。株安になると為替市場ではドルが買い戻されてドル高となるが、16日も深夜以降は株安を反映してユーロ等が下落し、ドル円にとってはドル高円安要因となったようだ。

7月16日に米労働省が発表した7月11日までの1週間の新規失業保険申請件数は130万件で前週比1万件減少したが市場予想の125万件を上回った。失業保険受給者総数は7月4日までの1週間で1733万8000人となり前週から42万2000人減少して市場予想の1760万人を下回ったが、依然として歴史的な高水準が続いている。
米フィラデルフィア連銀が発表した7月製造業景況指数は24.1となり市場予想の20.0は上回ったものの前月の27.5から低下した。
米商務省が発表した6月の小売売上高は前月比7.5%増で市場予想の5.0%増を上回ったが、過去最大の伸びとなった前月の18.2%増からは鈍化した。また前年同月比は1.1%増にとどまった。
7月のNAHB米住宅市場指数は72となり市場予想の61及び6月の58を上回った。

【米中対立懸念も徐々に強まる】

米中対立は株式市場及び為替市場にはややマイナスだが、トランプ米政権が全ての中国共産党員とその家族による米国への渡航禁止を検討していると報道されているため、米中間の緊張が一段と高まる可能性がある。
11月の米大統領選挙も迫る中でトランプ大統領は中国批判を強めているが、新型コロナウイルスの感染拡大において、感染爆発が止まらない只中にある米国よりも早期に収束した中国が有利な状況にあることから中国側の対応も強気なものとなりやすい。米中通商協議第一段階合意に対しては中国側は順守意向を示しているものの、感染拡大による経済活動停滞により実行性も危ぶまれてる。

【方向性探る展開続く】

ドル円は7月1日高値108.16円から反落した後、7月2日から8日までは107.50円を挟んでややレンジ拡張気味の持ち合いに入り、7月10日の下落で持ち合いから転落したが、6月23日安値106.06円割れには至らずにやや持ち直している。5月6日安値105.98円と6月23日安値106.06円で日足レベルのダブル底を形成しているのだが、7月1日高値を超える上昇へ進めない内は下げ渋りを反映したものに留まる。
日足のボリンジャーバンドは±2σが106.64円から107.84円で収縮後の横這い状態にある。

米国株式市場は感染拡大が止まないにもかかわらず復興期待と金融緩和による資産インフレ期待でナスダックを中心に上昇してきたが、NYダウは6月末から戻しているものの6月8日の戻り高値を超えずにナスダック総合指数と比較して慎重な姿となっている。またナスダック総合指数も7月13日に史上最高値をつけた当日に急落したが、その後は新たな高値更新へ進めずにいる。感染拡大により経済活動が再び規制されたり自粛ムードが高まる中で、これまでの復興優先での上昇にも陰りが見える。
株高によりリスク選好でユーロ等が買われてきたためにドル指数は7月に入ってから下落してきたが、16日安値からは戻しつつある。
日本の感染拡大も東京市場にとっては重石だ。海外株高を頼っての上昇にも限界が出てくると足元の感染拡大問題への懸念が前面に出てくる可能性も考えられる。
各種材料、市場心理と社会心理が強弱交錯しているのでドル円の動きも鈍い状況と言えるが、相場の膠着は大きく動き出す前夜情勢を示すので、膠着から上下へ放れ始めるところからはトレンド発生として流れに追従してゆくスタンスで構えたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月15日深夜からの反騰が続いて14日夜高値に迫ったため、7月10日深夜と15日深夜の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は17日夜から21日深夜にかけての間と想定するが、107円を中心とした持ち合いに留まりサイクルトップ形成期が短縮される可能性もあるので、107円割れからは下げ再開を警戒して15日深夜安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして20日夜から22日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月16日深夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンも突破している。このため遅行スパン好転化中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は7月17日未明への上昇で70ポイントに迫り、その後も60ポイント前後でしっかりしている。50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとするが、17日未明高値を上抜く場合に指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生する場合は下げ再開を疑う。また50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント台への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.00円を下値支持線、7月14日夜高値107.42円を上値抵抗線とする。
(2)107円以上での推移中は上昇余地ありとし、7月14日夜高値超えの場合は107.50円から107.80円にかけてのゾーンを試すとみる。107.50円以上は反落注意とするが、107.20円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)107円を一時的に割り込んでも早々に切り返す場合は107.25円超えから上昇再開とするが、107円割れから続落の場合は下げ再開とみて15日深夜安値106.64円試しを想定する。106.60円台ではもう一度買い戻しも入る可能性があるが、107円以下での推移なら週明けも安値試しへ進み、106円台序盤へ下値目処が切り下がる流れとなるのではないかと考える。

【当面の主な予定】

7/17(金)
18:00 (欧) 5月 建設支出 前月比 (4月 -14.6%)
18:00 (欧) 5月 建設支出 前年同月比 (4月 -28.4%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価指数 改定値 前年同月比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価コア指数 改定値 前年同月比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
19:00 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、オンライン講演
21:30 (米) 6月 住宅着工件数・年率換算件数 (5月 97.4万件、予想 116.9万件)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数 前月比 (5月 4.3%、予想 20.0%)
21:30 (米) 6月 建設許可件数・年率換算件数 (5月 122.0万件、予想 129.0万件)
21:30 (米) 6月 建設許可件数 前月比 (5月 14.4%、予想 6.1%)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (6月 78.1、予想 79.0)

7/20(月)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
08:50 (日) 6月 貿易統計・通関ベース・季調前 (5月 -8334億円)
08:50 (日) 6月 貿易統計・通関ベース・季調済 (5月 -6010億円)
15:00 (独) 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 -0.4%)
17:00 (欧) 5月 経常収支・季調済 (4月 144億ユーロ)
17:00 (欧) 5月 経常収支・季調前 (4月 102億ユーロ)

注:ポイント要約は編集部

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