感染第2波vs治療薬、コロナが依然材料に
〇ドル円、14日東京市場は狭いレンジ内で「行って来い」の展開
〇新型コロナ感染拡大のペース加速が懸念されるも、新型ワクチンへの期待高まる
〇南シナ海領有権など「米中の対立」も引き続き懸念材料
〇107.40を超えれば直近高値の107.80がターゲット
〇107.00-10を下回れば先週末に記録したドル安値106.64へ
〇欧米時間のドル円予想レンジ106.80-107.80
<< 東京市場の動き >>
14日の東京市場は、レンジ取引。ただ、30ポイントにも満たない狭いボックス圏のなか、下落したのち戻すという乱高下をたどっていた。
ドル/円は107.25円前後で寄り付いたのち、小幅に上昇。107.35-40円の日中高値を記録している。その後も、値幅そのものは25ポイント程度と限られたが、下落したのち反発し上値をうかがうという「行って来い」の展開に。そうした意味では、やや荒っぽい変動も観測されている。16時現在でドルは107.25-30円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ関連の話題」と「米中の対立」について。
前者は、WHO事務局長から「新型コロナ対応、多くの国が間違った方向に向かっている」とする嘆き節が聞かれるなか、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計で世界の感染者が累計1300万人を超えたことが明らかとなった。ちなみに、初めて1000万人を超えたのは先月28日、1200万人到達は今月8日で、ペースが一段と加速している感を否めない。ただ、そうしたなか、昨日のWSJ報道の続報として、「米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックが共同開発する新型ワクチンが、優先承認審査対象に指定された」ことが明らかに。状況改善に向けた期待は決して小さくなかった。
対して後者は、香港情勢を主とした「米中の対立」について、関係改善を期待する声も多く聞かれるなか、ポンペオ米国務長官から「中国の南シナ海領有権主張は完全に違法」とするコメントが初めて発せられている。いまだギクシャクとした状況は継続しており、関係改善は一朝一夕にはいかないようだ。なお、そんなポンペオ氏の発言に対して中国サイドは即座に反応。在米中国大使館の報道官が「発言には断固反対する」と反発する声明を出していた。
<< 欧米市場の見通し >>
「新型コロナの感染第2波」への懸念がそこここで取り沙汰されている。さらには単なる懸念にとどまらず、それが現実のものになりつつある先もあり、実際、米カリフォルニア州ではニューサム知事が、感染の再拡大を受けて「州全域でバーの営業を禁止する」と発表していた。こうなってくると、トランプ米大統領が強硬姿勢を貫いている「小中学校の早期再開」も実現はなかなか難しそうだ。また、そうした状況下、前述したように改善期待は市場関係者のあいだでも聞かれるが、現実的にはむしろ悪化している感のある「米中の対立」にも注意を払いたい。
材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「雇用を含めた米ファンダメンタルズ」など注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。後者に関しては、一方で治療薬についての期待感も根強く、昨日は強弱の見方が交錯した綱引き症状だったが、これまで堅調に推移してきた米株、ナスダック指数が調整と思しき動きなどから大きく値を崩してきた。続落するか否かを注視している向きも少なくない。
テクニカルに見た場合、ドルは先週末に106.64円まで値を下げたが、その後の値動きを見ると下値トライは取り敢えず失敗した感。ただ、ドルの上値も過去2週間程度は108円台に一度もとどいておらず、高値は107.80円まで。つまり、ここ最近推移している106.64-107.80円という1円強のレンジにおいて、いましばらく次方向性を探る展開をたどるといった予想も聞かれている。
本日、6月の消費者物価指数といった米経済指標が発表される予定となっているほか、シティグループなどによる決算発表も行われる見込みで、市場の注目度は高い。ただ、仮に好数字になったとしても、先々への警戒感が根強いことから、一本調子の株高、ドル高要因にはなりにくいとの指摘も聞かれていた。
また、ブレイナードFRB理事などによるオンラインセミナー参加、OPECプラス会合などにも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは106.80-107.80円。上方向は、本日東京高値を含めた107.40円前後をめぐる攻防にまずは注目。超えれば、直近高値の107.80円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、107.00-10円に弱いサポートが存在している。下回れば、先週末に記録したドル安値106.64円が再び意識されそうだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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