ドル下値不安が再燃か、106.80円の攻防注視(7/10夕)

10日の東京市場は、ドルが弱含み。値幅は決して大きくなかったが、「寄り付き高・大引け安」に近い動き。印象的にはさらにドルが弱く感じる結果だった。

ドル下値不安が再燃か、106.80円の攻防注視(7/10夕)

ドル下値不安が再燃か、106.80円の攻防注視

〇ドル円、6/26以来の107円割れ、106.80台まで小幅続落
〇昨晩の米新規失業保険申請件数は予想より好数字なるも、新型コロナ第2波への懸念強い
〇米中対立は融和を模索する動きも
〇東京の新規感染者は2日続けて200人超、経済活動への影響注視
〇106.80を下回れば6月安値106.08がターゲット、持ちこたえれば107.20-30までのドル反発か
〇欧米時間のドル円予想レンジ106.40-107.40

<< 東京市場の動き >>

10日の東京市場は、ドルが弱含み。値幅は決して大きくなかったが、「寄り付き高・大引け安」に近い動き。印象的にはさらにドルが弱く感じる結果だった。

ドル/円は107.20円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。107.20円を挟んだ上下で15ポイント程度のほぼ横這い推移に。しかし底割れすると、その後はドル安が進行。先月26日以来となる107円割れを記録し、そのまま夕方には106.80円台までドルは小幅に続落している。終盤にかけて「東京都の新型コロナ新規感染者は前日を上回る過去最高の243人」と伝えられ、日経平均株価が終値ベースで238円安と下げ幅を拡大させたことなどが嫌気されていたという。16時現在でもドルは日中最安値圏で推移し、欧米時間を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「米国情勢」と「米中の対立」について。
前者は、昨日発表された週間ベースの米新規失業保険申請件数が131.4万件に。予想よりも好数字だったが、市場では緩慢な改善傾向などといった失望をイメージする向きが多かったもよう。そうした背景には、やはり「新型コロナの感染2波」が懸念され、雇用についても再悪化を予想する声などが聞かれていた。なお、そうしたなか米ホワイトハウスの記者協会は、定例記者会見に今週出席していた記者が新型コロナウイルス検査で陽性と確認されたと明らかにしている。政権メンバーへの感染拡大も警戒されていた。
対して後者は、引き続き米中関係をめぐり緊迫感が漂うなか、ようやく両国から融和を模索するような動きが観測され、一部で話題に。たとえば、中国サイドは王外相が「中国は米国に取って代わったり対抗したりする意思はない」、「関係は最悪だが難題を棚上げし対話を」などと述べていた。トランプ氏をはじめとする米政権中枢によるアンサー的な発言や対応が注視されている。安心感を醸せばドルの買い要因に。

<< 欧米市場の見通し >>

東京の新規コロナ感染者は2日続けて200人超え。ただ、一方で菅官房長官は「ただちに緊急事態宣言をだすということは考えていない」と、経済活動の縮小については否定的な見解を示していた。同様のことは米国でも起こっているが、トランプ氏からはむしろ「早期の学校再開」を望むなど、さらに活発な経済活動を促すような発言が聞かれている。経済活動継続、あるいは縮小のどちらが正解なのか判断の難しいところだが、いずれにしても今後の感染状況次第であることは間違いない。明らかな「新型コロナの感染第2波」といった様相を呈すれば、好むと好まざるかにかかわらず、再びロックダウン(都市封鎖)などに動かざるを得ないのではなかろうか。

材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「雇用を含めた米ファンダメンタルズ」など注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。ただ、個人的に少し気になっているのは、幾つかの欧州情勢で、たとえば独誌シュピーゲルが報じた「ドイツの財務相と外相が米ワシントンで開かれるG7会合への招待を拒否した」との内容は、米独の軋轢を予感させるものと言えよう。また、ブルームバーグによる「米国が仏デジタル課税に対抗する報復関税の詳細を10日にも発表する計画」との報道も気掛かりだ。

テクニカルに見た場合、ドルは本日東京時間に107円を割り込み、6月26日安値の106.80円にほぼ面合わせしてきた。このあとは、まだ割り込めていない106.80円をめぐる攻防が注視されている。
ちなみに、底割れした場合には6月安値の106.08円がターゲットとなる反面、持ちこたえれば107円台を回復し、移動平均の21日線が位置する107.20-30円までのドル反発が見込まれていた。

本日、6月の生産者物価指数など幾つかの米経済指標が発表される予定となっている。ただ、指標そのものが好数字となっても、先々への懸念を指摘する向きがあり、素直に株高あるいはドル高に繋がるかは微妙なところか。
また、前述したような米欧関係がやや気掛かりのなか、実施されるEU財務相理事会を注視している声も聞かれていた。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは106.40-107.40円。上方向は、107円前後や107.10-20円などがすでに弱い抵抗になりつつある。また、越えてもすぐ上には移動平均の21日線が位置している。ドルの上値は重そうだ。
対するドル安・円高方向は、本日安値も近い6月26日安値の106.80円が最初のサポート。割り込むと106.55円レベルに位置する弱いサポートを目指す展開となりそうだが、最終的なターゲットは6月安値の106.08円か。

ドル下値不安が再燃か、106.80円の攻防注視

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