ドル円、一時107.80まで上昇するも、節目108丁度をバックに上値も重たい
〇ドル円株式市場の軟調にドル買いが強まり一時107.80まで上昇、その後はやや戻し107円台半ばの取引
〇ユーロドルはリスク選好後退とEUによる域内成長率見通しの下方修正に一時1.1259まで下落
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも上値の重さが警戒される
〇本邦の景気ウォッチャー調査、国際収支、米国のMBA住宅ローン申請指数など注視
〇本日の予想レンジ:107.00ー107.80
海外時間の為替概況
7日(火)の外国為替市場でドル円は底買い展開。@アジア株及び欧米株の軟調推移や、A上記@を背景としたリスク回避のドル買い圧力(前日見られたリスク選好のドル売りの巻き戻し)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、一時107.80まで上昇しました。しかし、心理的節目108円をバックに戻り売り圧力が強まると、B本邦における景気先行き不安の高まり(東京での新型コロナ感染者数拡大→景気先行き不透明感→デフレマインド再燃→円の期待実質金利上昇→円高)や、C堅調な3年債入札結果を受けた米長期金利低下→ドル売りの流れが重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.54近辺まで押し戻される展開となっております。
7日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。@欧州株(特にドイツ株)の軟調推移や、A上記@を背景としたリスク回避のドル買い(ユーロ売り)圧力、Bドイツ5月鉱工業生産の冴えない結果(結果▲19.3%、予想▲16.9%)、C欧州連合(EU)による域内成長率見通しの下方修正(2020年の成長率見通しを従来までの▲7.7%から▲8.7%へ下方修正、2021年の成長率見通しを従来までの+6.3%から+6.1%へ下方修正)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時1.1259まで下げ幅を広げました。米国時間にかけて持ち直すも上値は重く(高値1.1307)、本稿執筆時点では(日本時間4時40分現在)では、1.1282近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、昨日は一時107.25まで反落しました。108円台での滞空時間は極めて短く、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(欧州時間朝方にかけて107.80まで反発するも200日移動平均線をバックに戻り売りが根強い状態)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(全人代は6/30、香港国家安全維持法案を可決。米上院は7/2、中国に制裁を科す香港自治法案を全会一致で可決)、C世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交が強まる恐れあり)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナ第2波リスク(米国や中国、欧州に加えて、日本においても新型コロナ感染者数が急増)、F日本経済の先行き不透明感(鉱工業生産、日銀短観、家計調査共に冴えない結果。日本経済低迷→インフレ鈍化→実質金利上昇→円高の波及経路に要注意)など、ドル円相場の下落を想起させる材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクに絡む続報や、米中対立激化に関するヘッドライン、アジア株及び欧米株の動向、日米経済指標の結果(本邦の景気ウォッチャー調査や国際収支、米国のMBA住宅ローン申請指数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(ドル円は足元方向感を見出しづらい時間帯となっていますが、欧米株が崩れるタイミングでリスク回避のドル売りからリスク回避の円買いにシフトする可能性があり要警戒)。
本日の予想レンジ:107.00ー107.80
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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