ドル円、上昇後に伸び悩む展開。ボルカールール緩和報道で資産現金化需要が和らぐ
〇ドル円リスク回避のドル買い継続に海外序盤に107.46まで上昇後107.20レベルに軟化
〇米通貨庁によるボルカールール緩和発表でリスクセンチメント改善、ドル売りに
〇その流れでユーロドルも1.12台前半に持ち直す
〇テクニカルには下値の堅さ印象付ける形状に変化するもファンダメンタルズはなお弱い
〇ドル円一巡後の反落リスクを警戒、ボルカールール緩和の影響も要見極め
〇本日の予想レンジ106.80-107.50
海外時間の為替概況
25日(木)の外国為替市場でドル円は上昇後に伸び悩む展開。@新型コロナ第2波リスクの高まり(米カリフォルニア州やテキサス州、フロリダ州などで感染者急増)や、A世界的な貿易戦争拡大リスク(米中対立懸念に加えて、足元では米欧および米英貿易摩擦を巡るリスクが再燃)、B米大統領選挙の先行き不透明感(バイデン氏がトランプ米大統領を大きく引き離す展開)C欧米株の不安定化を背景とした資産現金化需要の高まり(リスクアセットを売却してドルに戻そうとする動き)、D対ユーロでのドル買い圧力(ECBがユーロ圏以外の中銀にユーロの流動性を供給と発表)が支援材料となり、米国時間朝方には、約1週間ぶり高値となる107.46まで急伸しました。
しかし、ボリンジャーミッドバンドに続伸を阻まれると、E冴えない米経済指標(新規失業保険申請件数など)を受けたドル売り圧力や、F米通貨庁によるボルカールールの一部緩和発表、G上記Fを受けたリスク回避ムードの後退(米株反発→資産現金化需要後退→ドル売り)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、107.19近辺まで軟化する動きとなっております。
25日(木)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@新型コロナ第2波リスクの高まりや、A世界的な貿易戦争再開リスク、B欧米株の急落を背景とした資産現金化需要の高まり(ドル買い)、CECBによる「ユーロ圏以外の中銀にユーロの流動性を供給する(EUREP)」との発表(ユーロ売り)、D米独関係悪化懸念(ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプラインを巡る米国の制裁措置に対して、ドイツが対抗措置を検討しているとの一部報道)が重石となり、米国時間朝方には、一時1.1191まで下落しました。しかし、先週末金曜日に記録した安値1.1168をバックに下げ渋ると、E冴えない米経済指標を受けたドル売り圧力や、F米通貨庁によるボルカールールの一部緩和発表、G上記Fを受けたリスク回避ムードの後退(米株反発→資産現金化需要後退→ドル売り)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.1226まで持ち直す動きとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、6/23に記録した約1カ月半ぶり安値106.07をボトムに反発に転じると、昨日は約1週間ぶり高値となる107.46まで反発しました。この間、一目均衡表転換線や雲上限を上抜けするなど、テクニカル的にみて、「下値の堅さ」を印象付けるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争再開懸念(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交が高まる恐れあり)、D朝鮮半島や中東、中印、香港、メキシコを巡る地政学的リスク、E新型コロナの第2波リスク(米国の大半の州で感染拡大)、F日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)、G全米各地で続く人種差別抗議デモなど、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に持ち直しの動きが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。昨日は資産現金化需要の高まりを背景にショートカバー主導で約1週間ぶり高値圏まで上昇しましたが、一巡後の反落リスクには常に注意が必要でしょう(クロス円下落→ドル円下落の波及経路)。新型コロナ第2波に関する続報や、欧米株および米長期金利の動向(ボルカールール一部緩和報道がどの程度のインパクトがあるかを見極める展開)、世界的な貿易戦争に係るヘッドライン、米主要経済指標の結果(米5月PCEデフレータや、米6月ミシガン大消費者信頼感指数など)、週末に絡むポジション調整を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落(一巡後の反落)をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:106.80ー107.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2020.06.26
ドル円見通し ドル全面高で続伸したが107円台前半は上値も重く揺れ返しも一巡か(20/6/26)
6月8日高値からの下落継続感に待ったがかかった状況だが、107円台前半では上値も重くなってきている印象だ。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2020.06.25
ドル/円は下げ幅帳消し、仕切り直しに(20/6/25夕)
25日の東京市場は、ドルが小高い。レンジそのものは狭かったが、緩やかな右肩上がりで、目先安値を示現後のドル戻り高値を更新している。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。