ドル円、108円トライに2日連続で失敗。全人代閉幕後の米中対立激化に要注意
〇ドル円米欧株価続伸を受け海外時間に107.94まで上昇するも反落
〇米中対立激化懸念、2日連続の108円乗せ失敗、米長期金利低下が重石
〇ユーロドルも1.1030まで上昇後に反落
〇ドル円、テクニカルファンダメンタルズとも下落リスクが警戒される
〇ドル円相場の下落がメインシナリオ
〇本日終了の全人代閉幕に伴う李克強首相の記者会見(香港の国家安全法制定に関する採択など)注目
〇リスクオン相場の賞味期限切れ→株安・原油安→クロス円売り→ドル円下落の流れ警戒
〇本日のドル円予想レンジ107.00ー108.00
海外時間の為替概況
27日(水)の外国為替市場でドル円は上昇後に反落。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A米主要株価指数の上昇を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ドル円連れ高の動き)が支援材料となり、米国時間朝方には、一時107.94まで上値を伸ばしました。しかし、心理的節目108.00をバックに伸び悩むと、B米中対立激化(国家安全法導入に対する反発デモが香港で深刻化。米政府は対中制裁の準備を開始するなど、本日の全人代閉幕に絡む中国サイドの記者会見に注目が集まる)を嫌気したリスク回避ムードの再燃や、C2日連続で108.00トライに失敗したことに伴う失望売り、D米長期金利の低下が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、107.72近辺まで押し戻される展開となっております。
27日(水)のユーロドル相場は急伸後に反落。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A欧米株の上昇を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ドル円連れ高の動き)、BEUが復興基金を承認するとの期待感(欧州委員会は7500億ユーロの基金新設を提案するとの一部報道)が支援材料となり、米国時間には一時4/1以来となる高値1.1030まで急伸しました。しかし、C米中対立激化を嫌気したドル買い・円買いや、D英ポンドの下落(ユーロドル連れ安)が重石となると、米国時間午後にかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.0993近辺まで押し戻される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、5/19に約1ヵ月ぶり高値108.09まで上値を伸ばすも、200日移動平均線が走る108.30をバックに伸び悩むと、その後下落に転じました。108円台での滞空時間は極めて短く、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(※5/26高値107.93、5/27高値107.94と2日連続で108円乗せに失敗)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米間における金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(香港を巡って対米関係が一段と悪化。トランプ米大統領は対中強硬姿勢を強める展開に)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスク)、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。世界的な外出規制の緩和は既に織り込み済みであり、ここから先は一巡後の「反落リスク」に警戒が必要でしょう。米中対立激化を巡るヘッドライン(※中国人民銀行が日本時間10時15分に公表する対ドル基準値にも注目。中国当局が米国を牽制する目的で人民元安容認姿勢を打ち出せば、世界的な通貨安競争への思惑から円買い・ドル買いが促される可能性あり)や、米国経済指標の結果、全人代閉幕に伴う李克強首相の記者会見(香港の国家安全法制定に関する採択など)を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(リスクオン相場の賞味期限切れ→株安・原油安→クロス円売り→ドル円下落の流れに要警戒)。
本日の予想レンジ:107.00ー108.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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