ドル上放れ失敗、レンジ取引続く可能性も
〇27日東京市場でドル円は107円台半ばの狭いレンジでのもみ合い
〇米中関係、中国、香港情勢が引き続き焦点
〇日米欧の経済活動再開への期待と第2波襲来への警戒感の綱引きも継続
〇引き続き106.74-108.09のレンジブレークのタイミングなどが目先の注目要因
〇欧米時間のドル円予想レンジ107.10-107.90
<< 東京市場の動き >>
27日の東京市場は、レンジ取引。107円半ばを挟んだ25ポイント程度の揉み合いで、方向性は引き続き乏しい。
ドル/円相場は、107.55円レベルで寄り付いたものの、新規材料に乏しく方向性の乏しい値動き。昨日は終値ベースで500円以上も上昇した日経平均株価は本日も続伸したが、148円高にとどまるなど、大きく材料視されることはなかった。107.35-60円といった狭いレンジ内での一進一退に終始すると、16時現在では107.50-55円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「英国情勢」と「香港情勢」について。
前者は、ジョンソン英首相が、外出制限中に400キロ以上離れた親類宅を訪ねて批判が高まっているカミングス上級顧問を擁護し続けていることについて、与党・保守党からも非難の声が挙がりはじめた。実際、英閣外相が「説明は多くの人にとって通用しない」と対応に不満を示したうえで、辞任したことも明らかになっている。政権へのダメージは必至で、今後の英国世論調査結果などを警戒する声も。
対して後者は、米報道官が「トランプ氏は中国の動きに不快感を抱いている」などと発言するなか、当のトランプ米大統領も「週末までに中国に対する措置を講じる」との考えを明らかに。また、昨日は香港サイドに肩入れするような格好で、EU大統領からも「中国は香港の自治権を尊重すべき」との発言が聞かれていた。なお、そうしたなか中国首相が28日夕方、全人代終了後に記者会見を開くことが明らかとなったが、全人代最終日には「香港版国家安全法」の導入をめぐる採決を行う予定になっていることから、一連の動きを注視している向きが多いようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
中南米が中心地となり、いまだ感染拡大が続いている新型コロナウイルスだが、日米欧などは経済活動の再開に動いている。市場では「第2波襲来」への警戒感が聞かれる反面、期待感も根強い状況だ。しばらくは、双方の綱引き状態が続くことになりそう。
そうした環境下、懸念されているのは香港への対応などを含めた中国情勢。米中がバチバチとやり合っているのは周知のことだが、日中や豪中のあいだにも不穏な空気が漂っている。先行きを懸念する声も少なくない。
材料的に見た場合、「貿易問題のほか香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「コロナ治療薬をめぐる動き」など、注目要因は目白押しだ。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「新型コロナウイルス」関連のニュースだが、市場の関心は感染拡大云々といった直接的なものよりも、「ワクチン開発をめぐる動き」や「米中間の対立」などへと移行している。また、米NY州のクオモ知事は会見で、トランプ米大統領と27日にワシントンで「大規模なインフラ投資について協議する」と明らかにしていることから、期待半ばで注目している参加者も。
テクニカルに見た場合、昨日はザラ場ベースで一時107.93円まで上昇し、レンジ上限の108.09円に接近するもとどかず。むしろ、その後は107.30円台まで押し戻されるなど、取り敢えずレンジの上抜けは失敗した格好だ。引き続き、106.74-108.09円のレンジブレークをめぐるタイミングなどが目先の注目要因に。
本日は、5月のリッチモンド連銀製造業指数など幾つかの米経済指標が発表される予定だ。4月分の米経済指標は悪い内容が大多数だったが、5月分については昨日もダラス連銀製造業活動指数が事前予想値を上回る内容となっていたなど、若干の期待感を抱く声も聞かれている。本日も内容次第では、ドルの支援要因となるだろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.10-107.90円。昨日高値である107.93円をめぐる攻防にまずは注視。上抜ければ、直近高値の108.09円や200日線が位置する108.30円レベルなどがターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、本日東京を含め、時間足など短期ベースでは数日間で少なくとも3度下げ止まった107.30円台が最初の下値メド。割り込んでも底堅そうだが、下回ると107円割れが視界内に。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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