ドル円、一時上昇するも米長期金利の低下を受けて反落。米雇用統計がメインイベント
海外時間の為替概況
7日(木)の外国為替市場でドル円は反発するも上値の重い展開。前日海外時間に一時3/17以来、約1ヶ月半ぶり安値となる105.98まで下げ幅を広げましたが、本邦勢が大型連休から戻ってくると、@公表相場決定にかけてのドル買い・円売りや、A日経平均株価の底堅い動き、B原油先物価格の堅調推移、C欧米株の底堅い動き、D上記ABCを受けた投資家心理の改善(リスク選好のクロス円買い→ドル円連れ高)、E米中両国の通商担当者が早くて来週にも電話協議を行うとの一部報道(米中対立懸念が緩和するとの期待感)が支援材料となり、米国時間朝方には、一時106.65まで上値を伸ばしました。しかし、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、F翌日に発表される米雇用統計への警戒感や、G米長期金利低下を受けたドル売り圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、106.31近辺まで押し戻される展開となっております。
昨日(7日)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@新型コロナウイルスを巡る米中対立懸念の高まり(リスク回避のドル買い)や、Aドイツ連邦憲法裁判所による「ECBの量的緩和政策が一部違憲」との判断に端を発したユーロ圏における金融政策の先行き不透明感、B欧州委員会・経済予測にてユーロ圏のGDPや失業率見通しが軒並み下方修正されたこと、Cドイツ・3月鉱工業生産(結果▲9.2%、予想▲7.5%)の冴えない結果が重石となり、米国時間には一時4/24以来となる安値1.0767まで下落しました。しかし、D米長期金利の低下を受けて対主要通貨でドル売りが強まると、E欧米株の底堅い動きを受けたリスク回避ムードの後退も重なり、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.0830近辺まで持ち直す動きとなっております。
尚、英中銀(BOE)はこの日、政策金利および資産買取プログラムの据え置きを発表しましたが、ベイリー総裁はその後の声明にて「更なる緩和措置を講じる用意がある」と追加緩和の可能性を鮮明にしました。一方、ノルウェー中銀は市場予想(政策金利の据え置き)に反して、25bpの利下げ(0.25%→0.00%)に踏み切り、ゼロ金利となりました。また、トルコ当局はトルコリラが史上最安値を更新したことを受けて「外銀3行に対してリラの外国為替取引を禁止する」といった資本規制に踏み切りました(直後にトルコリラが強烈に買い戻される展開に)。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/30に記録した高値107.51をトップに反落に転じると、5/6には一時105.98まで下落しました(3/17以来となる安値)。この間、一目均衡表転換線や一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(昨日も反発局面で一目均衡表雲下限がレジスタンスとなり結局反落)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(貿易協定破棄リスク。但し、米中両国の通商担当者は来週にも電話会議を行うことを発表)、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスク)、E原油先物価格の不安定化(5/19の納会に向けて再び下落するリスク)、F日本経済における先行き不透明感(緊急事態宣言延長に伴う実体経済への更なる下押し圧力)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。米FRBによる量的緩和継続(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、本邦経済のリセッション懸念(デフレ懸念台頭→円の実質金利低下→円高)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立激化懸念(株安・円買い要因)が重石になると見られ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(※米ADP雇用統計が冴えない結果となっていることから本日21:30に発表される米雇用統計への警戒感が根強い状態。また、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁が指摘するように、多くの人が積極的に職探しをできていないことから、実体が過小評価される可能性あり。この為、米雇用統計が例え強い結果となったとしても、一巡後に悲観的な見方が台頭する恐れあり。当方では引き続き、ドル円・クロス円のダウンサイドリスクを警戒)。
本日の予想レンジ:105.70ー106.70
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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