米雇用指標に注目、ドル上値は重い展開か
<< 東京市場の動き >>
7日の東京市場は、ドルが小高い。一時は106円割れをワンタッチ、前日安値に面合わせしたものの続かず、小反発している。
ドル/円は106.05-10円で寄り付いたのち、当初はドル売りが先行。昨日安値である105.99円に面合わせする局面も観測されていた。しかし、ドルの下値追いは続かず、その後は逆に小じっかり。106.30円越えまで反発したのち、106.15-35円での強保ち合いに。結局15時現在では日中のドル最高値圏である106.30円前後で推移、欧米時間を迎えている。
材料的に注視されていたものは、「新型コロナを受けた米国情勢」と「新型コロナを背景とした米中対立」について。
前者は、米ジョンズ・ホプキンス大学が「米国の新型コロナ死者数は約7.1万人」とした最新データを発表するなか、ABCニュースが「トランプ米大統領は停止していた経済活動の再開により、感染症による死者がさらに出る可能性を認めた」と報じ話題に。昨日発表されたADP雇用統計の数字を見るまでもなく、新型コロナの影響で米国内経済は急速に落ち込んでおり、米大統領選を前にトランプ氏の置かれた難しい立場が浮き彫りになったとも言えそうだ。
対して後者は、中国の崔駐米大使が米紙にコラムを寄稿、そのなかで「非難合戦をやめるよう強く求めた」ものの、実際の対立は収まらず。むしろ、米国務長官は「多くの命が救われ、世界の景気低迷を回避できた可能性があった」などと中国の対応を改めて批判したほか、トランプ氏からも「今後1-2週間中に中国が貿易協定を順守するか否かを明らかにできる」との発言が聞かれ、市場では貿易摩擦再燃の可能性が取り沙汰されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナの感染拡大は主要な欧米諸国でピークアウトした感があるものの、個別で見ると内容はかなり両極端だ。実際、ドイツでは感染の落ち着きから政府が「営業規制などの大規模緩和」を発表した反面、スペイン議会は「非常事態宣言を再び2週間延長する」ことを決定している。また、英国では「新型コロナ死者数が欧州トップ、世界でも米国に続き2位」になったことが明らかとなった。改めて、一筋縄でいかない難しさを確認した格好で、日米などを含め各国とも引き続き手探りの対応が続きそうだ。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「新型コロナ治療薬をめぐる動き」など、注目要因は依然として目白押しとなっている。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「新型コロナウイルス」に関連するニュース。「感染拡大」に関する話や「治療薬」をめぐる動きなどのほか、先でも取り上げたように「貿易問題」を絡めた対立にまで発展しつつある米中の小競り合いは気掛かり。また発表される米経済指標、なかでも雇用を中心とした数字が波乱要因として引き続き警戒されている。
テクニカルに見た場合、4月6日の高値109.38円を目先高値に、以降ドルは緩やかな下降をたどっている。昨日そして本日は一時的に106円を割り込む局面も観測されていた。リスクというでは下向きで、年初来安値101.19円を起点とした上昇に対するフィボナッチでは半値押しも割り込んでおり、次のターゲットは61.8%押しにあたる105.20円レベル。ただ、前述したように戻りらしい戻りもなく、ダラダラと1ヵ月も下落していることで、いわゆる「時間切れ」によるドルの反発を警戒する声も少なくない。
本日、幾つか米経済指標が発表されるなか、週間ベースの新規失業保険申請件数が今回ももっとも注視されている。昨日発表された4月のADP雇用統計は、ほぼ事前予想に近い内容ながら、その数値はなんと「マイナス2023万6000人」だった。これを受け、本日の新規失業保険申請件数や明日発表の4月の米雇用統計も、かなりの悪い数字になるとの見方が有力視されており、引き続き雇用関係のデータには注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.70-106.70円。ドル高・円安方向は、連日ドルの上値を切り下げてきており、106.40-50円そして106.90円レベルをめぐる攻防を注視。それらを超えると、単なる調整ではなく、予想以上の戻りを達成する可能性も否定出来ない。
対するドル安・円高方向は、昨日と本日の2日続けて割り込めなかった106円レベルがかなり強いサポートか。ただ、割り込んだ場合には105.20円レベルがターゲットとなる。
ドル円1時間足
オーダー/ポジション状況
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