【概況】
ドル円は4月15日午前安値で4月2日未明安値と同値の106.91円を付けた後は下げ渋りの持ち合いが続いていたが、4月28日夜に4月15日安値を割り込んで持ち合い下放れ及びダブルボトム破れとなり、29日夕刻には106.35円まで安値を切り下げた。
5月1日早朝に107.49円まで反発したものの107円台を維持できずに戻り高値を切り下げて、その後の安値も切り下がる中で7日未明には105.98円を付け3月17日以来の105円台を示現した。
106円割れに対する突っ込み警戒感とダウ反騰を背景に7日深夜には106.65円まで戻したものの5日夕刻の戻り高値106.89円には届かずに5月1日以降の戻り高値切り下がりの範囲にとどまった。
【5月8日夜、米雇用統計への反応は】
米労働省が5月7日に発表した5月2日までの週間新規失業保険申請は季節調整済みで316万9000件、前週比67万7000件減少したが市場予想の300万件を上回った。感染拡大による経済活動停滞が本格化した3月中旬からの7週間の累計は凡そ3300万件となった。失業保険受給者総数は4月25日までの1週間で2264万7000人となり前週比463万6000人増加して市場予想の1990万5000人を上回り、2週連続で過去最高を更新した。
米労働省の発表した1〜3月期の非農業部門労働生産性速報値は季節調整済み年換算で前期比2.5%低下となり、マイナス幅は2015年10〜12月期の2.9%低下以来となった。
失業者の急増にもかかわらず、欧米の感染者増加ペースが峠を越えたのではないかとの楽観も強まり始め、経済活動再開の動きが見られること、治療薬開発への期待等から7日のNYダウは前日比211.25ドル高と上昇した。しかしその一方で債券は安全資産買いされて米10年債利回りは前日比0.06%低下の0.64%となり、安全資産の代表でもあるNY金先物6月限は前日比37.3ドル高の1725.8ドルへ大幅上昇した。これらは株式市場がいつ再び暴落商状に陥ってもよいようにリスクヘッジ買いされている事を示唆し、目先の株高追及と共に市場心理が慎重さを備えていることを意味しているのだろうと思われる。
5月8日夜は米労働省の4月雇用統計の発表がある。失業率に対する市場予想は3月の4.4%から4月は16.0%へ急激に悪化すると見込まれている。非農業部門就業者数は3月の70.1万人減から4月は2200万人減という歴史的急減が見込まれる。
今年1-3月期、さらに4-6月期の世界経済が最悪となり、年後半には持ち直しの動きに入り来年は復興へ向かうというのが株式市場における楽観派の思惑だろうが、米連銀当局の見解も分かれる。
米フィラデルフィア連邦準備銀行のハーカー総裁は7日のテレビ講演で、「米経済が4〜6月期に厳しい局面に陥った後に今年下半期に持ち直すのが基本シナリオ」だとしたが、「拙速な経済再開により新型コロナウイルス感染の第2波が企業活動を再び抑制する事態になれば、保健上壊滅的になるだけでなく景気も逆戻りし、来年もマイナス成長に陥る」と示唆した。
米リッチモンド連銀のバーキン総裁は7日、「今回の景気減速の最も深い時期を示すなら現在ということになる」「今が底だ。今後は上昇以外ない」と述べたが、株高期待を助長する発言だった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月29日安値を前回のサイクルボトム、5月1日高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしてきた。前回のサイクルボトムが4月29日安値と30日安値とのダブルボトムだったために今回のボトム形成期は5月7日の日中までの間と想定されたが、7日未明安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りした。しかし既に1日早朝高値から5日を経過しているので反落警戒期にあり、7日深夜高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしている可能性がある。
105.98円を割り込まないうちはサイクルトップ形成の延長入りによる上昇余地ありとするが、105.98円割れからは弱気サイクル入りとして12日未明から14日未明にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では7日深夜への反騰で遅行スパンが好転したがその後の反落で再び悪化しやすい位置にある。また先行スパンを突破しきれずに転落しやすい位置にある。このため両スパンそろって悪化するところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は30ポイント割れを切り返して70ポイントに迫ったが、深夜からの反落で50ポイントを割り込んでいるので既に下げ再開に入っている可能性がある。60ポイント台回復の場合は上昇再開とするが、その際は相場の高値更新に対して指数のトップが切り下がる弱気逆行発生からの下げ再開を警戒する。40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月7日未明安値105.98円を下値支持線、7日深夜高値106.65円を上値抵抗線とする。
(2)106.50円超えからは上昇再開の可能性ありとし、7日深夜高値超えからは106.80円台への上昇を想定するが、106.75円以上は反落警戒とし、その後の106.50円割れからは下げ再開とみる。ただし106.50円以上での推移が続く場合は週明けも高値試しを続ける可能性があると考える。
(3)105.98円割れからは底割れによる一段安入りとなるため105.50円、さらに急落商状発生なら105円台序盤への下落を想定する。また105.98円を割り込んだ後も106.15円以下での推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
5/8(金)
休場、仏、英
10:30 (豪) 豪準備銀行四半期金融政策報告
15:00 (独) 3月 貿易収支 (2月 208億ユーロ、予想 188億ユーロ)
15:00 (独) 3月 経常収支 (2月 237億ユーロ、予想 207億ユーロ)
21:30 (米) 4月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (3月 -70.1万人、予想 -2200.0万人)
21:30 (米) 4月 雇用統計・失業率 (3月 4.4%、予想 16.0%)
21:30 (米) 4月 雇用統計・平均時給 前月比 (3月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 4月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (3月 3.1%、予想 3.3%)
23:00 (米) 3月 卸売在庫 前月比 (2月 -0.7%、予想 -1.0%)
23:00 (米) 3月 卸売売上高 前月比 (2月 -0.8%、予想 -3.0%)
オーダー/ポジション状況
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