<< 東京市場の動き >>
17日の東京市場は、ドルが冴えない。ドルの上値が重くなりつつある感を否めないが、下値も堅く、結局値幅は50ポイントにとどかなかった。
ドル/円は107.85-90円で寄り付いたのち、108円台を回復し、日中高値を示現。しかし、ドル高の勢いは続かず、徐々にドル売りが優勢になると、107.65円レベルまで軟落となった。日経平均にくわえ、NYダウ先物もそれぞれ大幅高をたどったものの、ドル買いの勢いは弱く影響は限定的なものに。16時現在では107.70-75円で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「発表された中国経済指標」と「新型コロナウイルスをめぐる米国の情勢」について。
前者は、本日東京時間に4つの中国経済指標が発表されたが、事前予想値を上回ったものは3月の鉱工業生産だけ。残りはすべて予想を下回っただけでなく、もっとも注視されていた1-3月期GDPは前期比マイナス6.8%という衝撃的な内容となった。ちなみに、中国が公式統計を公表して以来、マイナス成長は初めてとされ、公式な今年の成長目標であるプラス6%前後の達成はかなり難しくなった感がある。
対して後者は、NY州知事が「5月15日までの外出制限令の延長」を発表した反面、公表した米景気再開にあたってのガイドラインにおいて、トランプ米大統領は「条件を満たす州は17日から経済再開に向けた第1段階に移行することが可能、29州が間もなく経済を再開できる」との見方を示していた。なお、そうしたなか「米バイオ医薬品メーカーのギリアド・サイエンシズが開発した抗ウイルス薬『レムデシビル』の臨床試験で、新型コロナウイルスに感染した患者が急速に回復」との報道が観測されており、好感されると米株全般が急騰した原動力になっていた。
<< 欧米市場の見通し >>
今週発表された米経済指標に加え、金融機関を中心とした企業決算もおおむね冴えない。改めて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたダメージの深さが浮き彫りになった。ただ、そうした先はもちろん米国に限ったことではなく、先でも指摘したように本日発表された中国の経済指標、とくにGDPは目を覆いたくなるほどの惨状を示している。日欧の景気指標も大差ない結果とすれば、果たしてどの通貨が「買い」となるのか、いま少し状況を見極めたいところだろう。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「原油情勢」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは引き続き「新型コロナウイルス」絡みの話題。楽観論と悲観論が入り混じるなか、経済活動再開に向けた動きや、実体経済への影響ということで発表される企業などにも注意を払いたい。また、先で指摘したように、治療薬に対する期待感が足もと非常に高いが、その流れが続くのか否かにも注目だ。
テクニカルに見た場合、まだ予断を許さないが、月初に記録した月間安値106.93円に15日に面合わせするも割り込めず。下値トライは取り敢えず失敗に終わった格好にある。
そんなドル/円は、ザックリ言って今週106.90-108.50円というレンジ取引。そして本稿執筆段階では、ちょうど中間地点で推移している。上下どちらか定かではないものの、レンジ放れがあるのか否か、まずはその点を注視してみたい。
本日は3月の景気先行指数といった米経済指標が発表される予定となっている。
昨日発表された週間ベースの新規失業保険申請件数は事前予想値550万件程度に対し、524.5万件で4週連続のネガティブサプライズとはならず。ただ、国家非常事態が宣言された3月中旬からの4週間で累計が2200万件を突破するなど、過去例を見ない高水準にあることは間違いない。そんな悪い内容の多い米経済指標が潜在的にドルを買いにくくしそう、などといった指摘も聞かれていた。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.20-108.20円。ドル高・円安方向は、昨日と本日2日続けて上値をレジストされた108.05-10円が目先の抵抗。上抜ければ移動平均の200日線などが位置する108.30円レベルがターゲットになる。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値を含めた107.50-60円が最初のサポートに。下回ってくると直近安値107.16円が意識されそうだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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