『新型肺炎と原油急落が市場の重石。リスクオフ第2波に警戒』
今週のレビュー(4/13−4/17)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初108.44で寄り付いた後、早々に週間高値108.54まで上昇しました。しかし、先週末金曜日の高値108.61に続伸を阻まれると、@OPECプラス緊急会合にて減産合意額(日量970万バレル)が当初予想に達さなかったこと(失望感から原油先物価格が下落)や、A新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード、BFRB(米連邦準備理事会)による大規模量的緩和を通じたドル売り圧力、C国際通貨基金(IMF)による世界経済見通し(WEO)の大幅下方修正(2020年の世界経済がマイナス3.0%に落ち込むとの見通しを発表)が重石となり、週央にかけては、4/1以来となる安値106.93まで下げ幅を広げました。もっとも、一目均衡表雲上限に続落を阻まれると、週後半にかけて持ち直す展開に。
D原油先物価格の下落が資産現金化需要のドル買い(リスクアセット売り→ドル回帰の流れ)に波及する中、結局107.53での越週となっております。尚、今週発表された米経済指標(米・3月小売売上高や、米・4月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米新規失業保険申請件数など)は軒並み冴えない数字となりました。また、注目された中国の第1四半期GDPについても、前年同期比▲6.8%に転じるなど、統計開始以降で初のマイナスを記録しております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0941で寄り付いた後、@FRB(米連邦準備理事会)による大規模量的緩和の継続(ドル売り)や、A欧州圏における新型コロナウィルス感染拡大ペースの鈍化期待(ユーロ買い)、Bユーロ圏財務相会合による5400億ユーロの景気対策発表(ユーロ買い)が支援材料となり、週央にかけて、約2週間ぶり高値1.0991まで上昇しました。しかし、心理的節目1.10丁度を前に伸び悩むと、C国際通貨基金(IMF)による世界経済見通し(WEO)の大幅下方修正(特にユーロ圏の下方修正が最大)や、D原油先物価格の下落を受けた投資家心理の悪化(資産現金化需要のドル買い圧力)、EラガルドECB総裁による「ECBはユーロ圏経済の大幅な縮小に身構えている」との発言や、FシュナーベルECB専務理事による「ECBはさらなる措置を講じる用意がある」との発言が重石となり、週末にかけて、安値1.0812まで反落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局1.0876での越週となっております。
来週の見通し(4/20−4/24)
<ドル円相場>
ドル円は、4/6に記録した高値109.39をトップに反落に転じると、4/14には一時106.93まで下落しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、200日移動平均線、一目均衡表転換線及び基準線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、来週は200日線をバックに「戻り売り」が強まる展開が予想されます)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、大規模量的緩和を続ける米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(今週発表された米経済指標は軒並み悪化)、B米中対立再燃リスク(WHO問題に端を発した米中対立リスクが再燃)、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の軟調推移、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを連想させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、本邦経済のリセッション懸念(円高要因)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、来週も、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン(特に都市封鎖を解除した中国における感染状況)や、原油先物価格および世界的な株価の動向、米主要経済指標の結果(4/21の3月中古住宅販売件数や、4/23の3月新築住宅販売件数、4/24の3月耐久財受注など)を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(新型コロナショック+原油急落を受けたリスク回避第2波の発生に警戒)。
来週の予想レンジ(USDJPY):106.00ー109.00
<ユーロドル相場>
ユーロドルは、4/15に記録した約2週間ぶり高値1.0991をトップに反落に転じると、週末にかけて1.0812まで下落しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、一目均衡表転換線を下抜けした他、3/23安値と4/6安値を結んだサポートラインも下方ブレイクするなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(心理的節目1.1000や一目均衡表基準線を突破できなかったことも上値の重さを意識させる展開に)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(IMFは世界経済見通しの中でユーロ圏の成長率予測を大幅に下方修正。ユーロ圏の2020年見通しは▲7.5%成長予測)や、AECBによる金融緩和長期化観測(欧州当局者によるハト派的な発言)、B英合意なき離脱の再燃リスク、C新型コロナウィルスの感染防止を目的としたロックダウン及び外出規制の長期化リスク(マクロン仏大統領は外出制限を5/11まで延長すると発表)、D原油先物価格の下落を受けたリスク回避ムード(対ユーロでのドル買い・円買い)など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚たくさん残っている状態です。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的でも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナウィルスに絡むヘッドライン(欧州圏における外出制限の撤廃時期など)や、欧米株及び欧米長期金利の動向、欧州経済指標(4/21のドイツ・4月ZEW景況感調査、4/22のユーロ圏・4月消費者信頼感指数、4/23のユーロ圏・4月製造業及びサービス業PMI、4/24のドイツ・4月Ifo景況感指数など)の結果、国債市場における独伊スプレッドの動きを睨みながらも、来週はユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(リスク回避のドル買い・円買い→ユーロ売りの展開を想定)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.0700−1.1000
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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