ドル円、資産現金化のドル買いと、リスク回避の円買いに挟まれ方向感見出せず
海外時間の為替概況
16日(木)の外国為替市場でドル円は急伸後に急反落。@原油先物価格の下落を受けた投資家心理の急速な悪化や、A上記@を受けた資産現金化のドル買い圧力(リスクアセット売り→ドル回帰の流れ)が支援材料となり、アジア時間午後にかけて、日通し高値108.08まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、B新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムードや、CFRB(米連邦準備理事会)による大規模量的緩和を背景とした広範なドル売り圧力、D安倍首相による緊急事態宣言の対象を全国に広げるとの表明、E米経済指標(新規失業保険申請件数や、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、住宅着工件数など)の冴えない結果、F米国債利回りの低下が重石となり、米国時間にかけては、安値107.17まで急落する場面も見られました。もっとも、その後はロンドンフィキシングに絡むドル買い需要で反発し、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、107.67近辺まで値を戻す荒々しい値動きとなっております。尚、クオモNY州知事は「NY州は行動制限を5/15まで延長する」との見解を示しました(ドル売り要因)。
昨日のユーロドル相場は終始上値の重い展開。@国際通貨基金に(IMF)による世界経済見通し(WEO)の大幅下方修正(2020年の世界経済がマイナス3.0%に落ち込むとの見通しを4/14に発表)や、A原油先物価格の下落を受けた投資家心理の急速な悪化、B上記Aを受けた資産現金化のドル買い圧力(リスクアセット売り→ドル回帰の流れ)、Cロンドンフィキシングに絡むドル買い需要、DラガルドECB総裁による「ECBはユーロ圏経済の大幅な縮小に身構えている」との発言や、シュナーベルECB専務理事による「ECBはさらなる措置を講じる用意がある」との発言が重石となり、米国時間にかけて、一時1.0817まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.0845近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/6に記録した高値109.38をトップに反落に転じると、4/14には一時106.93まで下落しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、200日移動平均線、一目均衡表転換線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。足元反発(107円台半ば)に転じるも戻りは鈍く、200日線をバックにした「戻り売り」優勢の展開が続くと予想されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、大規模量的緩和を続ける米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立の再燃リスク(WHO問題に端を発した米中対立リスクが再燃)、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の軟調推移、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを連想させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴えな結果(ドル売り要因)、本邦経済の先行き不透明感(円高要因)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、本日も、新型コロナウィルスを巡るヘッドラインや、原油先物価格および世界的な株価の動向、米中の主要経済指標の結果(中国の第一四半期GDP速報値、中国・3月固定資産投資、中国・3月鉱工業生産、中国・3月小売売上高、米国・3月景気先行指数など)を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(クロス円売り→ドル円連れ安の展開を想定)。尚、本日日本時間18時に安倍首相による記者会見が予定されております。
本日の予想レンジ:107.10ー108.10
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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