ドル円、FRBによる資金供給策発表とOPECプラス会合後の失望感を背景に下落
海外時間の為替概況
9日(木)の外国為替市場でドル円は下落。@堅調な株式市場を背景に、アジア時間朝方に一時109.07まで上値を伸ばすも、前日高値109.10を前に伸び悩むと、@イースター休暇(復活祭)を前にしたポジション調整や、A米経済指標の冴えない結果(米新規失業保険申請件数は2週連続で600万件を突破。ミシガン大消費者信頼感指数も約8年ぶり低水準を記録)、B米NY州の新型コロナウィルスによる1日の死者数が過去最大を記録したこと、CFRB(米連邦準備理事会)による中小企業や地方政府への資金供給策の発表、DOPECプラス緊急会合にて減産合意が当初予想に達さなかったことに伴う失望感(日量2000万バレルを下回る1000万バレルの減産に留まったこと)などが重石となり、米国時間にかけて、安値108.21まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、108.45近辺で推移しております。
昨日のユーロドル相場は上昇。@イースター休暇(復活祭)を前にしたポジション調整の動きや、A米経済指標の冴えない結果(米新規失業保険申請件数は2週連続で600万件を突破。ミシガン大消費者信頼感指数も約8年ぶり低水準を記録)、BFRB(米連邦準備理事会)による中小企業や地方政府への資金供給策の発表、C欧州圏における新型コロナウィルス感染ペースの鈍化期待(スペインのサンチェス首相は新型コロナウィルスの流行に縮小傾向が見えつつあると発言。またイタリアのコンテ首相も外出制限措置を月末までに段階的に緩和する方向性を示唆)、Dユーロ圏財務相会合における新型コロナウィルスを巡る協議の合意期待などが支援材料となり、米国時間には、一時1.0951まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.0928近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/6に記録した約1週間ぶり高値109.39をトップに反発に転じると、昨日は一時108.21まで下落しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、200日移動平均線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、上値の重さを印象付けるチャート形状となりつつあります(※4/6高値109.39→4/7高値109.29→4/8高値109.10、4/9高値109.07と段階的に高値を切り下げる展開)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、大規模量的緩和を続ける米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新規失業保険申請件数やミシガン大消費者信頼感指数の悪化)、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の不安定化(OPECプラス緊急会合にて減産合意が限定的となったことに伴う失望感)、H本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも続落リスクが警戒されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の冴えない結果(ドル売り要因)、本邦における先行き不透明感(円高要因)、リスク回避ムードの再燃リスク(原油価格の下落→ドル円連れ安)が重石になると見られ、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン(日米欧の動向)や、原油価格の動向、世界的な株価の動き、米経済指標の結果を睨みながらも、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日はイースター休暇で英国及びドイツ市場が休場。米国市場も一部休場となります。
本日の予想レンジ:107.90ー108.90
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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