ドル円見通し 日足は3連騰=赤三兵(20/4/7)

週明けもドル高円安の流れは継続となり、米国での感染爆発が続いているもののNYダウは大幅高、ドル円も戻り高値を切り上げる流れとなっている。

ドル円見通し 日足は3連騰=赤三兵(20/4/7)

【概況】

ドル円は4月6日夕刻高値で109.37円まで上昇して3月31日夜の戻り高値108.72円を上抜いた。
3月20日から25日未明にかけての間、ドル全面高の中で戻り高値を切り上げてきたものの徐々に上値が重くなり2月20日高値112.21円には届かず、ドル全面高が一服したことで円高の揺れ返しとなり、3月25日未明高値111.71円から4月2日未明安値106.91円まで下落してきた。しかしその後は新たな安値更新を回避し、米トランプ政権による大規模経済対策等への期待を背景として4月2日夜の米週間失業保険申請件数の爆発的な増加や4月3日夜の3月米雇用統計における失業率急上昇等をドル高円安で通過してきた。週明けもドル高円安の流れは継続となり、米国での感染爆発が続いているもののNYダウは大幅高、ドル円も戻り高値を切り上げる流れとなっている。

【株式市場の楽観に後押しされる】

スペイン等で日々の感染増加数に頭打ち感が見られること、NY州でも増加ペースの鈍化によりピークに近いのではないかとの観測や、米政権が戦時国債発行を検討中と伝えられたことで経済対策がへの期待が強まったため、4月6日のNYダウは前日比1627.46ドル高と大幅上昇した。欧州株もジョンソン英首相入院報道があったものの全面高だった。株高によりリスク選好感が強まったことでドル円も上昇したようだ。
イエレン前米連銀議長は4月6日のTVインタビューで「現在の失業率は12〜13%であり、さらに上昇している」「戦時国債の発行案は適切かもしれない」「4〜6月期のGDPは年率換算で少なくとも前期比30%落ち込むだろう」等と述べた。感染拡大による経済への打撃は厳しいという印象を一段と強めたがそれでも株高は続いた。
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は4月6日に、非常事態に対処する巨額財政を賄うため戦時国債の発行を検討していると述べた。政権内で検討中であるとして具体的な内容や詳細は言及しなかったが、トランプ政権が既に決定している2兆ドルを上回る経済対策がさらに拡大する可能性が出てきたことが株高を助長したようだ。

しかし、世界の感染者は134万人を超えて死者も7万4千人を超えている。米国は感染者が36万人を超えて死者も1万人を超えた。日本も4月7日には緊急事態宣言が発令される予定だ。ブラジル等新興国の感染拡大も日々深刻化している。感染爆発の収束とその後の経済復興期待を先取りするのはまだ時期尚早と思うが、3月中盤までの暴落で相当程度の先行き悲観を織り込んだともいえる。目先はドル円も各国株式市場も戻りをさらに試す可能性もあると思うが、再び事態の深刻化レベルが悪化すればリスク回避が全面化してくる可能性もあると注意したい。
米連銀のパウエル議長は日本時間4月9日午後11時からブルッキングス研究所主催のイベントで講演すると発表しているので発言内容が注目される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月30日午前と4月2日未明の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしている。3月31日夜の戻り高値を基準として今回の高値形成期は4月3日夜から7日夜にかけての間と想定されるので、既にサイクルトップをつけて反落しやすい時間帯に来ている。このため、108.50円以上での推移中は7日夜にかけての上昇余地ありとするが、108.50円割れからは弱気サイクル入りとして4月7日の日中から9日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月2日夜からの上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いた。4月7日朝時点も両スパンは好転しているが、6日夕高値の後は新たな高値更新へ進めずにいるので遅行スパンは悪化しやすい位置にある。このため、108.50円以上での推移中は遅行スパンが一時的に悪化しても再び好転するところからは上昇再開とするが、108.50円割れからはいったん下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月6日高値時に70ポイントを超えたがその後は70ポイント台に届かずにいる。50ポイントを上回るか一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れを弱気転換注意とし、45ポイント割れからは一旦調整安に入るとみて30ポイント台前半への下落を想定する。

以上を踏まえて当面の強弱判断目安を示す。
(1)当初、108.75円を下値支持線、4月6日高値109.37円を上値抵抗線とする。
(2)108.75円以上での推移中は上昇余地ありとし、4月6日高値超えからは110円を目指す上昇を想定する。4月2日への下げ幅に対する半値戻し109.31円はすでに達成しているので、その上にある3分の2戻し110.11円を目指す流れと考える。110円台序盤は反落注意圏とするが、108.75円以上での推移なら8日午前も高値試しを続けやすいとみる。
(3)108.75円を割り込んでも109円台を回復する内は上昇余地ありとするが、108.75円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、108.50円割れからは弱気サイクル入りとみて107円台後半への下落を想定する。108円割れではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、108.50円以下での推移が続く内は4月7日午前も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な発表予定】

4/7(火)
10:30 (豪) 2月 貿易収支 (1月 52.10億豪ドル、予想 38.00億豪ドル)
13:30 (豪) 豪準備銀行、政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI速報値 (1月 90.5、予想 92.0)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI速報値 (1月 95.2、予想 95.7)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 3.0%、予想 -0.9%)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 -1.3%、予想 -3.8%)
28:00 (米) 2月 消費者信用残高 前月比 (1月 120.2億ドル、予想 140.0億ドル)

4/8(水)
08:50 (日) 2月 経常収支・季調前 (1月 6123億円、予想 3兆0672億円)
08:50 (日) 2月 経常収支・季調済 (1月 1兆6268億円、予想 2兆0215億円)
08:50 (日) 2月 貿易収支・国際収支ベース (1月 -9851億円、予想 1兆2136億円)
08:50 (日) 2月 機械受注 前月比 (1月 2.9%、予想 -2.4%)
08:50 (日) 2月 機械受注 前年同月比 (1月 -0.3%、予想 -3.0%)
14:00 (日) 3月 景気ウオッチャー現状判断DI (2月 27.4、予想 22.0)
14:00 (日) 3月 景気ウオッチャー先行判断DI (2月 24.6、予想 19.0)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

オーダー/ポジション状況

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