<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円は、ドルが小高い。ただ、一本調子の動きではなく、107-108円台を中心とした乱高下を経たうえでの最終的にドルが強含みという展開だった。
週末に記者会見した安倍首相が「リーマン・ショック時を上回るかつてない規模の対策を取りまとめる」としたうえで、過去最大56兆円超の対策を関係閣僚に指示。また、「北朝鮮が日本海に向け飛翔体を発射」−−などといったニュースも伝えられるなか、週明けを迎えている。
ドル/円は、前週末のNYクローズよりドル安・円高の107.65円前後で寄り付いたものの、当初はドル買い先行。週間高値である108.73円まで一時値を上げた。しかし、ドル買いは続かなかったばかりか、一転して売りが進むと3月18日以来となる107円割れ。ただ、週末にかけてドルは再び買われると、週間高値に近い108.67円までドル高が進行している。週末NYは、そこからやや小緩んだ108円半ばで取引を終え越週に。
なお、それとは別に、格付け会社ムーディーズから格下げされたことを嫌気された南アフリカのランドが週間を通して弱含み。週明け、いきなり対円では史上最安値となる5円台で寄り付いたのちも冴えず、週末にはついに5.65円台へ。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「欧米を中心とした新型コロナの感染拡大」と「原油安打開に向けた動き」について。
前者は、連日欧米諸国の感染拡大ニュースが相次ぐ格好に。たとえば、3月26日に中国を上回り世界最多の感染者数を記録した米国は、その後も感染者数の右肩上がりは続きこの週末にはついに30万人を突破(4日現在)。また、イタリアとスペインそしてフランスを中心に、欧州における拡大もいまだ続いているようだ。そうしたなか、各国とも「外出自粛要請」や「渡航制限」などの措置に動いているが、即効的な効果はみられておらず、苦戦が続いている。また、それとは別に日本、とくに東京における感染者数拡大も話題に。
対して後者は、ここ最近の原油安を嫌気、打開に向けた会談などが幾つか観測されると思惑を呼ぶ。頑なだったサウジとロシアが、ともに態度を軟化させたことが好感されていたようだ。一時はトランプ米大統領から「両国の減産量は日量1000-1500万バレルに達する可能性がある」との発言も聞かれていた。しかし一方、この週末には石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」が6日に開催される見通しだった緊急会合を9日に延期することが明らかにされるなど、再び暗雲も。合意までの道のりは決して平たんではないのかもしれない。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は、週間を通して1.8円レンジ。2月後半からの5週間が週間レンジ4-7円を記録していたことと比べれば、いくらか落ち着いてきたようだ。しかし、先週の価格変動をよくよくみると、ドル安寄りしたのち上昇後、再下落しまた上がるという、なかなかの乱高下だった。変動そのものは依然として荒っぽく、予断を許さない。レンジそのものは若干狭まるにせよ、そのなかで激しい乱高下が続く可能性もある。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題になる。もちろん、感染拡大の収まらない欧米を中心とした状況ならびに、金融政策を含めた各国のさらなる財政対応などにも要注意なのだが、先週発表された複数の米経済指標に示されたような実体経済に及ぼし始めた多大な被害状況も気掛かり。そうした意味では、今週も株価や金利、原油価格などともに、発表される米経済指標の内容には要注意だ。
テクニカルに見た場合、先週の形成レンジ106.91-108.71円という1.8円レンジをめぐる攻防にまずは注視。大きな流れ的には下方向のリスクが高そうな気もするが、先週あれだけ悪い米経済指標が発表されたにもかかわらずドルは底堅く推移しており、下値余地は限られるといった見方も。いずれにしても、上抜けた場合には109.40-45円がターゲットとなる反面、割り込んできた際には106円半ばや105.20円レベルなどが意識されそうだ。
今週は、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値をはじめ、重要な米経済指標が幾つも発表される見通しで、もちろんそれらは要注意。
しかし、それよりも9日に発表される週間ベースの新規失業保険申請件数を警戒する声が少なくない。同指標は2週間連続で悪化、それも先週分は予想の2倍近い悪化を示す664.8万件ものネガティブサプライズを記録していた。悪い数字であることは確かだが、果たしてどこまで悪化するのか注目だ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、106.80-110.00円。ドル高・円安については、先週高値にあたる108.71円が最初の抵抗。上抜けると、移動平均の75日線が位置する109円前後や、フィボナッチを参考したテクニカルポイントの109円半ば近くがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値に当たるレンジ下限の106.91円をめぐる攻防にまず注目。割り込むようだと、年初来安値101.19円を起点とした上げ幅の半値押しにあたる106.45円レベルなどが視界内に。
オーダー/ポジション状況
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