今週のレビュー(3/23−3/27)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初111.04で寄り付いた後、@米FRB(連邦準備理事会)による「米国債や住宅ローン担保証券の買い入れ量を無制限にする量的緩和策」のサプライズ発表(量的緩和拡大→米主要株価指数上昇→リスクオンのクロス円上昇→ドル円連れ高の流れ)や、A米与野党による総額2兆ドル規模の大型経済対策(大型景気対策→米主要株価指数上昇→リスクオンのクロス円買い→ドル円連れ高)、B上記@Aを受けた投資家心理の改善が支援材料となり、翌3/24に、約1ヶ月ぶり高値となる111.72まで上昇しました。
しかし、年初来高値112.21を前に伸び悩むと(111.50ー70ゾーンが4日連続でレジスタンス)、CパウエルFRB議長による「FRBはまだ行動する余地がある」「弾薬がなくなることは無い」との発言や、D東京オリンピック及びパラリンピックの延期決定、E米・新規失業保険申請件数(結果328.3万件、予想100.0万件)の大幅悪化、F小池都知事による外出自粛発言を受けた本邦における新型コロナウィルス懸念の再燃(先行き不透明感の高まりに伴う円高圧力)が重石となり、週末にかけては、7営業日ぶり安値となる107.76まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、107.94近辺で推移しております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0696で寄り付いた後、@新型コロナウィルスの感染拡大(資産現金化需要のドル買い)を背景に、一時1.0637(2017年4月以来、約2年11ヵ月ぶり安値)まで急落しました。しかし、A米FRB(連邦準備理事会)による無制限量的緩和発表を受けたドル売り圧力(量的緩和拡大→米債利回り低下→ドル売り→ユーロドル上昇)や、Bユーロ圏・3月消費者信頼感指数(結果▲11.6、予想▲13.0)の予想比上振れ、C米与野党による2兆ドル規模の大型経済対策発表(大型景気対策→米主要株価指数上昇→リスクオンのクロス円買い→ユーロドル連れ高)、DパウエルFRB議長による「FRBはまだ行動する余地がある」「弾薬がなくなることは無い」との発言、
E米・新規失業保険申請件数(結果328.3万件、予想100万件)の大幅悪化、FECB(欧州中央銀行)によるOMT(国債買取プログラム・Outright Monetary Transactions)発動を巡る期待感、G心理的節目1.10突破に伴うロスカット(ショートカバー)が支援材料となると、週末にかけては、高値1.1147(3/17以来)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.1145近辺で推移しております。
来週の見通し(3/30−4/3)
<ドル円相場>
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました。しかし、資産現金化需要に伴うドル高や、米大型経済対策を好感したリスク選好ムードが強まると、3/24には一時111.72まで反発する場面も見られました(僅か1ヶ月で10円下がって・10円戻す壮大な「往って来い」相場)。もっとも、足元では再び107円台へ反落するなど(一目均衡表雲下限や転換線、200日移動平均線の下抜けも実現)、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(続落リスクに警戒)。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「続落リスク」が警戒されます。資産現金化需要の後退(ドル売り要因)や、米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)、米経済指標の大幅悪化(ドル売り要因)、本邦における先行き不透明感の高まり(円高要因)が重石になると見られ、来週は、米株・米長期金利・原油価格の動向や、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン、日米経済指標(特に4/1に予定されている日銀短観、米ISM製造業指数、4/3の米雇用統計、米ISM非製造業指数)の結果、本邦における外出自粛の続報を睨みながらも、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(※通貨オプション市場ではリスクリバーサルが円コール方向に拡大するなど、円高リスクを織り込む動きが足元で活発化)。
来週の予想レンジ(USDJPY):105.00ー110.00
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、3/9に記録した約1年2ヵ月ぶり高値1.1494をトップに反落に転じると、今週初には、約2年11ヵ月ぶり安値1.0637まで急落しました。しかし、米FRBによる量的緩和拡大を受けた米長期金利の低下が材料視されると、週末にかけては、一時1.1147まで急反発。ボラタイルな相場環境が続いております。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線、一目均衡表雲上限及び雲下限を上抜けするなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、Aイタリアを巡る財政悪化および政局不透明感、B冴えない欧州ファンダメンタルズを背景としたECBによる金融緩和長期化観測、C英国情勢の先行き不透明感、D新型コロナウィルスの感染拡大を受けた欧州圏でのリスク回避ムード(イタリアやスペインにおける死者数の拡大)など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚たくさん残っている状態です(今週はECBによるOMT発動を巡る期待感でユーロ高が進みましたが、足元の不安定な相場環境を踏まえれば、長続きしない公算が大きい。一巡後の反落リスクに要警戒)。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的に「地合いの強さ」を見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが「続伸を阻む」シナリオが想定されます。今週後半の急騰を受けてショート勢のロスカットが大幅に進んだことも、ユーロドルの反落に繋がる可能性が高いと考えられます(市場参加者のポジションが軽くなったことで新規のユーロショートINが出やすくなる為)。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、欧米株及び欧米長期金利の動向、欧米主要経済指標の結果を睨みながらも、来週はユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(月末ロンドンフィキシングに向けたユーロ買い・ドル売りが一巡した後の反落を想定)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.0800−1.1300
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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