ドル円、トランプ大統領及びムニューシン財務長官の景気対策発表を受けて反発
海外時間の為替概況
17日(火)の外国為替市場でドル円は下落後に反発。@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(株式市場の不安定化)や、A世界的な大規模金融緩和を受けても尚収束の兆しが見えないことに伴う不安感、B上記@Aを受けた投資家心理の急速な悪化(失望売り)が重石となり、アジア時間には、一時106.08まで下げ幅を広げました。
しかし、心理的節目106円を前に下げ渋ると、C米FRBによるコマーシャルペーパーファンディング(CPFF)の再導入や、Dムニューシン米財務長官による総額1兆ドル規模の景気対策提案、Eトランプ米大統領による国民に小切手を支給する計画発表(最大1000ドル)、F上記CからEを受けたリスク回避ムードの後退(米主要株価指数の反発)が支援材料となり、米国時間には一時107.86まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.69近辺で推移しております。尚、昨日発表された米・2月小売売上高(結果▲0.5%、予想0.2%)は市場予想を大幅に下回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となっております。
昨日のユーロドル相場は大幅下落。@新型コロナウィルスの欧州圏での感染拡大を受けたリスク回避ムードの高まり(対ユーロでのドル買い・円買い・スイスフラン買い)や、A先週のECB理事会での追加緩和の決定(政策金利を据え置くも、2020年末までの資産買入総額を1200億ユーロ増額するとの発表)、B米政府・中銀による相次ぐ景気対策を受けたドル買い圧力、Cドイツ・3月ZEW景況感調査(結果▲49.5、予想▲26.4)の大幅悪化が重石となり、米国時間には、2/28以来、約3週間ぶり安値となる1.0956まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1008近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表雲転換線や基準線、一目均衡表雲上限及び雲下限、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転及び、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(※トランプ米大統領による経済対策や、FRBによる緊急利下げ、主要中銀による流動性供給策の発表を受けて、足元反発に転じるも上値は重い)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の不安定化など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トランプ政権による相次ぐ景気対策案の発表やFRBによる大胆な金融緩和、世界的な流動性供給策を受けて都度持ち直す場面は見られるものの、発表されればされるほど「Sell the fact」に繋がる不安定な地合いが続いております。本日発表される一連の米経済指標(2月住宅着工件数や、2月建設許可件数など)が市場予想を下回る不冴な結果となった場合や、新型コロナウィルスに絡むネガティブな報道がなされた場合などには、「米長期金利低下→ドル売り」の経路と、「世界経済の低迷→グローバルな株安→リスク回避の円買い」の双方の経路で、ドル円が更に押し下げられるリスクも想定されます。米株・米長期金利及び原油価格の動向や、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン、米経済指標の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(楽観ムードは続かないとの見方を維持。戻り売り圧力に要警戒)。
本日の予想レンジ:105.00ー108.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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